VARMILO FK2は5カ月間待った購入者の期待を満たせたのか?~製品レビューとHauteとの比較~
変更履歴
10/9 ・WEBアプリの項目に少しだけ加筆
・全体的に主張が見やすいように太字化
10/21 公式から入力に不具合が出る個体があると発表され、その対応のFWも出ましたが、あまりうまく行ってない様子。対応が長期化しそうなので、買おうと思ってる人は少し待ったほうが良さげ。
前回のnoteで予約報告をしたFK2がやっっっっと届きましたので、製品レビューと私がメインで使ってる改造Hauteとの違いを中心に書いていこうと思います。注意点として、結構ネチネチとしたレビューになるので、こまけえことはいいんだよ的な人は最後の総評だけ見てください。
さて、VARMILO FK2ですが、私が知る限り初めてラピットトリガーの概念を持ち込んだレバーレスコントローラーで、高さ調整用の土台としても使えるケースがついて16,980円という意欲作になっています。
実際、私は上記で書いた理由に惹かれて発表された即日に予約購入をしましたが、そのほかにも製品紹介ページでポイントとして書かれている項目が全部で10項目ありましたので、こういう宣伝してるけど実際どうなの?と気になる人のために、そちらについてひとつずつ所感を述べていきます。
↓VARMILO FK2 商品紹介ページ
ちなみに、今回は開封の写真とか内容物の紹介は他の人がいっぱい上げてると思いますので割愛します。
ポイントレビュー
ポイント① ラピッドトリガー搭載
この製品の最大の目玉です。
ラピッドトリガーという名称を初めて聞いた人は、FK2の紹介ページの説明を見てみてください。多分何言ってるかわからないと思います。
まあ要は普通のキースイッチより早く入力できるよ、ということなんですが、ソフマップの解説ページに詳しく書いてあるので、ちゃんと理解したい方向けに貼っておきます。
1Fの差が大きい格闘ゲームではFPSかそれ以上に入力速度が重要になるため、レバーレスにラピッドトリガーを持ち込んだという功績は大きいと思います。
ただ、正直過度な期待は禁物です。ある程度まともなレバーレスを今まで使っていたのであれば、入力速度は1Fすら縮まるか怪しいと思っています。
どちらかというと、ボタンのリセット位置を調整することで、ナナメの入力が抜けにくくできたり、そういった個人の癖に合わせたカスタマイズがしやすいというのが真の利点のように思います。ボタンひとつひとつを個別に設定できるため、これを追求し始めると沼にハマりやすいです。私も色々いじってますが非常に沼っています。
ポイント② 作動点の変更
引き続きラピッドトリガーの機能の話です。ボタンをどのくらい押し込むと反応するかを自分の好みに設定できる項目です。FK2に限って言えば、大体の人は限界まで攻めていいと思います。というのも、スイッチのバネが結構固く、指を置いた程度では反応しないため、誤爆がしにくい構造だからです。ただ、一般的なラピッドトリガー搭載のキーボードで0.1mmに設定すると誤作動を起こしたりするようなので私はとりあえず0.2mm/0.2mmにしています。たまに波動が出なかったりしますが、私の入力ミスの可能性が高いので、今のところそんなに困ってはいません。
ポイント③ CHERRY MX Multipoint スイッチ
正直このスイッチについては正直わかりません。
というのも世界初の搭載と謳っている通り新しいスイッチであり、他の搭載例を見たことないからです。
遊舎工房などのスイッチを専門に販売しているショップなどでも見つからなかったので、まだあまり一般に流通していないのかもしれません。
一応カタログスペック的なところでいうと、キーストロークが4.0 mm、キー荷重は初期押下圧32.3g、終点押下圧52.7gとなっています。
ただ、独自でバネを交換したり潤滑油塗ったりと改造をしており、実際に搭載されているスイッチは以下のような仕様になっているようです。
私は普段40gのスイッチを使っていますが、底打ちすると結構重めに感じました。
ポイント④ WEBアプリ
ラピッドトリガーの設定方法については、よくあるラピッドトリガー搭載のキーボードと変わりません。WEBアプリ上ですべて設定が可能です。
ただ、正直に言ってラピッドトリガーを初めて触る方にとってはわけわからんと思います。
WEBアプリを使うには、入力方式をキーボードモードに変更して接続し、「デバイスポート」から「FK 2キーボード」を選択し、表示されるダイアログからWEBアプリにFK2を認識させてからじゃないと設定変更はできませんが、それを初見で分かれというのは結構酷だと思います。
あんまり説明もないし、デフォルト言語が中国語だし。
私はラピッドトリガーのキーボードを持っており、こういった設定をやったことがありますが、それでも初見では手順が分からなかったため、もうちょっと説明書やWEBアプリ上の説明をしっかりするとか、おすすめの設定例を付けるべきだったんじゃないかと感じます。
10/9追記 一応、販売後に公式のXで手順の動画を出したようなのですが、そういうものは最初から説明書にちゃんと書くなり、動画へのリンクを貼るなりで商品に付属してほしいものです。普通の人が商品受け取った後に公式のXなんて見に行くわけないんだから。
