私らしさ?
彼から、私が最近お母さんみたいになってしまってエロスの気がない、という指摘を受けた。
元々私はそういうところがあって、誰かと付き合って愛情で満たされるとお母さん、家族になって性欲がなくなり、シングルの時は逆に狩りのように何人かのセフレと適当に付き合って月に数回はセックスする、ということを繰り返していた。
私は性格的に男性的な部分が多いから、今まで自分にとっては、特定の甘えられる相手、つまり、(母親的役割も含めて)女でいられる相手がいないときは、本能的にセックスする相手を確保することで、自分が女になる時間、甘える時間、一瞬でも素直になる時間、そういうものを求めてるのだと思ってきた。
でも彼と話していると、これもどうやら、家族の中で培われてきたブロックのせいではないかということに気付いた。
母親が常に家族のために自分を犠牲にし、「お母さんは家族のため、人のためにこれだけのことをやってきた、あんたたちには同じことは絶対できない」と幼い頃からずっと言われ続けてきた。
そういう母を尊敬し、半ば強制的に感謝させられつつ、母親たるものは常に家族のために自分を犠牲にしなければいけないのだ、とすりこんできた。
そして、そうやって私にすり込む時の母親の顔はいつも必死の形相で、ちっとも幸せそうじゃなかった。表面上はお母さんはえらい、すごい、とおもっていたけれど、本心では、そういう母に感謝「しなければならない」んだ、だから私は母の愚痴を延々聞か「なければならないんだ」、私が誰かの奥さんやお母さんになるとしたら、母のように自分の全てを犠牲に「しなければならないんだ」、そしてお母さんはいつも自分のことを後回しにしてそれなのに周りから気遣ってもらえなくて「かわいそう」。だから私が好き勝手したりお母さんをないがしろにしたり「しちゃいけない」んだ。
つまり、自分が家族の犠牲にならずに、自由に生きて幸せになることに対して「罪悪感」があるんだ、って彼に指摘された。
幸せになることに罪悪感があるうちは幸せになれないよ、って。
だからダンナさんにもいつも罪悪感があったでしょって。
確かにそうだ。
出不精で無趣味のダンナ。逆に多趣味でいろいろ外に出たい私。自分が好きなことで出て行くことに常に罪悪感を持っていて、ダンナに悪いから、と自分のやりたいことを8割くらい?抑えていた。
また、自分の自由さ、性的な奔放さについても、トラウマがあった。
私のそういう部分は父方の祖母から受け継いだものだと思う。
ばあちゃんは統合失調症で躁鬱で、周りによく迷惑をかけていた。父は5人きょうだいだったが、ばあちゃんは子供の面倒を見られる人ではなく、ひいばあちゃんが見ていたそうだ。そして長男の父が結婚してからは家族行事や年老いたひいばあちゃんの世話はすべてうちの母の仕事となった。
でも私たち孫はばあちゃんが好きだった。どこかかわいくて憎めない人だった。性欲も旺盛で、モテていた。それが子供ながらにも分かるくらいに。
まだ幼稚園くらいの頃、ばあちゃんが夜中に母に話しているのを聞いた。
「お父さん(祖父)は初めてのセックスの時私から逃げてねー。」
母は困っていた。私は寝たふりで聞き耳を立てていた。実際、4番目のおじさんはばあちゃんがほかの人との間に作った子らしく、それを祖父もみんなも知っていて、祖父がそのおじさんを目の敵にして虐待していたらしい。確かに、そのおじさんだけはきょうだいの中でも似ていなくて、雰囲気も違ってちょっとかっこよかったのを覚えている。
また別の日は調子が悪く自分のことをずっと話し続けるばあちゃんに父が怒って
「○○(有名な精神科)に入れるぞ!」
とつかみかかっていた。私は寝たふりをしながら布団の中で声を殺して泣いた。父親が、自分の母親にそんなひどいことを言っているという事実を受け入れられず、とても怖かったのを覚えている。
彼が言うには、私の幼い頃のそういう経験から、特定の男の人ができたら、自分の性的な部分は抑えないといけない、でないとムダにモテてばあちゃんのように怒られる、ダメな人間のように思われる、とすり込まれてるんじゃないかと。そして男の人がどっかで怖いんじゃないかと。
だから、相手に対する性欲までなくなって、母親がしていたように自分を犠牲にして母親になって相手の望むことを先にくみ取ってしてあげて…そのうちに自分が耐えきれなくなって爆発してしまうのだろうと。
