NAGAREYAMA F.C.は昇格成らずも、見えた現在地。より強くなって上を目指すのみ。
神奈川まで駆けつけた多くのファンサポーター…これぞ流山魂!
関東サッカーリーグへの昇格チームを決める、関東の各都道府県の代表チームによるトーナメント戦、関東社会人サッカー大会。
その第1回戦が、2024年11月2日(土)に行われました。
千葉県社会人サッカーリーグ1部で優勝したNAGAREYAMA F.C.は、千葉県1位として出場。第1回戦のお相手は、FCカラスト埼玉南西さん。埼玉県南部…新座市、朝霞市、志木市、和光市、富士見市、ふじみ野市、三芳町等の地域を盛り上げようと活動をされている2019年創設のクラブで、昨年、埼玉県の2部を制して1部に昇格。今年は1部昇格初年度にして躍進し、埼玉県4位としてこの大会の出場権を獲得。NAGAREYAMA F.C.と同じく下部リーグから着実に駆け上がっている、成長途上にある勢いのあるクラブです。
この試合にあたっての状況は、いつものマッチデイプログラム的なフリーペーパーにもまとめていますので、よろしければご覧ください!
この試合の会場は、神奈川県の県立スポーツセンター、その人工芝ピッチである球技場2。台風の影響で不安定な天候が続いており、この日も試合前から雨が降ったり止んだり、という状況。それでも、こちらの人工芝のピッチは水が浮くこともなく。時折滑る選手がいたものの、プレーには大きな支障は無かったように思います。雨でも試合に影響が出ないのは、本当にありがたい!この日は風もなかったので、選手の皆さんがプレーする環境としては非常にやりやすかったのではないかな、と感じました。
負けたら終わりのトーナメント戦なので、一試合一試合がNAGAREYAMA F.C.が一つ上のステージに上がるための重要な試合。いつも、こういう重要な試合には多くの方が応援に集まってくれるのがNAGAREYAMA F.C.の凄いところなのですが、とは言っても、ここは神奈川県。しかも、事前の天気予報で悪天候ということも分かっていたので、正直、会場まで足を運んでくれる人は多くないかな…と思っていました。
いや、甘かった。皆様の「NAGAREYAMA F.C.を応援したい!」という熱い気持ちを侮っていました(笑)
この条件下でも、この日は50名を超える人が集まってくれていたように思います。ホント、ありがたいです!!
きっと、選手たちの力になったと思います!
小細工無し、やりなれたスカッドで真っ向から勝負を挑む!
今節のNAGAREYAMA F.C.のスカッドはこちら。
GKは#1板橋 柊哉選手。
DFは右から#2岡田 俊祐選手、#5長坂 拓紀選手、#9橋本 真吾選手、#16延山 光聖選手。
MFは右から、#24栢野 史也選手、#26三好 崇斗選手、#23長野 峻己選手。
FWは右から#15板垣 敢大選手、#13板倉 航希選手、#10寺内 大登選手。
直近の、千葉県社会人サッカーリーグ1部の最終戦、房総ローヴァーズ木更津FCさんとの試合と同じスカッド。
ここまで来たら変な小細工はせず、やりなれたスタイルで真っ向から勝負を挑む、ということですね!
ベンチには#3牧野 純己選手、#6山室 伊ノ介選手、#7砂田 琢己選手、#8小野田 大樹選手、#14高木 一希選手、#17今山 育巳選手、#18加藤 康徳選手が入りました。
痛恨の早い時間での失点…果敢に挑むがゴールは遠く
試合はどちらかと言えばNAGAREYAMA F.C.がボールを保持し、FCカラスト埼玉南西さんが奪ってから縦に早いカウンターを狙う、という展開に。
最初のチャンスは、NAGAREYAMA F.C.に。
前半4分、コーナーキックのこぼれ球から#26三好 崇斗選手がシュートを放つも、枠の外に。
更に前半14分、高い位置で#16延山 光聖選手がボールをひっかけると、拾った#13板倉 航希選手が、前目にポジショニングしていたGKを見てかなり遠めから思い切ってシュート。あわやゴールかと思いましたが、惜しくもクロスバーをたたき、ゴールならず。
FCカラスト埼玉南西さんは、恐らくNAGAREYAMA F.C.と同じく4-3-3の布陣。ボールを奪うと一気に押し上げ、縦に早い攻撃を繰り出してきます。
それでも、NAGAREYAMA F.C.はピッチを広く使いながら中盤の3選手の運動量を活かしてしっかりボール保持し、チャンスメイクできていました。
形は悪くない。このまま続けていって、ゴールを奪おう!そんな雰囲気の中、試合が動きました。
前半15分、FCカラスト埼玉南西さんがNAGAREYAMA F.C.の右サイド、低い位置でボールを受けると、逆足の右足でファーサイドに長いクロス。そのクロスの落下点を読み切ったFWが、胸トラップからボレーシュートという見事なプレーでゴールネットを揺らし、FCカラスト埼玉南西さんが先制します。
先制したことで、FCカラスト埼玉南西さんはリスクを排除した戦い方にシフト。4-3-3の布陣から両サイドのFWを低い位置に落とし、4-5-1のような形でブロックを敷き、ゴール前、中央に人を割いた厚い守り方へシフト。
NAGAREYAMA F.C.のDFラインが高い位置に上がるとボールホルダーへ対しては相対する選手がプレッシャーを掛けに行きますが、全体が連動してプレスに行くわけではなく、あくまでパスコースを限定するためのプレスだった印象。なので、一人がプレッシャーを掛けに飛び出しても中央の危険なエリアが緩むことは無く、中盤は常に相手選手5人が陣取る数的不利な状況に。序盤のように思うような崩しが見られなくなってしまいました。