うまく設定ができないくらいならまだいいのですが、適当に設定してしまってボタンの信号が入りっぱなしになったり、逆に入らなったりするため、はじめてレバーレスを触る格闘ゲーマーは恐らく不良品だと思ってキレると思います。
ポイント⑤ ボタン数
ボタン数・配置に関しては昨今のレバーレスとしてはまあ普通かなと思います。
ただ、「UP」ボタンの左右に「LS」「RS」がある配置で、なおかつ「UP」ボタンのサイズがほかのボタンと同じ(レバーレスによるが、「UP」ボタンは他のボタンより大きいサイズになっていることが多い)ため、左右の手を切り替えて「UP」ボタンを押すような人は少し誤爆をしやすい構造な気がしました。個人的には「LS」は「X」の上あたりに欲しかったなと思います。まあ好みの問題ですが。
ボタン関連で言うと「start」「back」などのサブボタンが左上配置なのは正直使い勝手が悪いです。というのもスト6をはじめ、格闘ゲームのトレーニングモードでは、方向キー+「back」などの特殊入力を多用するんですが、これが非常に入力しづらい。慣れるまでしばらく掛かりそうです。
また、サブボタンがかなり固いスイッチになっているため、何度も押していると指が痛くなります。後述するトーナメントロック機能もあるので、もう少し押しやすいスイッチがよかったように思います。
ポイント⑥ 大会での使用
いわゆるトーナメントロックの機能と上下・左右の優先入力の豊富さの話でです。トーナメントロックについてはともかく、上下・左右の優先は普通の人は特に必要ない項目かなと思うので、わざわざ書くことか?とは思います。
あと、大会での使用をウリにしていますが、現状のスト6のオフライン大会はほぼPS4/PS5が使用されており、残念ながらFK2はPS4/PS5に対応していません。おそらくコンバーターなどを使えば使用できるとは思いますが、あまり大々的に大会での使用をポイントとして書くのはどうなのかなと個人的には思いました。
ポイント⑦ 膝置き・机置きに対応
底には分厚い滑り止めシートが貼ってあり、本体は適度な厚みと重みもあるため単体で使っても膝の上で滑ることはなさそうです。個人的には、レバーと違い膝上で暴れることはないので、もう少し軽くてもいいと思いましたが。
机の上でプレイする点についても特段問題はないと思います。
なお、底面は完全なフラットではなく、4か所の足がある底面全体に滑り止めを貼っている構造です。これはおそらく、机上で使うことを考えてのことだと思います。
ちなみに、膝置き時に限りケーブルに少し問題がありますが、これは後述するケーブルの項で詳しくお話します。
ポイント⑧ ケース
個人的にはラピトリと同じくらい目玉だと思っていたケースなんですが、
まずは外観を見てください。
どうでしょうか。
少なくとも私はこのケースを持って外を歩きたいとは思いません。
というか商品ページでケースのロゴがある面が隠れているのは確信犯だと思います。
まあデザインはどうでもいいんですよ。いや良くはないんですが目玉は別にあって、ケース自体が高さ調整の土台として使えるという画期的なアイデアが採用されています。
採用されてるんですが、はっきり言って使い物になりません。
理由は、単純に高さがありすぎるためです。FK2単体の高さが2.4cm、ケースが6.6cmの合計9cmです。これを膝置きすると、かなり無理をした体勢でプレイすることになります。参考までに、私が持っていたRAP V3の高さを測ったら6.5cmでした。ケースだけでほぼRAP V3と同じ高さなので、やはりちょっと高すぎると思います。
また、膝の傾斜を勘案してケースに角度をつけたと思われるのですが、正直角度が緩すぎてあまり意味を成してないように思います。あと、ケースを膝に乗せると普通に滑ります。
正直、どういう人・状況を想定して設計されたのか全くわかりませんでした。
ちなみに普段私は椅子に座ってひざ上テーブルの上にHauteを乗っけてスト6をプレイしてます。神商品です。
※ノーアフィです。
ポイント⑨ 静音性
静音性は正直ポイントにするほどではないと感じます。確かに、昔のアケコンのように空間を切り裂くような音はしませんが、ごく一般的なボタン音かと思います。激しくたたけば普通にうるさいです。ゴムリングを付けた改造Hauteの方が多分静かです。
ポイント⑩ デザイン
なんとデザインの違いで値段が変わります。私はあまりこだわりもないので、一番安いブラックを買いました。黒のデザインは可もなく不可もなくかと思います。マットに仕上がっていてチープ感はそこまで感じません。というか、本体はVARMILOのロゴだけなのになぜケースには2つもロゴが・・・。
以上、商品紹介ページにポイントとして書いてあったことに対しての所感です。そもそも商品紹介として宣伝すべき項目だったの?という部分もあり、思ったよりも辛口になってしまいました。
では次に、ポイントとして紹介された以外の部分について、私が今メインで使っているHautePad R16(キースイッチ変更・ボタンのストローク短縮済み)との比較を含めてみていきたいと思います。
ポイント以外の項目について
ボタン
