東京と東京以外は別の国
東京は日本語が通じてパスポート無しで行ける別の国。
東京からの帰りの新幹線の中でこの文章を書いている。
僕自身は東京に住んだことはないのだけど、東京と東京以外は明らかに違う国だよなぁと感じている。
東京に来て感じる空気感は、大阪や名古屋よりも、むしろ香港や台北と近いものを感じる。
僕は大学進学の時も、大学院進学の時も、就職の時も、東京行きにチャレンジしては夢破れてを繰り返してきた。
だから30歳にもなってちょっぴり恥ずかしいけど、人並み以上に東京への憧れが強い。
ただ、個人的な憧れを差し引いても個人の生存戦略として、若いうちに東京に住んでおくことはとても大切だと思っている。
それは、個人の成長と都市経済の成長には少なからず相関関係があると考えているからだ。
UCバークレーの教授のエンリコ・モレッティという人が書いた「年収は住むところで決まる」という本がある。
この本では、住む都市と年収には相関関係があることが数々の統計データを基に説明されている。場合によっては、個人の能力や学歴以上に住む場所が重要になるのだ。
個人の年収の増加と個人の成長はどちらが先か、ニワトリタマゴの関係とも言えるが、明らかに「機会の多さ」という要因に基づいて生じている結果であることは想像に難くない。
そして機会の多さは人が(特にアクティブな若い人が)密集する東京がダントツで恵まれている。
人口減少が続く中で、東京への経済の一極集中は加速していく。
日本は東京五輪を境にして一気に経済国家から成熟国家へとシフトしていくと予想しているが、東京だけは経済力を維持し続ける。
このような一極集中の現象は日本↔︎東京だけでなく、たとえば台湾↔︎台北、タイ↔︎バンコク、韓国↔︎ソウル、フィリピン↔︎マニラといったいずれの国でも生じている。
世界がフラット化するにつれて、東京vs大阪といった構図ではなく、東京vsソウル、バンコクvsマニラといったように国をまたいだ都市間での発展競争を繰り広げていくことになる。
このような世界を舞台にした発展競争で競争力を保てる都市圏は、残念ながら日本では東京都市圏だけだと思っている。
中国では東京レベルもしくはそれ以上の都市圏が今後ボカスカできてくることになるし、既に上海や深センは凄いことになっている。
物価の高さや待機児童の問題など、東京で暮らすことで生じるデメリットが多いことも確かだが、それらを差し引いても東京で生きることは若者にとって合理的な選択だと思う。
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