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thinking 5 -虫のいる世界-

たまにふと思う。自分が虫だったらって。正直、今から虫になれるわけでもないし、生まれ変わったら今の記憶がそのまま引き続けるとは限らない。ましてや、生まれ変わるということがリアルに起きるのかはわからない。想像や空想の世界に表現できても、人が命を終えた後、本当にどうなるかは誰にもわからないからだ。

話が脱線しそうなので軌道修正しますが、自分が虫だったらって考えたことありますか?自分の視点に置き換えた時、虫の見える世界って凄いと思う。凄いという言葉がどの程度の規模で凄いを表すかは人それぞれの判断だが、私にとって虫の見える世界って凄いと思うの凄いは、雨と雪が同時に降るくらいびっくりすることなのだ。

またまた話が脱線しそうなので軌道修正しますが、なぜ私が虫だったらって考えたかというと、今日私は、虫を一匹天国に連れて行ってしまったのだ。もしこの世界に虫を殺したら罰を与えるという法律があったなら、私はおそらくシリアルキラーになってるだろう。今は少しだけ都会に住んでいるが、昔は森の奥の奥の風景が広がった家に住んでいた。虫が日常に生きているのは日常茶飯事で、虫を怖いと思ったことはほとんどない。さすがに、毒を持った虫はこちらからノーサンキューだが、蚊やハエは限りなく多くの命を葬ってきたと思う。

今日私が出会った虫は突如として私の前に向かってきた。その後、部屋の隅に飛んで行ったのだが、手のひらサイズのごみ袋の中にすっと入り込んだ虫をそのまま捕獲した。すぐに封をすると、ごみ袋の中で虫がくるくると走り回っていた。この虫の種類が何かは正直わからないが、蚊やハエではないことは確かで、カナブンっぽいなという印象だった。そのまま外に逃がしてあげようとした瞬間、私の頭の中にある仮説が思い浮かんだ。

もしこの虫が、あの虫だったら。生命力の高い、嫌いな人は見るのも触るのも嫌と言われる、通称Gと呼ばれるあの虫だったら。正直、とても小さかったし、子供のGかもしれないとは思ったが、形的にはカナブンかもしれないと思った。でももしこの虫が、成長して私の部屋にもう一度帰ってきてしまったとしたら。気づいたら私は、虫の入ったごみ袋に無心でパンチしていた。これがもし対人だったら過剰防衛であろう。でも相手は虫で、もしかしたらGかもしれない。ここはもう息の根を止めるしかない、その一心だった。

私はまた一匹の虫を殺してしまった。でも私は罪に問われていない。だってそれは、私が人間の世界に住む人間だから。私が虫の世界に住む虫だったら、私はどうなっていたんだろう。そんなことを考えながら、私はG対策用のグッズを買う決意をした。

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