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自分に対して嘘をつく瞬間(そして生活はつづく/星野源)

星野源さんの初エッセイ本。
人間の恥ずかしい内側の部分も全てまるっと見せてくれて、あー何だ、あんなに輝いている人もそんな一面があるのかって少し安堵できる一冊。

その中でも、自分が改めて考えさせられたことと、勇気をもらえた内容をごしょうかい。


なぜか自分に嘘を重ねてしまうこと

自分が好きになったもののあまり好ましくない部分を見つけた時、なぜが気付かないふりをしたくなる時がある。「ひとりはつづく」の4で、星野さんがその事について言及しているのを見て、とても共感できた。

なぜか、自分が一目惚れしたり、ぐっとのめり込むくらい好きなものについて、その”全て”を好きになりたいと思ってしまう感情がある。私は本を読むのが好きで、好きな作家さんも何名かいる。ある作家さんの本を初めて読んだ時、なんて美しい表現で素晴らしい世界を見せてくれるのだろうと心底感動した。この人の本をもっと読んでみたいと思い、片っ端から読んだ。その方が書いている本をどんどん読んでいくにつれて更にのめり込んでいった一方で、たまにあまり好きになれない本にも出会った。しかし私はその本を、読んでいないことにしたくなったのだ。読んだ上で、あまり好きではなかったな、ではなく、そもそも出会ってなかったことにしようとしていた。
あの感情は何なのだろう。たぶんその感情は今も持ち合わせていて、また新たな好きなものに出会ったら同じような反応をしてしまう気がする。

おそらく私は、自分が大好きになったものを、嫌いになってしまうのが怖いのだと思う。大好きなものの好ましくない部分を見つけた時に、それがどんどん大きくなって、自分が好きだった部分も好きでなくなったり、別に大したものじゃなかったと感じて(気付いて)しまうのが怖い。
では果たしてなぜ怖いのか、と言われると、ちょっとよくわからない。好きだという気持ちが、過去のものになってしまうのが怖いのだろうか。その好きなものと過ごした幸せな時間や感動がなかった事になってしまうと感じているのかもしれない。
頭では、そんな事ないと分かっていても、反射として自分に嘘をついて、何かを守ってしまうことがあるのは、どうしたって事実である。そんなことに改めて気付かされた。


勇気をもらえた、あとがき

「なにげない日常」の中には「なにげない日常」しかない。素晴らしいものなんてない。その中から素晴らしさ、おもしろさを見いだすには、努力と根性がいります。〜中略〜
毎日をおもしろくするのは自分自身だし、それをやるには必死にならなきゃ何の意味もない。

この言葉たちに安心した。
なぜなら、自分が日常に素晴らしいものを見つけられていないのは、まだ努力が足りないということ。努力と根性があれば、日常を素晴らしいものに変えていけるということ。まだまだ未来には素晴らしいものが待っていると希望をもらえた言葉だった。

力まずに読める、一緒に歩いてくれるような一冊。


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