増え続ける猫の“多頭飼育崩壊”。解決のカギは「人とのつながり」
「多頭飼育崩壊」という言葉を聞いたことがありますか?
なんだか仰々しい言葉ですが、簡単に言ってしまえば「犬や猫を飼いすぎて破綻してしまった家」のことです。
実はこの問題、いま日本中で起きている起こっています。今回はそんな多頭飼育崩壊について、一緒に考えていきましょう。
多頭飼育崩壊ってなに?
辞書によれば「犬や猫などのペットが過剰に繁殖し、適切に飼育できなくなるほど増えてしまい、飼い主の生活が破綻すること」。
「過剰に繁殖し」というのがポイントで、猫は放っておくと瞬く間に数が増えていきます。不妊去勢していない猫を2匹(オスとメス)を放っておくと、1年で20匹以上に増える計算もあるくらいです。
その状況を2年3年と続ければ、ねずみ算的に猫は増え続け、あっという間に抱えきれない数に膨れ上がります。
多頭飼育崩壊は、日本全国で起きている問題
多頭飼育崩壊はとくに地方部で多いイメージが強いですが、最近では都市部でも散見されるようになってきました。
発覚すると保健所により猫や犬が捕獲され愛護センターへ収容されます。一方、保護猫団体が地域の保健所と連携を取っている場合は、要請を受けた保護猫団体が多頭飼育崩壊の現場に入ることもあります。(※地域によって収容先は異なります。)
多頭飼育崩壊の発覚は、大きく2つのケースに分けられます。近所(あるいは本人)からの通報か、本人がその家で暮らせなくなる(入院・入所・他界など)場合です。どちらのケースも本人に「崩壊」という自覚がない場合が多く、異臭や騒音など地域住民との問題や猫たちの所有権が問題になります。
なぜ多頭飼育崩壊が起こるのか?
多頭飼育崩壊の原因をあげればキリがありませんが、「社会からの孤立」が本質的な原因だと私たちは考えています。
もし地域や近所の人との交流があれば、たとえ繁殖をしてしまっても増えすぎる前に誰かに相談できるはずです。不妊去勢手術をしたり、譲渡先を探したり何かしらの協力ができるはずです。
しかし多頭飼育崩壊を起こす方は、地域から孤立している場合が多い。多頭飼育崩壊を起こす方の高齢者の割合が高いのも同様の理由です。
孤立と多頭飼育崩壊問題は密接に関わっていて「増えた猫をどうするか?」ではなく「増やさないように地域内でどう協力すべきか?」を考えるほうが、建設的な議論ができるはずです。
解決策は「人とのつながり」
そんな根深い多頭飼育崩壊にも、解決策はあります。
猫でなくてもよいので、何かしらのかたちで社会との接点を持っておくことが大切です。古い友人と連絡を取るだけでもいいですし、ご近所とすれ違ったら会釈するだけでもいいかもしれません。
何かあった時に相談できる相手がいるだけで、多頭飼育崩壊のリスクは一気に低下していきます。
そして、できれば猫好きの友人や信頼できるシッターを見つけておくのがよいでしょう。冠婚葬祭などの非常時でも猫の暮らしを守ることができますからね。
多頭飼育崩壊の現場から保護された「ハリーとベンツ」の話🌿
neconoteが目指す「まちシェルター」
neconote(ネコノテ)がこれからつくろうとしている「まちシェルター(仮)」もその第一歩になるはずです。※現在運営しているサービス「neco-note(ネコノート)」はそのプロジェクト内でツールとして活躍予定です。
その名の通り、町全体をシェルターに見立てて保護猫活動を行なっていくプロジェクトです。
いままで保護猫活動(保護・管理・譲渡)のすべてを保護猫団体だけが担っていましたが、町に点在するフォスター(預かりボランティア)と協力しながら、管理・譲渡を行なっていきます。
管理はフォスターに一任し、譲渡会場はneconoteが運営する場所(譲渡会以外ではコミュニティスペースとして運用)を利用することで集客もできるようになれば、保護猫団体は猫の保護に集中することができます。
また、町中にフォスターのような“協力者”が増えることもとても大切です。単に仕事を分担できるだけでなく、万が一の時のセーフティネットになってくれるからです。
例えば、どこかの保護猫団体の方やフォスターに外せない出張が入ったり、災害に見舞われたりした時、頼れる仲間が町中にいるのはとても心強いはずです。
それだけ保護猫活動家があふれていれば、地域猫活動の人員も増えます。そして、猫の交通事故や虐待の抑止力にもなることが期待できます。
<執筆=黛>
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