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有料過去記事まとめ

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これまで有料で公開してきた記事をまとめています。瞑想の性質についての解説や、独り語りのマニュアルなど、ボリュームと読み応えがあって有益なエントリが多いかと思いますので、よろしけれ…
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#古典

「読む」ことのプロであるとはどういうことか

 昨日のエントリでは、なぜ「人文学」の人たちは原典を読もうとするのか、という問題について、私の立場からの解説をひととおり記した。本稿ではそれに引き続いて、「人文学」の教育現場で多く行われている原典講読のゼミ(演習)の効用についての話からはじめて、さらにこの知的営みの性質について明らかにしてゆくことにしたい。

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なぜ「人文学」の人たちは原典を読もうとするのか

 最初に用語の定義から述べておくと、ここでいう「人文学」は Humanitiesの意味であって、自然科学(Natural sciences, これを複数形にすべきかどうかという問題はとりあえず措いておこう)、社会科学(Social sciences)と並ぶ、学問領域の伝統的な三分類のうちの一に相当するものである。一部SNS等で繰り広げられている「人文学」(もしくは、「人文系」)に関する言説には、どうもこうした基本的な定義の確認すらなされておらず、そもそも自分が立論のために使用

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