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迫真備忘録 インムコングの裏技
皆さんご無沙汰しております。 ネアンデルターレンシスです。
2021年の12月、「冬の恋バナ淫ク☆リレー」企画に参加し、18日目の「インム・コング」を担当しました。
私にとって本格的♂な催しものの参加は初めてだったので備忘録としてここに記しマッスル。
冬の恋バナ淫ク☆リレーとは大まかに説明すると「12月中に『恋愛』を題材にしたBB劇場を毎日投稿しよう(提案)」という催しである。
詳しくはこちらのリンクをどうぞ。
そしてなぜ私が参加する事になったか、作品をどのように作っていったか、参加してみてどうだったか、順を追って説明したいと思います!(綱太)
①参加の経緯。
9月6日の事。突然企画者の一人、虎の子兄貴から「冬の恋バナ淫ク☆リレーを企画しているんで参加しませんか?」というTwitterのDMが来ました。
たまげたなぁ。当時このような合作には無縁だと思ってた上にお誘いが来るなんて夢にも思ってませんでした。
問題は「UDKは方舟のなかで」(mylist/70293819)シリーズの編集の真っ最中であること。シリーズものは投稿が早ければ早いほどいいので、合作に時間を割いて遅れてしまうのはそこそこの痛手です。
それと合作は初体験、まして恋愛モノの作品なんて未知のエリア♂。手を出すにはなかなかの勇気がいります。まぁ参加するかどうかなんて悩んでも仕方ないので(一転攻勢)とりあえず「大まかな方向性を決めてから参加を決める」ということで一旦保留にしました。
ではどんな作品を作ろうか…恋愛ものは映画、小説、詩、どの形式でも名作ぞろいです。王道を行く純愛、愛する人と結ばれない悲恋、痴情のもつれによる愛憎劇なんかもいい…
で、最終的に決まったのが「キング・コング」を原作にしよう(提案)というモノですね。
決めた理由は四つ!
●「キングコング」は名作。面白くならないわけがない。
●「UDKは方舟のなかで」でのコダワリポイントである生き生きとした恐竜 を描きたい。
●美女(UDK)と野獣(野獣先輩)という奇抜なカップリング。(誘ってくれた虎の子兄貴の推しカップリング、ヤジュUDに丁度合致する)
●巨大化して街やジャングルを荒らしまわる野獣先輩という発想がもう既に面白い。
完全に構想が決まった9月8日、虎の子兄貴に参加の意を伝え、動画制作に取り掛かりました。
②動画制作。
先ず最初に着手したのは脚本、話の大まかな流れを決めること。
原作「キングコング」の上映時間は100分。すなわち完全再現するとなると100分の動画になります。長すぎィ!
企画側曰く動画の長さに制限はないとのことだが、与えられた時間は約2か月半(作成日時は9月8日。締切は11月18日。)という期間以内に作る必要があることや、あまりに長いと飽きてしまうせっかちなホモの好み、エンコード時の画質制限などを鑑みれば「可能な限り圧縮すること」が求められます。よって「冒険映画を作ろうともするも女優が雇えなかった」「女優は街中でスカウトしてきた」「何を撮影するつもりなのか、どこへ行くつもりなのか」と原作では40分ほどかけて丁寧に説明している導入をバッサリカットし、冒頭でほぼKMRとマジメ君に口で説明させました。
あとは場面場面を短くしたり、カットしたりして短くしていき、最終的には38分ほどになりました。(本当は30分以内にしたかったケドネ)
そんな中脚本を構築する上で意識したのはより「美女と野獣」の要素を焦点を当てること。(恋愛がテーマの企画だから当然といえば当然)
故にUDKと野獣があまり関係しないシーンは可能な限りカットないしは圧縮し、UDKと野獣の関係を描くシーンは積極的に描写する、といったことを徹底しました。
大まかな登場人物の配役は以下の通りです。
カール・デナム→GO(作中では桜井豪。)
スカウトする役や破天荒な性格、そしてそれを実行する力を持つカリスマを備えたGOは原作のカール・デナムにこれ以上ないほどのはまり役だと思います。
カール・デナムははっきり言って諸悪の根源であり人間の屑であることには否めませんが、物語を牽引する力と情熱と大胆さは結構心惹かれるところもあり、個人的には好きなキャラクターなのでGOも単純な悪役というよりは味のあるキャラクターを構築することを目指しました。
アン・ダロウ→UDK(作中では宇月まりな。)
叫んだり泣いたりする素材が豊富なので野獣に振り回される役にぴったり。金髪であることやヤジュUDのカップリングの形成、手元に素材がそろっていて扱いやすいという事情も関連します。
1976年や2005年のリメイク版キングコングではヒロインあ叫ぶだけではなく、野獣のコングに思いを寄せるといった描写がありますが、脚本上の都合上そういった要素はほぼ排除しました。そういう意味では「美女と野獣」の関係性は1933年版に近いと思います。
ジャック・ドリスコル→KMR(作中では木村直樹。)
原作では硬派で無骨な航海士ですが、本作品では温和なカメラマンに変更。採用した理由は二枚目俳優として丁度良かったから。(怪物である野獣といい対比になる。)
