芸能界漂白化の行く末はどうなるのか
年末から騒がれていた中居正広とフジテレビの上納文化に関する報道が、（少なくともSNS上では）落ち着きを見せてきているので、私見をまとめていきたい。
まず初めにこの問題の関してだが、登場人物全てが何かしらのキズを抱えており、完全たる「正義」は存在しないことだ。
中居正広氏の女癖からくるSEXスキャンダルは確かに問題であっただろう。そしてフジテレビ側でも女性アナウンサーをアイドルかのように扱い、いきすぎた接待に同席させていたことも問題だろう。
しかし週刊文春側も、フジテレビが制限なしの記者会見で地獄絵図を晒した後、後出しジャンケンのように訂正記事を掲載しメディアとしての倫理を問われることとなった。
被害女性とされるX子さんも、中居正広氏の報道の前後で有料ファンクラブの開設やフォトエッセイを発売していたりと詐病を疑われる素地を作ってしまっている。
そして何よりこうした大SEXスキャンダルが報道されたとき、同僚の女性アナウンサーたちから「私もやられた！」と日本版のmetoo運動に発展しなかったことも問題であろう。本当に自分達は被害に遭っていない場合も勿論あるだろうが、性接待文化によって立身出世を果たした人もおり、その後ろめたさから告発しないのではと邪推されてもいる。
元NHKアナウンサーの神田愛花氏も局アナ時代に頻繁に合コンに行っていた話を赤裸々に語っており、（中には性に奔放でもあった発言もしている）性を最大限活用する文化を持ち合わせていることを裏付けることとなった。
コンプライアンスで浄化される芸能界
示談成立したにも関わらず報道され大問題に発展したスキャンダルは、中居正広氏の芸能界引退で幕を閉じた。
その後、M1グランプリを史上初の2連覇を成し遂げた令和ロマンの髙比良くるま氏のオンラインカジノ問題で揺れている。
オンラインカジノは海外への不正送金やマネーロンダリングの温床にもなっており、反社会的勢力との繋がりにも発展することから普通であれば一発退場案件ではある。しかし今回のオンラインカジノ問題は違法性を上手に隠している悪質性からくるま氏を擁護する意見も一定数あり、一定期間の謹慎で住む可能性が高い。
しかし、テレビ番組に映り込むから収録中に途中退席させられたりと厳しい制裁を受けてもいる。
近年では芸能界でもコンプライアンス教育を徹底しており、芸能界も漂白化が進んできている。
たった一度の失言であっても、許されなくなってしまうくらいにだ。
忘れてしまった人もいるかもしれない。
タレントのフワちゃんがお笑い芸人のやすこ氏にX（旧Twitter）上で失言をしたことが大きな話題となったことが。
確かに暴言は良くはないが、本人が謝罪をし和解した。しかし明らかにその「罪」には見合わないほどキツイ「制裁」を受け、事実上の芸能界引退状態になっている。
「やすこさんは、形式的には謝罪は受け入れたが心の底では許してないんだ！」と代弁する方がぺけったーランドに多数湧いたのだが、やすこ氏自身が否定している。もし仮に心の底では憎しみ・蟠りがあるのであれば共演NGにすれば良い。
しかし現実はそうはいかず、フワちゃんは芸能界から消されYouTubeをはじめとするSNSの更新も全て止めてしまった。彼女自身の信用もあるかもしれないが、世間が彼女のほんのちょっとした「不道徳さ」にNoを突きつけた。完全な「ホワイト」な人間でなければ、完全コンプライアンス準拠型の人間でなければ一発退場にしてしまった。
かぶきもの、いわゆる「はみ出しモノ」が最後の希望・活路として見出す場所が芸能界であった。
そんな「はみ出しモノ」達が集まるからこそ、芸能界は超がつく縦社会なのだ。旧ジャニーズグループも吉本興業顔負けのホモソーシャル全開の超縦社会なのが何よりの証拠でもある。（君付けで誤魔化してはいるが）
しかし一般社会（特に陰テリ・陰キャの巣窟のペケったーランド）ではそんなホモソーシャル全開の縦社会は、蛇蝎のごとく嫌われ非難の的となった。その結果どうなっているのか。縦社会文化で抑えられる必要がないくらいには自立できている人間だけが生き残れるようになりつつある。
