好きな人(アイドル)が、できました。
「あの頃。」という映画をご存知だろうか。
人気俳優の松坂桃李さん演じる主人公、ひょんなことから松浦亜弥の虜となった彼がハロープロジェクトのオタク仲間たちと過ごす、ささやかで濃密な青春群像だ。
松浦亜弥さんことあややが、トップアイドルだった「あの頃。」のお話である。
この映画は松坂桃李演じる主人公が今まで完全に無縁だった女性アイドルへ沼堕ちするところから始まる。
お金もない、彼女もいない、好きで始めたバンド活動もうまくいかない……ないない尽くしの人生を送る中で友人に勧められた1枚のDVD、そこで彼は出会ってしまったのだ。
運命の推し、松浦亜弥と。
画面越しにあややと出会ったその刹那、息を呑み、どんより澱んだ目には光が宿る。
松坂桃李の繊細な演技に私は感動した。
感動すると同時に、とても羨ましく思った。
ああ、私にもいつかこんな瞬間が訪れればな、と。
昔から、アイドルというものにハマってみたかった。
画面の向こうで笑顔を振りまく素敵な彼から元気をもらう、その感覚を味わいたい。
彼が出ている雑誌やテレビ番組はくまなくチェックし、やれ新曲が出るぞ嬉しいな、コンサートの当落はどうだったと一喜一憂したい。
黄色い歓声が飛び交うコンサート会場で推し色に光るペンライトを振ってみたい。
その思いは、歳を重ねるごとに薄らぐどころか昨今の推し活ブームを目の当たりにしてどんどん強くなるばかり。
困った。
好きな俳優はいる。
好きなバンドやシンガーソングライターもいる。
好きなアニメキャラクターや声優だっている。
好きな芸人も漫画家も作家も映画監督だっているのに。
好きな「アイドル」にだけはまだ巡り会えていない。
どうしてアイドルを好きになりたいのかは前述の通り。それにプラス、アイドルを推しているドルオタの存在も、とても魅力的だと思えたからだ。
アイドル。その語源は崇拝。
私も誰かを崇拝してみたかった。
崇拝するだけならアイドルでなくても良い、数多のファンを抱える存在ならアイドルに限らない。
だが推しに真剣な恋愛感情を抱く、いわゆるガチ恋勢が多いのはやはりアイドルだ。
今の自分の歳を考えればガチ恋勢になりたいとまでは願わない。けれども私もあんなふうに、熱く、誰かを盲目的に愛してみたかった。
ここまで長々と読んでいただいたが、とどのつまり「心から愛する推しに向けてペンライトを振る自分になりたい」
とにかく私は、アイドルオタクになりたかった。
そうは言っても巡り会えないのが運命の推し。
妹が熱く推す2次元アイドルの配信ライブ。
友人が借してくれる2.5次元ステージやジャニーズのコンサートDVD。
叔母もハマっているK-POPアイドルのMV。
ありとあらゆるアイドルを見た。
顔が良い声が良い、歌が上手いダンスが上手い、それはわかる。
でも違う。
何か違う。
推すに至る決定的な何かがまだ足りない。
何が足りないのか解らない。
きっと私には推しなど一生できないと、そう思っていた。
そんな私についに、ついこの間、Xデーは訪れた。
運命の出会いが訪れた。
正確には、出会いはとうに果たしていた。
存在自体は数年前から認識済み、画面の向こうの人気者でしかなかった彼が推しに変わる瞬間が唐突にやってきた。
あの映画の彼が鮮やかにあやや沼に堕ちたような一撃が、私にも起こったのだ。
私を沼堕ちさせたアイドルとは、King & Princeのリーダー・岸優太くん。
ジャニーズ事務所所属、ゴリッゴリにキラッキラの正統派アイドル。
そんなところに堕ちるなんてまったくもって予想外、これだから人生はおもしろい。
私は岸くんに堕ちた。
岸くんの笑顔に堕ちた。
どの笑顔に堕ちたかというと、キンプリ冠番組『King & Princeる。』3月4日放送回「岸、生き物図鑑をつくる。」コーナー内沖縄ロケ、現地ネイチャーガイドのキジーさんとオオウナギを捕まえよう、そして捕まえたオオウナギで夢のような大きさの蒲焼を焼こうという企画にてこしらえた鰻丼の立派な蒲焼にかぶりついたあの瞬間の!あの!ニコ!ね!かわいい!観ていた方ならきっとわかってくださると思います「ニコ」ってテロップ入れられたあの笑顔!「幸せになった」と微笑まれたキジーさんにも言わしめたあの笑顔!私も私も!私ももれなく幸せになった!かわいいね!!
