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世界一退屈な首都を旅する

2024年3月、スロバキアの首都ブラチスラバを1泊2日で訪れました。ブラチスラバは、世界一退屈な首都と称されることもある都市です。ですが、そんな前評判とは裏腹に充実した2日間を過ごせたので、旅行記を書こうと思います。

※スロバキアの東側はウクライナに隣接しており、ウクライナから避難してきた人々がいるようですが、西の端にあるブラチスラバでは戦争の影響を感じることはありませんでした。

街に到着して、まずはブラチスラバ城に行くことにしました。ブラチスラバ城は街のシンボル的存在で、丘の上にあります。ひたすら坂を上り、到着した時には少し息切れしていました。

ブラチスラバ城

ご覧の通り、テーブルをひっくり返した形をしているので、逆さテーブルと呼ばれているそうです。概観を楽しんだ後、城の中に入ることにしました。

城の中の廊下

城の廊下は、白と金を基調として赤い絨毯が敷かれた、煌びやかな空間でした。午前中だったからかもしれませんが、中はガラガラで、周囲に観光客はほぼ誰もいませんでした。

展望台までの階段
展望台からの景色

日本の城の中を彷彿とさせる急階段を上ると、展望台に到着します。テーブルの足の1つにあたる位置です。展望台からは、ブラチスラバが一望できました。東京と比べると、首都というにはあまりにも小さい街でした。

陶器コレクション

美術館・博物館の展示は、肖像画や宗教画に加えて、陶器コレクションやローマ帝国時代の生活品などが展示されていました。多種多様な展示から、様々な国家・民族が拠点としてきたブラチスラバの、複雑で独特な歴史を学べました。

洞窟の様な店内
鹿肉のグーラッシュ

城を出て市内中心部に向かう途中で、Modrá Hviezdaというレストランに立ち寄り、洞窟の様な店内で、鹿肉のグーラッシュを頂きました。クセがなく柔らかいお肉で大満足でした。付け合わせのパン?団子?も美味しかったです。ランチの後は、旧市街を散策しました。

ブラチスラバ最古の教会、聖マルティン大聖堂
聖マルティン大聖堂内部

聖マルティン大聖堂は、マリア・テレジアを含む、ハンガリー王国の国王・女王の戴冠式が行われた教会です。内部はステンドグラスが綺麗で、地下墓地も見学出来ました。教会の中の静けさ・荘厳さは、日本の寺社と似ています(聖マルティン大聖堂に限った話ではないですが)。キリスト教徒ではない自分にさえも、何か心に問いかけてくるような空間でした。

ミハエル門
東京までおよそ地球1/4周

聖マルティン大聖堂を後にし、続いてミハエル門を訪れました。かつて旧市街は、城壁でぐるりと囲まれていました。城壁には4つの門があったそうで、ミハエル門はその1つです。展望台に上ると、街が一望できました。高い建物がほとんどないので、この程度の高さの展望台でも十分遠くまで見渡せるのです。門の下の地面には、世界の主要都市までの距離が書かれていました。

日本大使館の下にあるお土産屋
お土産屋の中には、伝統のモドラー焼きがたくさん
銅像①(マンホールおじさん)
銅像②(ナポレオン軍兵士。かつてブラチスラバはナポレオンに征服されました。)
銅像③
銅像④(傘を差した少女を受け止めようとする人)
1825年9月(多分)の聖マルティン大聖堂。奥にブラチスラバ城が見えます。
市の歴史博物館に所蔵されている絵画。
歴史博物館からの景色

散策を終えて、Slovak pubというスロバキア伝統料理の有名店で夜ご飯を食べました。

カプストニッツァ
ハルシュキ

カプストニッツァはキャベツとソーセージのスープで、かなり酸味が効いていました。ハルシュキは、じゃがいもでできたパスタ(ニョッキ)に羊のチーズを絡めてカリカリのベーコンを載せた料理です。スロバキアの国民食らしいですが、正直私は苦手でした。最初の数口は美味しかったのですが、羊のチーズがくどく、後半はきつかったです。

旧市街の外の街並み
修道院内のホテル
ベッドの上にキリスト

ご飯を終えて、ホテルに向かいました。旧市街のホテルは高額だったので、旧市街の外にあるホテルを予約しました(中心部から徒歩15分程度)。旧市街を一歩出ると、街の雰囲気はガラリと変わります。ソ連の影響を強く感じさせる、どこか寂れた街並みでした。私が泊まったCentrum Salvatorというホテルは、修道院の中にありました。静かで清潔で、値段もお手頃なのでおすすめです。

2日目は、早起きして街を散歩しました。やはり、ヨーロッパ旅行は朝の散歩が最高です。昼間と夜はどこも混んでいますが、朝は人が少なく、歴史的街並みを存分に楽しめます。

青の教会
国立劇場

ホテルの近くに、青の教会と呼ばれる綺麗な教会がありました。屋根の上には、東方正教会のシンボルである、複十字(ダブルクロス)が見えます。複十字は、スロバキアの国旗にも描かれています。朝の散歩を終えた後、ブラチスラバからバスで20分ほどの位置にある、古城デヴィンを訪れました。

デヴィン城の概観
主郭
デヴィン城の敷地内にあるローマ帝国時代の教会跡
デヴィン城から望むドナウ川

デヴィン城は、およそ2000年前のローマ帝国時代には既に存在していた城です。1800年代初頭にナポレオンによって破壊されるまで、改築に改築を重ね、要塞としての役割を果たしました。城の片側は断崖絶壁であり、ドナウ川を一望できます。対岸は、オーストリアです。絶景を眺めながら、2000年の歴史に思いを馳せるのは、心地よい体験でした。個人的に、今回の旅で一番気に入った場所です。

デヴィンからブラチスラバに戻り、散策をして、旅を終えました。

散策中に見つけた桜
本屋で見つけた日本のガイドブック。表紙が居酒屋の写真なのが意外でした。
ドナウ川

ブラチスラバは、ウィーン・プラハ・ブダペストなどの他の中欧の都市と比べるとポピュラーではないと思います。派手な観光地はありませんが、ローマ帝国時代から中世、ソ連時代まで、様々な時代の歴史を感じることが出来る街です。観光客が少なく落ち着いて観光ができるうえ、2日あれば見所スポットは十分周れます。ウィーンからバスで1時間ちょっととアクセスも良いので、是非足を運んでみてください。

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