-30day 始まりの前日

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今夜、自分の住むエリアに、「緊急事態宣言」が発表されるとのニュースを受けて、最後のスタバを飲みに行った。

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店内は、座席数を減らしたレイアウトでガラガラ。

一人も居ないテラス席を陣取る。

今年は夜桜もあまり見ることができず、今宵は夜空に輝くスーパームーンとのサシ飲み(ただし珈琲)だ。

このスタバがこんなに空いているのは、開店以来初めてかもしれない。

以前は別のコーヒーショップが入っていたテナントに、ビルのリニューアルに合わせてスタバが入ったのが約2年前。

仕事帰りに、休日出勤に、幾度となくお世話になった前店への忠誠心から、私はまだスタバに馴染めずにいた。

いつ覗いても混んでいる、というのも選択に影響している。

そんな、巷では大人気(らしい)スタバも、昨今のコロナの影響で土日は完全に閉店していた。

アメリカでの被害は甚大なので、こういった非常時にこそ、大きなチェーン店は統制されているのが分かる。

閉じる(営業自粛)ことができないのは、業種に依らず、いつだって個人経営の店なのである。

そんな事を考えながら、ホワイトモカを飲む。

スタバで私が、一番お世話になっているメニューだ。

非常に甘い。

甘すぎて喉が痛くなるほど甘い。

コーヒーはブラック派だが、仕事中に10杯も15杯も飲むよな生活をしていたため、若干気にしてラテを加えるようになったのは、初めての転職のあとだった。

スターバックスラテが一番美味しいのは承知の上だ。

だが、私にはホワイトモカを頼んでしまう習性がある。

その人に会わなければ、一生ホワイトモカを飲む事はなかっただろうという、親友がいた。

過去形なのは、事情があって今は顔を合わせることもできないからだ。

その人がホワイトモカばかり飲んでいたから、真似して飲んでいた時期があった。

以来、冬になると必ずホワイトモカを頼む。

それは、私がリラックスしているか、逆にノスタルジーに浸っているか、そのどちらかの場合だ。

健康なとき、私はスターバックスラテを飲む。

スタバのカップは中身が見えないので、飲んでいる味は自分にしかわからない。

自分にしか見えない位置に、WMの走り書きを見ながら、少しずつ味わう(甘いから一度にたくさんは口に含めない)

明日から、このお店ともホワイトモカとも、しばしのお別れである。

月を見上げながら飲んだホワイトモカは、心なしかいつもより甘い味がした。


旅行先:アメリカ合衆国


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