次の「漂白化」のターゲット
では急速に漂白化されてきている芸能界で生き残ることができない人はどこへ行くのだろうか。
YouTubeをはじめとするインターネットの世界があると答える人もいるだろう。しかし、そのインターネットの世界も漂白化が進みつつある。
人気配信者の加藤純一氏のセクシー女優との不倫が、同業の配信者や視聴者から非難され、挙句の果てにはスポーツ紙のニュースにもなったことが、インターネット漂白化の端緒のようにも思える。（そもそもフワちゃんがYouTubeで復帰できないのもそうなのかもしれない）
YouTuberや配信者といったインターネットの世界は芸能界の世界にも入れない「はみ出しモノ」たちが集う最後の砦でもあったが、今や芸能人と同等の影響力と人気を持つことで、カタギの世界の倫理であるコンプライアンスが求められてきている。
そしてそれはVTuberにも波及しつつある。VTuberも今やアニメの主題歌や声優にまで波及しており、一部のオタクが愛でる存在ではなくなりつつある。
しかしVTuberの中には、ニコ生配信者で活動しながらもなかなか目が出ずにVTuberへと「転生」した者も多数存在し、さんざんインターネットの「アングラ」な文化に浸ってきたが一際注目を集めるようになると、コンプライアンスの名のもとに「漂白化」されていく。
カタギの世界では生きられないからこそ、インターネットの世界に来たのにだ。
おそらくだが彼女はVTuberが天職であり、他では生きていけないのかもしれない
そして次の「漂白化」のターゲットは言論界であろう。
好き好んで政治の話をしている人間たちに、社会性などというものはない人間が多数だ。もしくはおよそ一般的な会社ではアクが強すぎる「個性」も「漂白化」のターゲットになるだろう。
言論界が「漂白化」されれば、次はパンピーのツイッタラー達が標的になる。四六時中SNSに張り付いては「推し」の政党の悪口を言う者を叩き、ネガティブなニュースを打ち消すためにせっせとポジる投稿をする者に社会性なんてものは皆無に等しい。匿名性に隠れているが、彼らも立派な「はみ出しモノ」にすぎない。
「はみ出しモノ」達はどこへ行く？
『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈は非行少年であったが天性のボクシングの才能を見出され、プロボクサーへとなった。彼とライバルの力石徹は少年院にも行っている。
こんなバックボーンを持つ人は、今の格闘技界には絶滅危惧種レベルだろう。どちらかといえば、幼少期からの英才教育を叩き込まれたエリートが目立ちつつある。
「はみ出しモノ」は次はどこへ行くのだろう。
ヤクザのような反社組織は、追放運動の甲斐あって受け皿にはならなくなった。
女性であれば性風俗産業があると思うかもしれない。しかし、相対的にデフレ化している性風俗産業では、嬢のスペックのインフレ化≒優秀な人間以外はクビ切りになる状況になっている以上、「はみ出しモノ」は追放されてきている。セクシー女優も同様だろう。
私たち一般人には見えないアングラな世界へと旅立ってしまった彼ら。見たくないもの・臭いものに蓋をした結果、見たくないものを見てしまう事によるストレスから解放はされた。しかし、その「パンドラの箱」が開いてしまったらどうなるのだろうか。
今の「闇バイト」どころの騒ぎではないのかもしれない。
そして次はあなたの好きなもの・推し、もしくはあなた自身が「漂白化」のターゲットにされるかもしれない。目をつけられないように大人しくする≒何もしないという選択を取れば済むのかもしれないが、積極性を無くした社会に発展は来るのだろうか。
出る杭は打たれるが、杭が全く出なければ沈むだけだ。
P.S.
先日結婚式を挙げました。
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