ボタンについてはラピッドトリガーであるということ以外は普通です。改良してストロークが短くなったアピールをしていましたが、やはり改造Hauteを使っているとストロークは長く感じます。あと、打鍵感は少し重いです。
とはいえ、慣れる範囲かと思います。ボタンというよりは本体の素材や形状のおかげですが、スライド入力はしやすいと思います。
ストロークを調整したいという気持ちはありますが、CHERRY MX
Multipointスイッチが簡単に手に入らない以上、あまりいじりたくはありません。
ケーブル
付属のケーブルは約3mあり、充分な長さかと思います。ケーブルロック用の部品もついており、凝っています。ただ、この部品は純正ケーブル以外に使い回しができないことには注意が必要です。
また、この部品はカチっとハマるような機構ではなく、ゴム素材を隙間に詰めているような構造なので、気を付けないと簡単に落下します。部品も小さいため無くしやすいと思われます。せめて、本体かケーブルのどちらかに部品が接着されていれば紛失の心配はなかったのですが。
なお、ケーブルロックを使わずに膝置きする場合、USB-Cの差し込み口からケーブルがだらんと垂れてしまい、少し不安があります。
また、本体の底面にはケーブルガイドがついており、左右からもケーブルが出せるようになっているのですが、ガイドのケーブル保持力がイマイチで、これもだらんと垂れてしまうため机上以外で使うのはあまりおすすめしません。
メンテナンス性
必要がないためまだ開けてはいませんが、ケースには工具が一式入っており説明書きもちゃんとされているため、メンテナンスは可能です。ぱっと見の感想だけでいうとネジの数が多いのとこじ開ける必要がある部分もあり、そこまで気軽にメンテナンスはできなさそうです。まあ元々は故障した場合は自分で開けずに工場に送ってくれと言ってたくらいなのでしょうがないかなと。むしろ方針転換で開けれるようにしてくれただけありがたいですね。
スイッチの予備は3個付属していますが、このあたりは気軽にスイッチを買えるようになってくれると助かります。
ファームウェア
初めてWEBアプリに接続するとき、ファームウェアのアップデートを促されました。私は素直に上げてしまったのでわからないのですが、どうやら上げないとラピッドトリガーの設定などができなかったり動作が怪しかったりするらしいです。
上記が事実であれば、設定などせずに接続して使うだけの人もいると思うので、最低限使える状態で出荷して欲しかったかな。
あとDLされてくるファームウェアが滅茶苦茶怪しい中国語(固件升级.zip)なので、ちょっと身構えます。
全体のビルドクオリティ
かなり良いように思います。
ボタン穴の側面についている柱状のガイドのおかげでボタンがブレることもないです。また、手を置くスペースも充分あり、傾斜も適度についているおかげで、普通に使う分には手首などが痛くなることはないと思います。
持ち運び用の箱も頑丈で安心できる思います。これでロゴの見た目さえ良ければ・・・。
総評
値段を考えると素晴らしい製品なのは間違いないが、細部が残念という感想につきます。
まず、ラピッドトリガー付きのまともなレバーレスというだけで価値がありますし、価格的にもアクリルの中華製レバーレスが6,000円~10,000円前後、ラピッドトリガーのキーボードが15,000円~40,000円前後なことを考えると、平凡な性能で2,3万する他のレバーレスコンと比べて、16,980円という価格はかなり頑張っていると思います。ビルドクオリティも相当高いですし。
しかし、ラピッドトリガー一点突破型ではなく、様々なニーズに答えようとして足した部分が逆に評価を落としている感は否めません。特に、大々的に宣伝していたケースのデザイン・設計が悪かったことや、ケーブルの取り回しには、個人的に大きな不満が残りました。正直この出来であれば、延期なんかせずにさっさと発売して、それで得たフィードバックを元に改良品を出してくれた方がよかったような気がします。なので、延期に次ぐ延期で出てきた製品としては、正直、満足度が期待を上回れなかった感があります。
ただ、上記の感想はあくまで他のレバーレスを既に所持していて、現状に不満がない状態、かつ予約して5カ月間待ちに待った人間であるということを勘定に入れた場合です。
そのため、このレバーレスを人におすすめできるか、という質問には間違いなくイエスです。なぜなら、改造の必要がなく実用に耐える性能があり、安価で、ある程度実績も社会的な信用もある会社の製品だからです。
しかし、Hauteから買い替えるほどの価値が自分にあったかと言うと、正直微妙なところです。改造スイッチはラピッドトリガーには及ばないとはいえ、充分に早く反応しますし、本体も軽くて取り回しもしやすく、パススルー端子を使えばPS5でも使えます。ボタンのレイアウトも異なるため、FK2に慣れるまでは少し時間がかかりますし、慣れたとしても今までとプレイ内容が劇的に変わることはないでしょう。
ただ、新しい技術やガジェットが好きであれば、WEBアプリをいじって調整しているだけで好奇心は満たせると思います。
最終的にどちらを使うかはわかりませんが、しばらくは設定の沼を楽しみつつFK2を使っていこうと思います。
それでは。
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