ほっきょくきつねとゆき
さむくこごえるふゆの、しろくてつめたいゆきとこおりのせかいで、ほっきょくきつねはいきてゐます。
からだやみじかいあしは、しろくふはふはのあたたかいふゆげにおおわれて、さむさなんかへっちゃらです。
かりをしてえものをつかまへると、ゆきやこおっただいちと、くちをあかくそめて、そのいのちをいただきます。
ときどき、あかくなつたまへあしをみてゐると、からだじゅうが、まつかになつてしまふやうなきがしてきます。
もしさうなるとたいへんです。
こはいほっきょくくまに、みつかってたべられてしまふかもしれません。
かりにしつぱいして、おなかがへつたらすききらひなく、なんでもたべます。
こはいほっきょくくまのあとをこつそりついてまはり、おこぼれにあずかつたりもします。
どこまでもつづくしろいせかいをみてゐると、なんでもおいしさうにみえてくるのです。
さうすると、けんかしたあいてや、よわつたなかまも・・・。
しろくつめたいせかいでは、さうやつていのちをつないで、すんだことはわすれてしまふのです。
ゆきにおおわれたすあなにもどると、つんどらにはやくはるがくることをねがひながら、ながいふさふさのしっぽをかかへて、うみべのゆめをみるのです。
はるまでいきてゐられるかは、だれにもわからないのですが。