case ドラマチックマフィア
その人はとても嘘つきな人で、初めて会った頃から何かと辻褄の合わない嘘を付いていた。調べたらわかることも、調べなくてもわかることも。
当時の私はなんでもいいからつかまるところが欲しくて、ちょっとした風よけになってもらったり、レッドブル代わりになってもらったり、精神的な自慰行為もどきになってもらったり勝手に好きに使っていた。
東京に住んでいると言っていたが実は日本の果ての方に住んでいる。
結婚はしていないし、したこともないと言っていたが、嫁と住んでいる。
不眠症だと言っているが本当によく眠る。いびきをかいて。
ただ、何かに怯えるように突発的に目覚めるのは本当だった。
表向きは普通のお仕事もしているが、人に言えないような仕事もしている。
お前のために縁を切ってくると壮大な劇場を見せられたけど実際は何も変わらずズブズブである。
何も信じられないこの人を愛していたのか今となってはわからないけど、この人がいないと起きて1日を始める意味も、何かを食べる意味も、そもそも生きる意味もなかった時期が確かにあった。
架空の人物でも目で見て触れられなくても支え合えることもあると教えてくれた人。
人を信じる、その人を知るってのは事実や過去だけじゃなくて、自分が見て聞くことが全てだって思い込めるなら最強だって思えた。
綺麗に書くとこんな感じだけど冷静に考えたらロクな奴ではないけどね。
necoco
読んでいただきありがとうございます‼︎ さらにパンチの効いた逞しい女になるべく、支えにさせていただきます♡