そんな中でもなんとかゴール近くまでボールを運ぼうと試みますが、なかなかシュートまで持ち込めず、前半はそのまま0-1とNAGAREYAMA F.C.が1点ビハインドで折り返します。
後半に入ると、相手の守り方を見てNAGAREYAMA F.C.が攻め方を修正。早いタイミングでロングフィードを逆サイドに送り、サイドで起点を作る攻撃を増やしていきます。
後半9分、#9橋本 真吾選手のロングフィードを#10寺内 大登選手がしっかりおさめ、早いクロスを送るも、これは惜しくも合わず。
後半15分、先ほどと同じような展開から#13板倉 航希選手がシュートを放つも、惜しくも枠の外へ。
後半24分、#9橋本 真吾選手が頭でクリアしたボールをしっかり味方につなぎ、#10寺内 大登選手、#24栢野 史也選手、#15板垣 敢大選手とつなぎクロス。ここからゴール前に選手が入り乱れた混戦になり、最後はエリア内に侵入した#15板垣 敢大選手がアウトにかけたシュートでゴールを狙いますが、惜しくも枠の外。
ゴールに迫る回数は前半よりかなり増えたのですが、なかなか決定的とまで言えるチャンスを作ることが出来ず。中に人数をかけて複数人で守るFCカラスト埼玉南西さんの守備を上回ることができませんでした。
その後もNAGAREYAMA F.C.が押し込む時間は多かったのですが、結局、最後までゴールを割ることが出来ず、そのままタイムアップ。
NAGAREYAMA F.C.が0-1で敗れました。
勝敗を分けた先制点…FCカラスト埼玉南西さんの狙いを防げず
サッカーにおいて先制点の重要性は言うまでも無いことですが、まさしくその先制点が大きく勝敗を分けた試合だったのかな、と思いました。
先制されるまではNAGAREYAMA F.C.の方がチャンスを作りかけていただけに、NAGAREYAMA F.C.が先制できていればまた違った展開になったと思うのですが…。
ただ、それではあの失点は単なるラッキーパンチ…アンラッキーな失点なのかというと、決してそんなことは無く。FCカラスト埼玉南西さんにしてみれば、しっかり狙った形で奪った、狙い通りの得点だったと思います。
失点の場面、FCカラスト埼玉南西さんの蹴り手、受け手共に、お互いにしっかり手をあげて「蹴るよ」という意思疎通をしていました。そのタイミングで、右のFWもしっかりエリア内に入ってきて、ファーサイドは完全に数的不利な形になっていました。恐らく、チームの約束事として、低い位置からファーサイドへのクロスというのはしっかり準備されてきたパターンだったのだと思います。(実際、この失点のシーン以外でもこのパターンで危ないシーンを作られました…)
トラップからボレーシュートという流れは確かにスーパーなプレーとゴールでしたが、しっかり準備してきたもの、自身の強みを、あの局面では完全に出されれてしまった。防ぎきれなかったな…という印象でした。
強みを出して、自分たちのプレーが出来たFCカラスト埼玉南西さんと、早い時間での失点により、自分たちの強みを出せなくなったNAGAREYAMA F.C.。その違いがそのまま勝敗につながったように思います。
一番の収穫…NAGAREYAMA F.C.の現在地は
NAGAREYAMA F.C.の初めての関東サッカーリーグ昇格への戦いは、1回戦で潰えるという、ほろ苦い結果となりました。
昇格という、目に見えた形でステップアップできなかったのは、残念。
でも、この挑戦は決して無駄だったわけではないですよね。挑戦したことで、求めていたものをつかみ取ることは出来ませんでしたが、目指す山の高さを身をもってリアルに知ることが出来たこと。そして何より、現在の自分たちの立ち位置…現在地を知ることが出来たことは、必ず次につながるはず。
今回の関東社会人サッカー大会、1回戦と2回戦の県ごとの結果。
房総ローヴァーズ木更津FCさんも敗れたため、千葉県代表チームは1回戦で姿を消すことに。そして、各県の結果を見ると、際立つのは東京の強さ。我々が破れた埼玉ですら、1回戦を突破できたのは僅か1チームのみ。
これが、関東全体のリアル。千葉のリアル。
つまるところ、千葉を制して満足しているようでは、先に進むのは到底無理だということ。それこそ、今の千葉県で圧倒的な存在にならなければ。
東京や神奈川、埼玉を勝ち上がってきたチームと伍するためには、それくらいの力を身につけなければいけない。
それがわかったことが、今回の挑戦の最大の収穫だったと思っています。
この結果により、NAGAREYAMA F.C.は来年も千葉県社会人サッカーリーグ1部で戦うことが決定しました。
でも…また同じ戦いの繰り返しか…という感じはしていません。
目指すべき山の姿が見えた。
現在地が見えた。
厳しい戦いを通じて、チームとしての課題もたくさん見えたと思います。来年は、それらにしっかりと向き合って、己の力を磨く戦いです。
敵は、目の前の相手だけではなく、自分たち自身の目線の高さ。
もっと、強く。逞しく。
NAGAREYAMA F.C.の挑戦、ここから続きを始めましょう!!
今週は以上になります。最後までお読み頂き、ありがとうございました!