-7day 映画「グリンチ」
以下の感想には、ストーリーの重大なネタバレを含む可能性があります。
未視聴の方はご注意下さい。
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アニメが見たくなったので、ジャケットが気になった「グリンチ」を観た。
グリンチは孤独な人生を歩んでいた。
そのため、素直にひねくれてしまい(?!)世界中が幸せになるクリスマスを憎んで成長した。
ここまでが導入部。
ここに至るまでに、完璧に最適化されたグリンチの住まいと、家事全般を引き受けている超優秀な同居犬のマックスが紹介される。
マックスが本当に忠実過ぎて泣けてくる。
ご主人様にあんまりな扱いを受けても、絶対に見放さないマックス。
この2人の関係は、人間の家族のそれとなんら変わりがない。
亭主関白な夫と、甲斐甲斐しく世話をする妻に見える。
もしかしたら、引きこもりの息子かもしれない。
残念ながら、良い関係とは思えない。
孤独を噛みしめ、日々イライラしながら生活しているグリンチだが、マックスが居るかぎり彼は実はまったく孤独ではない。
マックスはそれをわかっている。
でもグリンチは、マックスの事を対等に見ていないからか、自分の理解者はこの世にいないとひねくれを加速させる。
そして、物語中盤、とんでもない暴挙に出るのであった。
その作戦への熱心さは、相当なものであり、グリンチの器用さと行動力は、できれば他の事で評価されてほしかった。
仮に、彼が市長などの人を扇動する職務についていたら、偉業を成し遂げたのではないだろうか。
そういった志は、愛されて育たないと育まれないという証として、彼は犯罪を企ててしまう。
ここから得る教訓は、為政者やリーダーになる素質は、育った環境によるものが非常に大きいという当たり前のような事実である。
その事実は、重い。
さて、グリンチの悪しき目論見は、綿密な計画のもと行われ、完遂される。
しかし、彼はどうしようもない無力感に襲われていた。
ある子供と、出会ってしまったことによって。。。
ここまでで、本編の80%くらいの内容なのだが、グリンチは最後まで憎めない。
なぜかというと、彼は「環境によって作られた悪意」だからである。
生まれながらの悪魔は居ない。
子供時代のグリンチは、他の者と変わらぬ無邪気な子供だった。
孤独
失望
欠乏
仲間の不在
こういったものに囲まれて育つと、私たちはいつでもグリンチになる可能性を秘めている。
最後のシーンで、グリンチは、グリンチの鎧を捨てた。
そのシーンは、誰もが望んだエンディングであったが、現実にこのような未来を得られるグリンチは、一握りなのかもしれない。
旅行先:クリスマスが大好きな街