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60分以内に書き終わらなければいけない部屋【オリジナル小説】
こんばんは。今日もお疲れさまです。
昨日の私の愚痴だけの記事が10もスキを貰えていてびっくりしました。やはりnoteには優しい人が多いって噂は本当だったんですね。もう一生ここでただ愚痴り続けていたい。(やめろ)
本当にありがとうございます。改めてお礼申し上げます。
さて、今日は火曜日なのでそんな優しいnoteの世界に影を落とす私の創作小説掲載デーですが(どんな日だ)、そもそもは一月前、
勝手に張り切って勝手に書こうと思っていたのに書けなくなってしまったので過去の作品をアップするという我ながらアホな流れから始めた創作小説アップ。今回は一月越しに頑張って新作を書いてみました!新作って言葉素人が使うとそこはかとないどや感もあって初々しくて若返るような気がする本当に良い言葉ですよね!
今日も今日とてテンションがおかしくて話が逸れましたが、前回書くことを意識し過ぎて書けなくなったので今回は締め切りだけを意識して書いてみる事にしました。60分一本勝負。まぁ、結論負けて2時間弱かけて書きましたが。まずは書ききると言うことが今の私には必要かなと思いまして言い訳云々。
そんなわけで新作です(どや)心の広い方、ぜひ読んで頂けたら最高です。
【60分以内に書き終わらなければいけない部屋】
目が覚めると頭痛がした。嫌な目覚めだ。
こめかみを抑えながら起き上がる。何かいつもと違う感じがした。
「60分以内に書き終わらなければいけない部屋」と赤い文字で壁に大きく書かれている。さらに少し小さい文字で「あと3回」と続く。
なんだこれは。記憶にない。……が、この頭痛からすると間違いなく
「昨日の夜飲み過ぎたなこりゃ」
別に驚くことは無い。自分のことだ。俺はこういうわけの分からないことを仕出かす人間なんだ。今更身に覚えのない落書きがあったところで……これ退出の時クリーニング代請求されたりするんだろうか。まぁ、引っ越すつもりも予定も無いしいいか。まずはトイレ行って顔洗って……
欠伸をしながらドアノブを捻る。いや、捻ろうとした。自分の手が滑るだけでドアノブはびくともしない。なんだこれは。
まさか酔った勢いでドアに接着剤でも使ったのか? 勘弁してくれよ。もう飲まないぞ俺は。
先月も誓ったけど。
ドアノブを無理矢理前後に押してみたり、ドアに体当たりしてみたりをかなり繰り返してみた。
はい。降参。ドラマや映画何かだと簡単そうにやってるのにな。まぁ、いいさ。俺はこういう奴だ。
しっかし、困ったな。こう言う時一体どこに連絡すればいいんだ?119番か?いや、それは何か申し訳ないよな。アパートの管理会社……いや、弁償金とかの話になると面倒だしまずは便利屋とか適当に検索して……
スマホを手に持つと画面が真っ暗だった。マジかよ。こんな時に充電切らすとか俺は本当……俺だな。充電ケーブルに繋いで暫く待つ。手近にあったもう何度も読んだ短編小説集を読んで時間を潰す。三話読み終わったところでスマホを確認する。黒く冷たい画面のままだ。全部のボタンを押してみたが全く反応しない。こんなことあるのか。
慌ててもしょうがない。パソコンを立ち上げる。いや、立ち上がらない。どのスイッチを押してもスマホ同様黒くて冷たい画面のまま固まっている。
マジかよ。流石にここまでのピンチは人生初じゃ無いか?こうなったらもう窓ガラス割って通行人に助け求めるくらいしか無いか?ガラスって修理代どれくらいするんだ?あぁ、落ち着かない。そうだ一回トイレ行って落ち着こう。……ってだからそうだよ!ああっ!