あの笑顔を見た瞬間、今まで岸くんに対して抱いていた一般的なほぼ感想みたいだった感情(今人気のアイドルグループの男の子だね〜)が、アッ!好き!推せる!にまで爆発的昇華した。
↑オタク特有の早口で脳内再生していただければ幸いです。
もう私の頭の中は、寝ても覚めても岸くん岸くん。
King & Princeおよび冠番組公式twitterを爆速でフォローし彼の笑顔を漁り眺めYouTubeで公式MVを視聴しまくる日々。
奇しくもこのタイミングでKing & Prince「ツキヨミ」MVが再生数1億回を突破した。これは彼らと彼らを支え続けてきたファン、ティアラの皆さんが成し得た偉業である。素晴らしい。まことめでたい。天晴れ。
その記録樹立に私の再生数も超超超超超微力ながら貢献しているのだ。とても嬉しい。
……斯くして私は岸優太に堕ちた。
正直なところ、岸くんのファンになってしまったはいいものの私はこの感情を、誰にどこに何に吐き出していいのかがてんで解らず悶々とこの14日間燻っていた。
私にはジャニオタ歴が人生の半分以上を締める生粋のアイドルオタクの友人がいる。
彼女はキンプリのコンサートDVDも快く貸してくれたので、今週の私は岸くんのニコニコをニヤニヤしながら眺めることを楽しみに平日の労働を乗り切った。
そんな友人がいるのだから「実は岸くんにハマっちゃって〜」と話ができればいいのだが、今まで散々アイドルには興味持てないです顔をしていたため今さらの沼堕ち報告、沼語りをするのはかなり気恥ずかしい。
それに、沼堕ちした時にはすでに岸くんはジャニーズを、キンプリを辞めることが決まっていた。心から愛する推しにコンサート会場でペンライトを振りたいという私の願いは(今のところ)叶うビジョンがないのだ。
こんな不毛なことってある??
いや、どうしてこんなことに!?
ジャニーズのアイドルとしての岸くんを推せるタイムリミットは8月。
退所後はもしかしたらアイドルではない違う何かになるかもしれない。
まだ推し始めて2週間の身、いろいろと知らないことばかりでごめんなさい。
この先の岸くんがアイドルではない道を選んだとしても、岸くんを好きなことには変わりない。
そう、願うのは岸くんの笑顔と健康。
岸くんが実りある豊かな人生を送れますように。
祈るような気持ちで岸くん退所までの残りの5ヶ月を過ごしたい。
一気に燃え上がった好きの感情は、2週間経ち少し落ち着いた。今はとても爽やか。清廉な気分。
さながら教会のマリア像にしめやかに手を合わせ穏やかに祈る敬虔なクリスチャンの如く……などと思っていたその矢先、岸くんの新しいビジュアルが公式twitterより供給された。
ダメでした。
爽やか?
清廉?
なにそれ食えんの?
ハイ、かっこいい!!
王子様スタイル、いただきましたー!!
ありがとうございます!!
好きの感情、大爆発。
そう言えば先日はTVで『アルマゲドン』がやっていたな。
私はTVerで『すきすきワンワン!』※観てましたけどね!
※今期絶賛オンエア中の岸くん主演ドラマ
どうしよう、生きるのが楽しい。
この感情はどこかに吐き出さないと日常生活に支障が出る。
そう思った私はここ、noteに辿り着いた。
岸くんを語りたくて。
新たにアカウントを創設して沼語りするなら文字数140のつぶやきからなるtwitterでも良かったのだが、あちらは検索から不特定多数の目につきやすい。それはいろんな意味でちょっと怖い。
あと一度に吐き出せる言葉140字は、圧倒的に足りない。
小さくコンパクトに、けれども推しへの思いは最大限に綴れるタイプのオタクには私はなれない。
現にこの初投稿のnoteだって、こんなに長文になるとは思っていなかった。
今後はもう少しまめにこまめに、岸くんへの思いを綴っていきたい。
……と、話が逸れた。閑話休題。
これが推しのいる人生。
こんなにも世界は、鮮やかだっただろうか。
運命の出会いを果たした瞬間を喩えるのにはよく「世界が輝き出した」「世界に色がついた」などと謳われるものだが、とうとう私の世界にも色がついた。
岸くんに堕ちたその時から、世界は紫色※になった。
※岸くんのメンバーカラー
推しがいるって楽しい。
推しがいるって素晴らしい。
『耳をすませば』のキャッチコピー風に言うなら、「好きな人が、できました。」
好きな人(アイドル)が、できました!
岸くん。
こんな私にも夢を見せてくれて、ありがとう。
あなたが見せてくれる夢で私は今日も生きている。
明日も明後日も明明後日も生きていける。
ここまで読んでくださった奇特なあなたにも、ありがとう。
あなたは岸くんのファンですか?
あなたが岸くんを推してきてくれたから、アイドル岸優太は存在しその輝きは永らくアイドルの魅力に気づかずに生きてきた私の元にも届きました。
本当に本当にありがとう。