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【鉄道ネタ】静岡県内に東海道新幹線のぞみ号を停める必要はあるのか①〜のぞみの役割とリニアによる変化

先日、熱海へ旅行へ行き、その際、東海道新幹線こだま号を利用し、
こだま号でも十分に快適であることを感じました。
そこで思ったことが、
静岡県にのぞみ号を停めてほしいという要望を度々耳にしますが、
果たして本当にその必要はあるのか、と。

本記事の結論を先に述べると、
静岡県にのぞみ号が停まることはまずなく、
それは東京・大阪間の主要な移動手段がリニアに移行しても変わらない。
それよりも、静岡県民の利便性向上を本当に考えるのならば、
ひかり号増発に向けて動いた方が現実的で合理的なのではなかろうか、と。

1. 東海道新幹線におけるのぞみ号の定義を改めて自分なりに考えてみる

本題に入る前にひとつことわっておきますが、
この手の話をする時には必ず、
「新大阪から博多間では静岡よりも都市圏の規模が小さい都市にものぞみは停車するのに、
なぜ静岡県にはのぞみが停車しないのか」という意見があがります。

確かに同じのぞみ号ですが、新大阪〜博多間は山陽新幹線でJR西日本管轄、東京〜新大阪は東海道新幹線でJR東海管轄で、両者におけるのぞみ号に対する考え方が違うことが考えられます。

JR西日本の山陽新幹線においては、のぞみ号は単なる最速達種別かもしれません。
しかし、JR東海の東海道新幹線においては、のぞみ号は最速達種別であること以外にも役割があると私は考えます。

それは
日本三大都市間を円滑に結ぶこと。

「中学受験ナビ」より

現在、東海道新幹線は16両編成で、日中は1時間に少なくとも6本以上(ラッシュ時はそれ以上)のぞみ号が運行されています。
(加えて、その間を縫うようにひかり号とこだま号も運行されています。)
日本三大都市間の円滑かつ大量の移動が日本経済を支えています。
東海道新幹線は単なる交通手段、JR東海の利益手段ではなく、日本を支える重要なインフラだと思います。

日本三大都市ということで、停車駅としてはまず、東京、品川、名古屋、新大阪があがります。
(ここで、品川は東京駅から近いので停める必要はないのでは、という意見もあると思いますが、東海道新幹線で品川駅が必要な理由についてはこちらの記事にて。)

そこへ日本三大都市に人口が匹敵する横浜(新横浜)、日本(世界)を代表する観光都市である京都を加えて、現在ののぞみ号の停車駅となります。

静岡・浜松もそこそこ大きい都市ですが、
規模の大きさでは三大都市にはとても敵いません。

のぞみ号を静岡県内に停めることにより、
静岡(あるいは浜松)が日本三大都市に匹敵する都市に成長する見込みがあれば話は別ですが、(静岡県民には失礼ですが)私的にはそれはないだろうと思っています。

加えて、首都が静岡に移転するか、
国とJR東海に静岡を日本三大都市に匹敵する都市に成長させたいという意図がある場合も話は変わってきますが。

2. リニア新幹線全通後、東海道新幹線はどうなるか?

2.1 日本三大都市間の移動の役割を完全にリニア新幹線に移行することは可能か?

ここまで、東海道新幹線ののぞみ号の役割は「日本三大都市間の円滑な移動」だと述べました。
ところで、現在、日本三大都市間を結ぶ新しい手段として、リニア中央新幹線の建設が進んでいます。

JR東海HPより、リニア新幹線の試験車両。

リニア中央新幹線の役割としては、
ただ日本三大都市間の移動時間短縮を図るだけではなく、
東海道新幹線に万が一があった時のバイパス機能と、
現在ダイヤがパンクギリギリである東海道新幹線の輸送容量の状態を緩和する役割が期待されます。
(個人的にはその2つが目的ならば、わざわざリニアにする必要があるのか、と思っていますが…)

で、リニア中央新幹線が全通したとき、日本三大都市間の円滑な移動の機能は東海道新幹線からリニアに完全に移行されるのか?
その答えは「No」だと思います。

まず、両者の輸送力について。
JR東海のHPによると、リニアの1編成の車両数は東海道新幹線と同じ16両編成ということですが、
1時間あたりの本数は最大で8本(速達列車7本+各駅停車1本)とのことで、
現在の東海道新幹線のラッシュ時の本数に到底及ぶことができません。

日本の新幹線が凄くて世界に誇れるのは、ただ速いことだけではなく、あんなに高速で走らせて、かつあんなに高頻度で走らせているのに列車同士の衝突事故が発生しないその運行システムにあると私は思っています。
そのシステムをそのままリニアにも適用するのは直ぐには難しいと思います。

つまり、現在ののぞみ号の担う輸送量を完全にリニアに移行することはしばらくの間は不可能で、それはリニア全通後、のぞみ号を廃止することはできないことを意味します。

2.2 リニア全通後は、東海道新幹線もまたリニア新幹線のバイパス機能を果たす

リニア全通後ものぞみ号を完全に廃止できない2つ目の理由がこちら。
リニア新幹線が東海道新幹線のバイパス機能を果たすと同時に、その逆のことも言えます。
リニア新幹線に万が一があった時に備えて、
東海道新幹線でより速く移動する手段を残しておく必要があります。
そのため、リニア全通後はのぞみ号の減便が予想されますが、完全に廃止されることはないでしょう。

2.3 リニア全通後、東海道新幹線ののぞみ号が廃止されると困るのは誰か?

また、以上の理由と比べると弱いですが、リニア全通後に東海道新幹線ののぞみ号を廃止されると困る人が出てくるため、のぞみの廃止はないと考えます。
その困る人とは誰か。
それは、東京駅、新横浜、京都の利用者達。
それらの駅に共通するのはリニア新幹線が通らないこと。
(既存スペースの都合上仕方のないことではあるが、リニア新幹線の始発駅が東京駅ではなく品川なのはネック。)

「乗りものニュース」より、東海道新幹線とリニア新幹線のルート

後述する内容に照らし合わせると、ひかり号を使えば良いだけなのでは、と片付けることもできますが、
需要のある既存のサービスをなくすのには大きな反発が伴う。
その反発が怖いのであれば、リニア全通後もしばらくはのぞみの廃止はできないでしょう。

さて、例によって記事の文字数が2000字を超えてきたので、記事をここで一旦切ります。

(次回へ続く)

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