高校教師を辞め、風俗嬢になる

30歳。

大学を卒業してから8年間勤めた高校教師を辞め、新たな仕事のために専門学校に入った。

教師の仕事は精神的にしんどくて、毎週末、片道4時間以上かかる隣県の海までサーフィンに一人で通って現実逃避した。
金曜の夜中に家を出て、日曜の夜家に戻る。
だんだんと遠のいていく海を見ながら、現実に引き戻される苦しさで泣きながら帰っていた日々。

心身は限界に近づき、30歳という年齢の節目に多くの女性が感じる、言いようのない焦燥感や将来への不安感もあって、29歳の夏、子供の頃からの夢を叶えた仕事を辞める決断をした。

その後は体調が少しずつ回復し、次の人生へのワクワク感でいっぱいになった。
次にやりたいことが見つかり、たまたま近所にあった専門学校を受けたら、無事合格!
秋には4月からの専門学校生活が決まっていた。
わーい、久々の学生生活!
心配事は…お金だけ。

元々貯金は苦手。もらったものをほぼ使い切ってしまうタイプ。
ボーナスや給料は下がっていたのに、海への一人通いもあってボーナスで生活費の補填をする始末。

両親は小学校教師で堅実な公務員。
子供の頃からお金の苦労をしたことがなく、子供の成長のためには出費を惜しまない親だった。

貯金もないくせに、なんとかなるだろう(いざとなったら親がなんとかしてくれるだろう)、と漠然と思っていた。

しかし、さすがに毎日夕方まで学校で、勉強もそれなりにハードな中、一人暮らしの生活費と半年ごとに数十万円の学費を払うには、時給千円のバイトではどう考えても無理だった。

選択肢は二つ。

水商売か、風俗か。

学生時代からモテなかったわけではないけれど、常に人の上に立って目立つ人として、憧れられるタイプのモテ方で、かわいらしく男に甘えたり媚びたりするのはとても苦手だった。

良くも悪くも嘘がつけず、不器用なので、自分に水商売は無理だと思った。

大学でいろいろあってから、彼氏がいない時はセフレが何人かいる、というスタンスになり、セックスは嫌いじゃなかった。
もしろ、こんな自分が唯一女らしくいるための武器だと思っていた。
サーフィンにはまって以来、海が恋人になり、彼氏もいなかった(ダメ男に恋してはいたけれど)。

そんな私に残ったのは、風俗でバイトする、その一択しかなかった。


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