中根重一のこと
夏目漱石の岳父・中根重一(1851-1906)、東京書籍館勤務経験があった(身分は雇)というもの。永井久一郎(荷風の父親)館長補の下でどうもドイツ語の洋書の整理をしてたらしい。
ドラマ漱石の妻では舘ひろしさんが演じていて、教員をやめたい漱石が帝国図書館に就職できませんかね?と斡旋を頼んだところ「あんなところはやめておけ」と一蹴するシーンが、関係者(私含む)の涙を誘ったわけだが、まさか本人に勤務経験があったなんて…。
秦郁彦『日本近現代人物履歴辞典』によれば
とある。この博物館は、科博の源流のほうである。
『国立科学博物館百年史』に彼の名前が登場する。
その他では、あまり名誉な登場の仕方ではなく、防湿材として入れるべき薬品を間違えて陳列中の医術機器に赤錆を生じさせてしまい、なおかつその修繕に非常にお金がかかってしまったということで、進退伺を館長事務取扱に出しているというものであった(『国立科学博物館百年史』p.33)。
結果、中根は「不注意」でけん責処分を受けているが、それ以上はよくわからない。
東京書籍館は明治10年2月に閉館となるが、中根はそれより前に退職しているようだ。