セルフリノベ
お店を始めてもうすぐ3年になる。3年前の今頃は、毎日朝から晩までほぼ一人でお店の施工をしていた。お店は築40年近い古いアパートの2階。そこをリノベーションしてAURORAを始めた。コンセプトは、アパートの暮らしそのもの。気づかれた方がどれくらいいるか分からないが、実は枯白さんに作ってもらった看板にも"Apartment"の文字が入っている。
私が扱うものは全て作家さんが作った手仕事の道具や器など。それをお店で使うことで、生活の中でどう使うか、使った先に何があるのかが見えるような店作りをしたいと思って、家のようなお店を作った。AURORAはライフスタイルそのものを売るような店でありたかった。
インテリアは古いアパートのレトロな雰囲気を生かしつつ、作家さんの作品に引き立つような空間にしようと思った。家具は古家具を買い集めて。私はミッドセンチュリーのレトロモダンが好きで、それはそれでアパートにも合いそうだったのだが、それでは家具の方が目立つ可能性があったので、好みはあまり生かさない方向でインテリアを考えた。
リノベーションといっても間取りは変更しなかったので、大工さんにはお願いせず、できることは自分で全て行った。お願いしたのは電気工事と、水栓金具の取り付け程度。全部で2ヵ月かかった。DIYなど何もやったことがなかったので、調べながら施工していった。セルフリノベで行ったことを列挙してみる。
・和室の畳をフローリング板に変更
・襖紙を黒板塗料で塗装
・キッチンと洋室の天井をペンキで塗装
・キッチンのクッションフロアをオーク複合フローリングに
・洋室のカーペットをオーク複合フローリングに
・ビニールクロスの壁を珪藻土の塗り壁に
・キッチンの流し台・ガス台を交換
・キッチンの吊り戸棚をペンキで塗装
・キッチンの目地をペイント
・キッチンと洗面台の水栓金具を交換
・トイレの繊維壁・天井をペンキで塗装
・ドアのペンキ塗装
・ベランダの床材を交換
・ドアカット
・玄関のクッションフロアを交換
具体的に何をどうしたのか、いくつか紹介しながら、素人目線で大事だなと思ったことを挙げてみたいと思う。まずは現場を採寸して図面を作るところから。不動産会社に図面をもらって(CADがないので)イラレでトレースして尺度を入れる。(建具が適当...笑)
ここからリノベーションを考えて、資材を揃えていく。
それでは和室から。和室は天井だけ生かして、床はパイン無垢材に。6畳分でコスト38,000円。細かく採寸して図面を引いて、フローリング材の発注数を割り出し、ホームセンターで根太にするための木材(何を使ったか失念)を買ってきて、土台を作る。パイン材は柔らかく傷がつきやすいので取り扱いには注意が必要。でもその代わりカットしやすい。丸ノコを使うのは怖かったので、フローリング材のカットは全て手動で。一旦全ての板を仮置きして一列ずつ採寸し、カットしていく。カットし終えて夜になったため、フローリング板をビスで打ち付けていく作業は翌日に。そこでハプニング発生。無垢の板は膨張したり反ったりしやすく、翌日には変形してサイズが変わってしまい、カットしたものでは合わなくなってしまった。もう一度カットし直す羽目になったが、それでも上手くいかず、隙間ができてしまった。時期にもよるかもしれないが、無垢を扱う時にはカットしたらすぐに張っていくのが無難だということを学んだ。ビスを打つのも普通の電動ドライバーでは大変なので、インパクトがあると良かったなと思う。張り終わったらオイル塗装。サンダーをかけてからワトコオイルを塗装した。
襖は昔ながらの和紙の襖紙で、塗料メーカーの方に相談したら皺になると言われたのだけど、無事に塗ることができた。(壁の珪藻土は後述する。)
こちらが完成した写真。窓の障子は暗くて圧迫感があったので、外して枠だけを生かした。(現場の写真は全てiPhoneで。)
洋室とキッチンの床はTOOLBOXのイージーロックフローリングを使用した。これは表面のみオークの天然木が使われている複合フローリング材。無塗装なので、自分で好きに塗装して仕上げることができる。サネを利用してはめ込んでいくだけの置き型のフローリング材なので賃貸でもDIYが可能。ただ、表面がオークな上に合板で硬くカットが容易ではない。乱尺なので一列ずつバランスを見ながら組み合わせを考えて仮置きし、置き方が決まったら、一列ずつ端だけカットして、サネにはめ込んで置いていく。(最後の列は縦にもカットする必要があるのでとても大変!)
和室と同じようにサンダーをかけてオイル塗装した。オイルはこちらもワトコ。ミディアムウォールナットだったような。巾木や窓の木枠などはラワン材が使われていて、経年変化で赤みが増していたので、それに合わせて床の色を決めた。
置くタイプのフローリング材を使うときに気をつけなければならないのがドアの開閉。床あげすることになり、そのままではドアが開かなくなるので、ドアカットも併せて行った。
壁の珪藻土は予め水が混ぜ込んであるものを使用したので、届いたらすぐに塗る必要があり、作業ペースに合わせて都度発注。佐官工事も初めてなので、メーカーのWSに参加して塗り方を教わり、さらに有り難いことに、この洋室を少しメーカーの方に手伝っていただいた。それでやり方を覚え、他の部屋は全て一人で作業することができた。使用したものはもう廃番になってしまったようだが、余計なものが入っていないタイプの珪藻土で、防湿効果や空気清浄もしてくれるもの。ビニールクロスに直接塗れるタイプのものだったが、クロスの繋ぎ目にメッシュテープを貼ったり、剥がれかかっている部分はタッカーを打ったりしてから、シーラーを塗り、その上に珪藻土を塗った。珪藻土を塗るときには下地処理が大事。適当にやると後で染みになることがあるのでよく調べてからやるのがベター。壁を塗るときには養生も必要。養生はマステ+マスカーで。それから佐官作業で大事だなと思ったのはコテ。同じ商品でも個体差があり、少しでも曲がっていると綺麗に塗れないので、購入するときには反りがないかなどをチェックして。
姿見は枯白さんにオーダーしたもの。虎斑が入った珍しい桜材で作ってもらった。
何よりも大変だったのは、繊維壁・天井の塗装。これは何度シーラーで下塗りしてもボロボロと剥がれてきて難易度が高かった。キッチンのレトロな天井もムラができやすくて苦戦。意外とコテで厚塗りできる珪藻土の方が楽だったと記憶している。
このキッチンのレトロなこと...笑 ツルッとした表面の扉はペンキを密着させるためにプライマー処理をしてからペンキを塗る必要がある。
ガスコンロもTOOLBOXで購入したもの。こちらも廃番になってしまったよう。業務用で弱火が苦手なので家庭用には向かない。
長くなりすぎたのでこの辺にしておこうと思う。何か思い出したことがあれば、また追記するかもしれない。