引きこもり、ゴミ捨てに行く②

引きこもりの私にとって、家から一歩でも外に出る事はアドベンチャーだ。

例えそれが、歩いて10秒程度のゴミステーションへの道のりだったとしても、その道中に何があるか何に(誰に)出会うかは分からないのだから、自分の城でヌクヌクと毎日同じ生活を送っている私にとっては十分に非日常。大冒険だ。

外廊下にでっかい虫がいて通せんぼをくらう日もあれば、思いがけず雨に降られたりぬかるみに足を突っ込む時もあるし、最悪の場合、人に出くわす事もある。

私の様な引きこもりにとって、人との遭遇はアマゾンの熱帯雨林でアナコンダに遭遇するのと同等の緊張感がある。

コソコソと隠れたりする様な引きこもりムーブをかましたり、向こうの挨拶を無視すれば、恥であっという間に自分のメンタルに致命傷を負う事になりかねない。

堂々と冷静に、それでいて自然に「おはようございます」と軽やかに挨拶する。それで万事OK…なはずなのだが、大抵の具合、変に高すぎるか低すぎるかの声が出てしまい、私の巨体と相まって相手を驚かせてしまう。面目ない。

とにかく、私にとってその短いアドベンチャーはサッサと終わらせてしまいたいもので、月曜日〜木曜日がなんだか落ち着かないのもこれのせいなのだが、唯一冬の時期だけは、そのアドベンチャーが楽しみになる。

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