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成仏させて

私は「うみねこのなく頃に」で育った。もはやこの作品は好きとか嫌いとかでは語れない私を構成する一部だと思う。

そんなうみねこが舞台となった。演出は過去に様々な07th作品の舞台を手がけてきた伊藤マサミさんである。安心と信頼のマサミさんであるが、うみねこの「全エピソード」を手がける気であると聞いた時はかなり不安だった。うみねこは07thの中でも難しい作品だと思っていたからだ。
入れ子構造とか魔法とか人数が多すぎるとか作品への難易度はもちろんのこと、一番は何より私含めファンの作品への愛情が激重だと思った。当時の色々なことを乗り越えて今残ったファンは作品への愛着が大きい。
舞台側が作品に少しでも愛がないと我々には伝わってしまうし、どのキャラクターに肩入れするかで見方が変わってくるうみねこという作品に各々の解釈を持ったファンをどう納得させるのかと思った。
蓋を開けてみると素晴らしいものだった。演出は考え抜かれており才能が輝くものだった。なにより愛のある作品だと感じる。うみねこ古参でいつまでも当時の感情に囚われているゾンビの私がそう思うのだから、うみステを見た多くの人がそう感じているのではないかと思う。正直、出来が良すぎて原作での辛いことを思い出ししんどくなる。舞台を見て原作の感情が湧き上がってくるのだからやはり素晴らしい作品なんだと思う。アニメを見て原作の感情は思い出さない。

同時に、もっとやれるだろうみステ!という期待をしてしまうことに気づいた。決して今が悪いとかではない。ただ愛のある素晴らしい舞台を観たから、「うみねこ舞台での最高」を教えてくれ!と思ってしまったのだ。全てのメディアミックスに対して原作のおまけくらいに考えている私にしては珍しい感情だと思った。舞台は人間が演じるから、熱量が直に伝わり感化されたというところもあるのかもしれない。うみねこ舞台は老若男女様々な俳優やスタッフが物語を作るので、実際の人間が織りなす奥行きが凄まじい。

舞台は人間が演じる、当たり前の話だけれど原作と大きく違うのはここだと思う。原作のある舞台はキャラクターと俳優のマリアージュを楽しむものなのかなと、うみステで初めて2.5次元舞台に向き合った感想だ。原作を求めているのなら家で原作をやっているので、それでもうみステを観に行くのは人間の湿度や熱量を感じたいからに他ならない。
うみステ4EVE二部でロノウェを演じた加藤靖久さんが、「現場の方たちとのやりとりで「うみステのロノウェ」が出来た」ということを仰っていた。人が既存のキャラクターを演じる2.5次元舞台というものは「その舞台でのキャラクター」がまた出来ることなんだろうなと思った。
余談だがあのロノウェのキャラクター性でこんなに真面目で熱い俳優さんが演じてくださっているのがギャップを感じて面白い。

次の舞台となるepisode4は私の大好きなガァプとワルギリアの二人が邂逅する回だ。ガァプに関しては光のオタクなので無邪気に楽しみたいと思いつつ今後元気なベアトリーチェが見れなくなる絶望を抱えて観劇するのだろうな……。

うみステ4EVEの配信は2024年8月3日まで!

うみステ4EVEはうみステ3の振り返りやうみステ4に向けてのお話しをしてくれます。ゲームもしてます。
一部・二部各3500円なのでキャスト欄から好きなキャラクターが出ている方を観られてはいかがでしょうか。(回し者…?)

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