家族からみた院内感染の話

秋から冬にかけて、夫が亡くなった時に入院していた病院でクラスターが発生したらしい。(夫が亡くなったのは春)

いずれ発生するだろうな、と思った。
別に病院の悪口を言うつもりもないし、働いている方を悪く言うつもりもない。どこでも逆にあり得ると思っていた。

全国的に梅雨前には一旦落ち着いていたと思っているので、寒くなったから、乾燥しているから、発症が増えただけなのだと思う。

冬場たびたび入院していた夫は何度も、インフルエンザの院内感染の疑いでタミフルを飲んでいたりした。同室でインフルエンザに罹る患者さんがいるし、他にも皮膚疾患をうつされ、個室になったこともある。
いずれも入院中の話だから、他の患者さんか、スタッフさんからうつったはず。
入院患者の家族だった私は、見舞いを控えたり、自分が体調を崩さないよう気をつけることはできた。
でも、家族がどんなに気をつかっても病棟内で絶対にうつらない、うつさないなんて不可能だと思っている。
だってうつっていたもの。

封じ込めのために自粛とか、それでうつらなくなるなんて、幻想では?とずっと思ってきた。
簡単に院内でインフルエンザがうつる。皮膚疾患がうつる。手洗い、うがい、消毒、マスクしている病院で。

春に宣言がだされても、夫の療養型への転院話は進んでいた。多分現場のスタッフの方は、いつもの衛生管理で大丈夫、流行も大した事ではないと思っていたのではないか?
ここは急性期なので、転院してほしいと何度も連絡があった。


そして今その病院が、クラスターの発生で、新規も救急も休止している。

馬鹿馬鹿しく感じてしまうのはなぜだろう。
あれだけ、急性期の病院だから早く移ってほしいと言っていて、でも夫の病状が悪化してもすぐには連絡してこず、既に重度の慢性疾患だから呼吸器を使うと夫が苦しむから、と治療をしないよう看取るよう、暗に薦めてきたように思えた医師達の様子。
ベットや人工呼吸器をあけておきたかったのだろうか?と亡くなった後に一瞬疑ったこともある。


救急や急性期がメインの病院が、クラスターで救急と新患、紹患受付停止しないといけない。
なんて本末転倒な話。
地域の患者にとっては困る話だと思う。
すぐそばの病院に救急車が行けないのだ。

半年間、病院のそばをなるべく通らなかった。
夫を亡くした夜のことを思い出すから。

ニュースで知って複雑な気持ちになる。
面会制限しても、自粛しても、どこの病院でもクラスターが発生する可能性がある。
夫は感染症ではない病気で入院していた。
もっと会いたかった。

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