昭和6年の図書館の使命
昭和6年4月2日のことである。帝国図書館長の松本喜一が、「図書館の使命」と題して昭和天皇に対する御進講を行った。
このとき、松本は何を語ったのであろうか。奈良武次侍従武官長も聞いてるのなら日記に何か載ってるのではないか?と思って調べたけど、それは空振りに終わった。
いちおう、本人によると
というもののようである。
この4月2日は、色々あって、戦前の日本の図書館記念日とされていく。以前にも書いたが、戦前の4月2日の図書館記念日は松本が御進講をしたことを記念するものであって、別に書籍館開館を祝うとかいう趣旨は全然ないのである。
松本自身は、田中稲城の後任として帝国図書館長への就任が発表されるや、図書館問題の素人と言われて反対運動が起きたほどだった。ただ、1926年のアメリカで開かれた国際会議に出席してから、しきりに国際化ということを言うようになったのはポイントのように思われ、彼の図書館思想を考えていく上でのヒントになりそうな気はする。
あと、ここで「英独米」と上げているのも面白く、彼の部下であった岡田温が、「英国紳士型の印象」と回顧しているように(岡田「松本先生を思ふ」『図書館雑誌』第40年第2号、1946年7・8月)、イギリスのことはしばしば参考にしていたフシがあって、展示に力を入れながら大英博物館のことを引き合いに出している記事をどこかで見た。
松本については現在、鈴木宏宗さんの研究が一番詳しい。
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