あー、そのとおりかもしれない。
そう思った。
そして彼は、彼自身は誰かを好きになったらほかの人とどうこうしたいなんて全く思わないけれど、たとえば私がほかの人とたまに体だけのセックスをしたい、セフレはセフレで作りたいというなら別にそれで構わないと言った。
たとえ私がそういうことをしても、自分が私を好きな気持ちは変わらないし、もし私がそうやってほかの人と体を交えて、心まで変わって自分から去ったとしたら、それはそれでしかたがないと。
そう言われても、すぐには、じゃあセフレ作るね♪なんて気軽に言う気にはならなかったけど、確かに彼に対してもお母さんになりつつある自分に危機感を覚え、このままでは性欲もなくなってしまうかもしれない、彼とも終わってしまうかもしれない、それはいやだ。変わりたい。お母さんじゃなくて、ちゃんと女のままで彼と仲良く楽しく生きていきたい。セックスもずっと楽しみたい。一人エッチでも気持ちよくなれる自分に戻りたい。
そう思った。
リハビリが必要だと思った。
ふとチャットで知り合った脳イキ誘導のドSさんのことを思い出した。この人は体に触れさせずに妄想だけでイカせることを目標にしている変わったドSさん。Kちゃんと付き合うことになったとき、チャットで知り合った何人かにはさよならを告げたけど、彼のことは迷っていて、そのままだった。
それから彼に連絡して、先週久々にセッションした。やっぱり触らないままにイクことはできなかったけど、離婚前より一段ブロックがはずれて、あと少し、のところまで来た。年末年始の彼とのセックスの感覚が体に呼び起こされて、前より全然気持ちよかった。自分を解放できた。
そのことを彼に伝えたら喜んでくれた。エロスの気が復活した、と。確かに彼を見つめる自分の表情も変わった気がした。
もう一人、切ってない子がいた。彼も言葉責めが上手なS。小児麻痺で肢体不自由だから足フェチっていう、これまたちょっと変わった子。友達みたいに仲はよくていろんな話もするけど、彼には好きな子がいて、私にも面倒な恋愛感情はない。だから切ってなかった。
でも連絡なくて自然消滅ならそれでもいいや、と思っていたら、タイミング良く、昨日連絡が来た。彼、前にもいきなり連絡してきた日が私の誕生日だったんだよね。意外と縁があるのかな。
彼ともセッションした。これまた、すごく気持ちよくて、チャットしていたときのことを思いだした。たった、2,3ヶ月前までのことなのに、それすら忘れるほど、私の生活からエロがなくなっていたんだなー、笑。
これも迷ったけど彼に話して、昨日の夜は彼ともビデオセックスした。でも彼はチャットはのぞき専門でどうしていいかよくわからないと恥ずかしがってたからあまりうまくいかなかった。それでも私が一人でやるのを見て彼がうれしそうに笑っていたからうれしかった。画面を録画して送ってあげた。音声が入ってなかったし、すごくちっちゃかったけど、彼はオカズができたと喜んでた。
ついでに下着好きの彼のために、使用済み下着も用意してあげて明日送ってあげることにした。
私は経験は多いけど、基本ノーマルなので、使用済み下着とかはちょっとひいてしまう方。今まで誰かにあげたこととかもない。汚いし!って思っちゃう。
でも、彼が喜ぶなら、いいやって。性癖だし。それも含めて彼だから。
同じように、私も彼と付き合ってるからと、無理にほかの人との性的な付き合いをやめなくていいやって思えた。それが私ならしかたないもん。
普段は和食派でもたまには洋食も食べたいし、洋食を食べたからって和食が嫌いになるわけじゃない。
初めてのカウンセリングの時、私が彼に力説した言葉。彼はなるほどっておもしろがってた。
付き合うようになっても、その私の考え方を尊重してくれる。それは、彼自身が私と付き合うことで、いろんなものを受け取っていて、たとえ私にそういう部分があっても、あ、そうなんだ、で済むことだからだそうだ。
私、このままでいいんだ。
このままの私でこの人は愛してくれるんだ。
性的なものを抑えないで、男にモテる私でもいいんだ。
好奇心で別の誰かとセックスしてもいいんだ。
うん、だって私もほかの誰と何をしても、彼のこと愛してるもん。同じように好きになることはないや。今はそう思える。だってこんな人…いないもん、笑。
なんかほんと、変われそうです。2021年、風の時代。もっともっと自分らしく、楽しく生きていきます。