そこには愛とgraceが溢れていた。というか、愛とgraceしかなかった。
ただただ本当に美しくて、素晴らしくて、幸せな時間だった。そこは愛とgraceに包まれた場所だった。
2023年1月14日(土)に開催された、藤井 風”LOVE ALL ARENA TOUR”の埼玉スーパーアリーナ公演。私はそのライヴを観て、”青春病”の本当の意味が分かった気がした。私はその曲を聴いた当初は、歌詞に出てくる《青春はどどめ色》というフレーズにより浮かんでくるイメージから、青春という儚いものにとらわれるな、という達観したメッセージを受け取っていた。でも、今回のライヴを観て、すごくよく分かったことがある。それは、儚くて一瞬だからこそ、とても大切でかけがえのないもの。だからこそ、儚いものにとらわれたりしがみついたりするのではなく、今を、この瞬間を、一瞬一瞬を大切に生きていく。私は、藤井 風と、バンドメンバーズと、ダンサーズの皆さんの炎の煌めきのようなパフォーマンスから、それをとても強く感じ、大切なものを受け取ったのだ。彼らのパフォーマンスは、”青春病”や”燃えよ”のメッセージそのものだと思った。”燃えよ”の歌詞に出てくる《明日なんか来ると思わずに燃えよ》そのものだと感じた。藤井 風という1人のアーティストのライヴだけれど、観客たちの1人1人に届くよう、全身全霊で圧巻のパフォーマンスをする藤井 風、バンドメンバーズ、ダンサーズ、みんなそれぞれ1人1人が主役で、一瞬一瞬がキラキラと輝いていて、本当に美しかった。藤井 風の音楽そのものを体現していると思った。藤井 風の音楽が与えてくれる愛とgraceが、オーディエンスの1人1人を包み込んでいた。
藤井 風の音楽は、今の自分の心にとても響く。不思議なくらい、まるで私のことを歌っているんじゃないか、と思うような言葉が沢山出てくる。きっと、藤井 風の音楽を聴いて同じように思っている人は沢山いるんじゃないだろうか。”何なんw”、”もうええわ”、”青春病”、”まつり”、”旅路”、”帰ろう”、”ガーデン”、”damn”、grace”…藤井 風の音楽の中に、今の私に必要な言葉があって、元気をなくした心を優しく癒してくれた。今年の始まりに自分に起こった個人的な出来事、抗うことのできない変化により、私は否応なしに手放さなければならなくなった。それは悲しみや痛みを伴うことでもある。でも、手放すことは悪いことではなく、むしろ幸せになるために、良くなるために必要なのだと気づかせてくれる。心が軽くなり、前向きな気持ちにさせてくれる音楽。
藤井 風は、どうしてここまで、1人1人へ向けて、愛を与えることができるのだろう?それは、単なる強さとは違う気がする。力みのない、自然体の、おちゃめで、暖かで、親しみを感じさせる、1人の人間の内にあるもの。”帰ろう”の歌詞に出てくる言葉に、大切なヒントを見つけた気がした。
《ああ 全て与えて帰ろう
ああ 何も持たずに帰ろう
与えられるものこそ 与えられたもの
ありがとう、って胸をはろう》
やはりこれからも、藤井 風の音楽は、風のように、全ての人たち1人1人へ向けて、届けられて行くだろう。