流石に冷静さを失って頭を抱えた。頭を抱えたところで尿意は去らない。背に腹は変えられない。俺は冷静になって部屋にちょうど転がっていたペットボトルを拾い上げた。
そこで目覚ましが鳴った。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリー
目が覚めると頭痛がした。嫌な目覚めだ。
こめかみを抑えながら起き上がる。
まずはトイレだ。ドアノブを回す。いや、回せない。マジかよ。
「60分以内に書き終わらなければいけない部屋」と赤い文字で壁に大きく書かれている。
字体まで夢と同じじゃ無いか。昨夜のことはさっぱり思い出せないのに、さっきの夢は嫌にリアルに覚えている。おまけに尿意も覚えている。
冷静に舌打ちしてペットボトルに用を足す。深酒した翌日にしては量が少ない気もする。
ペットボトル越しにもう一度壁の文字を見る。
待てよ。小さい文字では「あと2回」と書かれている。夢では3回と書かれていなかったか?何だこのカウントダウンはどう言う意味だ。
ここに来て初めて恐怖を感じた。俺はそういう奴だ。努めて冷静にカーテンを開けて外を見る。いや、見えなかった。スマホとパソコンの画面と同じだ。黒く光っていて外が見えない。いつからこの部屋の窓はスモークガラスになったんだ?マジックミラーか?
ここまでくるといっそ面白い。笑いながら力一杯椅子を叩きつけた。何度も何度も。何度目かでやっと壊れた。椅子が。椅子だけが三つに分かれて、俺の手には背もたれの先だけが残った。いつの間にか腕から血が出ていた。椅子の破片で怪我したんだろうか。
そこで目覚ましが鳴った。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリー
目が覚めると頭痛がした。嫌な目覚めだ。
こめかみを抑えながら起き上がる。
額にもの凄い汗をかいている。腕で拭うとぬるりとした感触があって一瞬ぎょっとする。腕から血が流れていた。
嫌に喉が渇いている。でも、俺はそこに転がるペットボトルの液体が飲めないことも、スマホとパソコンと窓ガラスがどうなっているかも知っている。ドアノブも壊れた椅子ももう触る必要は無い。
代わりに机に置かれている原稿用紙とペンを手に取った。今更こんなアナログで何を書けって言うんだよ。
「あと1回」壁の文字はさっきより大きくなっている気がする。だから、あと一回過ぎたらどうなるって言うんだよ。
誰も返事をくれない。何も返って来ない。ずっとそうだった。黒く冷たい画面。俺の目の前にはいつもそれしか無かった。ただ答えが欲しかった。そのためにひたすら書いていた。けれど何も変わらなかった。
そうだよ。俺、思い出したよ。昨日の夜、死のうとしたんじゃないか。俺は。
と、言うことはここは既にあの世だろうか?それとも、ここで書けば現世に戻れるとかいう最後のチャンスなのか?
どっちでも良かった。この世だろうとあの世だろうと答えが無ければ関係ない。でも、ここが何かの最後なら最後に書けることがまだあるだろうか。
結局俺は書いてみることにした。それしかできることがないのだ。俺はそう言う奴だ。でも初めてだった。こんな何かに祈るような感謝するような気持ちで書くのは。ただ書くことが喜びだったことを思い出した。
息を吐き、顔を上げる。流石にもう1時間は経っている気がするけれど、そう言えばこの部屋には時計がない。ふと、部屋が明るくなっている事に気づいた。窓から光が差し込んでいる。カーテンを開く。アホみたいに長閑な青空が見えた。
自分の書き上げた原稿を読んでみる。とんだ駄作だった。マジかよ。あんなに死ぬ思いで書いたのに?むしろ一度死んだのに?
拍子抜けしてドアノブを捻る。当たり前の様に回転した。いや、当たり前だった。
安心してトイレへ向かう。この時の俺はまだ知らない。玄関のドアに「一日で書き終わらなければいけない部屋」と赤い文字で大きく書かれている事実を。
≪了≫
今回何度やっても引用表示ができなくて諦めました。スマホのメモ帳からコピペしたから?誰か答えを下さい。。
答えが無くても明日も多分書きます。よろしく、私。
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