火星の日曜日
シャニマス4thライブで、アイドルそれぞれが自分の過去と未来へ向けて書いた手紙が出る演出がありました。誰しもが激しく心が揺さぶられたことと思います。
どのアイドルについても言いたいことはたくさんあるのですが、僕がしばしば情緒をめちゃくちゃにされている浅倉透がまたしてもやっていたことに触れずにはいられません。あいかわらずの浅倉節で一読する限りでは謎な文章ですが、そういうものほど丹念に読み込めば透なりに大切な何かが込められているものです。これまで透の言葉ひとつひとつに向き合って形成してきた解釈に照らしてみると、透の手紙の内容が理解可能になることに気づき、覚めやらぬ興奮に乗せて文章をしたためてみます。
演出内容をどれほど公にしていいのか判断しかねるので申し訳程度に抜粋することでお茶を濁しておきます。
透は目に見えるものを突き抜けた先に世界があり、そこになんらかの真実があることを直感的に確信している、と常々考えているのですが、結論から言えば火星がそうした世界である可能性を思いついたのではないかという解釈になります。
順を追って考えます。まず透はジャングルジムのてっぺんを何かの元イメージとして持っています。それを決して到来しない「目に見えるものの向こう側」と捉え直すと、同じ構図のものがいくつか見つかります。引用元を誰でも読めるコミュに限定しておくと、『海へ出るつもりじゃなかったし』で言われていた「ほんとの世界」が好例です。透は年がかわる瞬間にジャンプするとほんとの世界になると言うのですが、注目したいのは0時0分00000秒に滞空していればいいのではなく、その瞬間に跳ぶ必要があるということです。以前「浅倉透の時間意識」という記事で、そこから透が循環から離脱しようとしているということを述べました。年という周期的なものの切れ目である年越しの瞬間にジャンプすることで一年という循環から外れようとしたのではないかということです。
今は議論を割愛していますが、透はジャングルジムに登り続けててっぺんにたどり着かないというイメージを、同じところをぐるぐるする循環のイメージで理解し直しているのではないかと考えることができます。そして、存在するに違いないジャングルジムのてっぺんを循環の向こう側に重ね、循環から抜け出しさえすれば「ほんとの世界になる」と考えたのだろうと読んでいます。
さて本題の火星なのですが形式的には「目で見えるものの向こう側」にあたります。のちに循環の外側にあるはずの「ほんとの世界」としてみなされるような、透の探求の対象になりうるもののように思われます。しかし透は「向こう側」であればなんでも興味を持つわけではなく、(おそらく無自覚にですが)たとえばそこに激しい生命の躍動があることによって惹かれています。その最たるがGRADで顕微鏡越しにみたミジンコの心臓がどきどきしていたことです。自分の解釈としてはこのとき初めて向こう側に生命の躍動があることを確かめるに至ったと考えるのですが、それまでは向こう側に生命の躍動があることを直感的にのみ把握し、惹かれてきたのではないかと思います。(【pooool】の二つ目のコミュが最大の根拠になるのではないかと思います。)
そしてかつて直感的に惹かれたものの一つが雪が降る火星ということだったのではないでしょうか。実際、火星ではドライアイスが豪雪のように降ることがあるのではないかという話が数年前に出ていたようです。火星には水があるかもしれないという流れで、実は生命があるとか移住先になるかもしれないとかいった話題になることも多い星です。なので目に見えるものの向こう側である火星で生命の躍動と言わずとも活発な自然活動があるかもしれないことを知り、火星をよく眺めて何かを見つけようとしたのではないかと考えられます。
それから「月火水木金土……」というのは火星からの連想ゲームでしょうが、日曜日と言うのをとどまって、火星の日曜日のことを考え始めたのは0時0分00000秒と同じロジックではないかと理解できます。つまり週の変わり目である日曜日が火星にもあり、火星でも時間が循環するのか、それとも火星には1週間がなくて、周期的ではない時間が流れているのか。そういうことを考えていたのではないかというのが個人的な解釈です。
特に大事なのは、向こう側には別の時間がある可能性で、別の時間があるということの意義は透にとってもわれわれにとっても極めて大きいものと考えているのですが、紙幅の関係上、それについて話すのは別の機会に譲ります。
(終盤に駆け足で述べた解釈、特に別の時間があるということについては、詳細な記述をしないことには話にならないのですが、実はそれについてはすでに書いていて2万4千字程度の未発表原稿があり、若干字数は削りますが公表する機会を用意してもらっています。
上の議論に納得がいかない方やご興味のある方がおられましたら、申し訳ありませんが、しばらくお待ちください。)