保護猫でビジネス、どう思う?neco-noteが取り組む“猫のサブスク”
昨年末『ねこホーダイ』なるサービスが発表され、大きな議論を巻き起こした後にサービス停止となりました。
「猫のサブスク」を謳い、猫をビジネスに利用したことが炎上の主な原因でしたが、私たちが運営する『neco-note(ネコノート)』もいわば「猫のサブスク」。
この2つは、目的や猫への負担が大きく違うのでまったく異なるものですが、「なぜ猫をビジネスに巻き込むのはダメなのか?」を改めて考えてみました。
「猫でビジネス」がよく思われないワケ
そもそも動物保護の文脈では、「ビジネス」という表現にネガティブなニュアンスが含まれます。さらに「猫でお金を稼ぐ」というと、ペットショップや『ねこホーダイ』のように、動物への負担を度外視し、人間本位での搾取構造が連想されます。
そういった人間本位なことが連想されるために「猫でビジネス」という表現は避けられがちとなり、不用意に踏み込むと批判の対象になってしまいます。
「猫でビジネス」が猫に及ぼす影響
動物をビジネスに利用すること自体が悪いわけではありませんが、生きた動物を扱う場合には守るべき点が多いので注意が必要です。
猫への身体的な負担
特に問題視されるのは、生産の過程です。商品は生き物そのものなので、生産とは繁殖のこと。服や機械などのように生産効率をあげようとすれば、年に何度も出産させるなど、母体への負担が懸念されます。
ビジネスのために動物への負担を無視する。それは動物保護の観点から「動物ビジネス」が避けられる大きな原因となっています。
猫への心的な負担
また、猫は変化に非常に敏感な動物です。ビジネスのためにさまざまな場所を連れ回したり、一緒に暮らす人間が頻繁に代わることは、非常にストレスに感じます。
そういった動物としての特性、猫としての特性を無視した取り組みは、ビジネスであろうとなかろうと、容認されるべきではありませんよね。
それでもなぜ、「保護猫にビジネス」が必要なのか?
それでも、私たちは保護猫活動にビジネスは必要だと考えています。その答えは簡単で、ビジネスによって保護猫活動の自続性をあげないと、近い将来に猫を助けられなくなるからです。
保護猫活動にかかるお金の多くは、寄付や持ち出し(運営者の私財)で行われています。このまま資本が不安定なまま活動を続ければ、業界の資源が先細っていく一方です。
業界内の資源を活用して自続性をあげていくために、ビジネスという手法が必要だと考えられています。
もちろん、ビジネスという言葉に含まれるニュアンスへの配慮は十分にしています。
私たちが運営するneco-note(ネコノート)は保護施設で暮らす猫たちを遠隔で推していくサービスなので、サービスのための生殖や環境変化は発生しません。同じビジネスでも、方法によっては猫の健康と両立できるわけです。
ビジネスが保護猫業界の未来をつくる
ペット業界の注目が、犬や猫などの保護動物業界に集まってきています。
2022年後半から、ペットフードメーカーや消費財メーカーから協賛のご相談を耳にすることが増えました。これもまた、立派なビジネスです。それは、保護動物がペット業界にとっても無視できない市場に成長してきた証拠でもあるわけですから。
業界外から資本が流れ込んできているのはとてもポジティブなことですが、その資本の最適分配や有効活用のノウハウが、保護業界には整っていません。
保護動物業界への大きな流れに合わせて、業界の体制を整えていくことが、2023年には強く求められていくと考えています。
保護業界の注目が集まり、ビジネスという手段が問い直されるいま、neco-noteもその健全性を保ったまま、より多くの猫たちに安心できる暮らしを届けられるようにさまざまな展開をしていきます。