作中の設定、性格の変更は狙って出来たものと言うよりは、無骨な性格がKMRのイメージに合わなかった故の変更。また、原作のジャックは、ヒロインのアンと恋仲になっていますが、野獣とUDKの関係に焦点を当てたかったためにKMRとUDKの関係はあまり積極的に描写していません。あんまりやるとKMUDになっちゃうからね。しょうがないね。
動画制作が終わってから思ったんですがジャックの役をRUにすればよかったな、とも考えました。そうすればヤジュUDとRUDKというカップリングが対比されて、もっと奥深い作品になったのでは?と後々になって思いました。(脚本段階で思いつかなかったのは当時ヤジュUDとRUDKの対立構造をあまり意識してなかったからだと思います。)
キングコング→野獣先輩(作中では野獣。キャッチコピーはインム・コング~世界第810の不思議~)
「美女と野獣」の野獣なんだから野獣先輩しかないでしょ。(安易)逆に言えば、野獣先輩はキャラクターとして拡大され過ぎて、もはやクリーチャー役にふさわしいホモビ男優は彼しかいないでしょう。
例えば他のホモビ男優が巨大化して美女をさらい、恐竜と戦い、街で暴れ、摩天楼で銃撃戦を繰り広げる活劇を作ったとしても荒唐無稽な話だとして鼻で笑われるでしょうが、野獣先輩にはそれすらも演じきるキャラクター性があります。彼がキングコングを演じるのは必然と言っていいでしょう。
因みに野獣先輩の事を「インムコング」ではなく「野獣」と呼んでいるのは、「コング」という言葉が本来は固有名詞であることへの配慮です。「コング」はゴリラとの同義語、または巨大な類人猿の総称のように使われがちですが、原作のリスペクトとしてそういった用法は一切していません。「野獣」を「インムコング」と呼ぶときは劇場のキャッチコピーに限定し、あくまでこれはパロディであることを明記した上でそう呼んでいます。
おおまかな脚本が出来上がったことで、ARK:Survival Evolvedで撮影セットを作っていきます。あぁん?なんで?(レ)と思うホモもいるでしょうが、順を追って説明しマッスル。
そもそもARK:Survival Evolvedってなんだよ、というホモに簡単に説明していくと、恐竜が生息する島でサバイバルゲームをするゲームで、わしが投稿している「UDKは方舟のなかで」シリーズの原作である。詳しくはこちらをどうぞ。
そして「UDKは方舟のなかで」シリーズにおいては「ARK:Survival Evolvedのスクリーンショットを素材として活用する」といった手法を用いています。
(上段から一話、二話、三話のとある場面三つともARKのスクリーンショットを背景としている。)
これはもともと原作の「ARKらしさ」を表現するために採用した技法なんですが、恐竜の描写にすぐれているため、「この技法を使った恐竜もののBB劇場」を前々から構想していました。そして、インム・コングの制作にあたって恐竜が住む神秘の島「髑髏島」を描写するにあたってこの技法を使えば、目的の一つである生き生きとした恐竜が描けると考え、この技法を採用しました。(よくよく考えればARKとキングコングには直接の関係はないから採用する意味はないんだけれどね。)
舞台となるマップはセンター。景観のよさや切り立った山々、鬱蒼と広がるジャングルが髑髏島のイメージとピッタリです。
ARKの建築、MODなんかを活用し、船、原住民の村、沼地などを作り上げ、舞台となる場所を撮影していきます。
(冒頭の航海の船、撮影時は島が映らないように注意を払った。)
(原住民の村、座標は35.71付近)
(木々はEco tree、家はEco’s Empire -Matisのものを使用)
(巨大な門と原住民たちが踊っていた小高い広場。石建築で再現。)
(扉の向こう側にはUDKが捧げられた祭壇。巨大門の上に太鼓があるが結局使わなかったね。)
(沼地のシーンもマップの西側に広がる沼地で撮影。チートコマンドで天候や時間帯も自由に変えられるのでこのように薄暗い沼地も撮影可能。)
(ひでが食べられた場所は沼地と森との境は少し離れて座標38.70付近。
Eco Treeで木を生やしまくって深い森が完成した。)
(野獣が蛇と戦った場所。座標37.63付近。)
ただスクリーンショットだけでは素材になりえません。加工することによってよりダイナミックに、より奥行きのある舞台を構築します。
要は切り抜きです。
人物を合成するときに、手前にあるオブジェクトを切り抜き、背景、人物、手前のオブジェを挟む、こうするだけでも雑コラ感がなくなって奥行きを持つ舞台と変貌します。
複雑なものになると螺旋階段を上るASTK姉貴達のシーンで、背景と合わせると3つのオブジェからなります。
扉を開くシーンも両扉を切り抜いて、奥の背景を合成することで、扉を自由自在に開いたり、
何もない場所に木を合成することで木をなぎ倒して進む先輩なんかも表現できます。
やや特殊な例だと、丸太を振り回すシーンなどは単純なスクリーンショットではなく、この対岸と此岸、後ろの背景、丸太を各々別の場所から切り抜いたものを合成しています。
背景
対岸(別の場所で撮影、切り抜いたもの)
此岸(同じく別の場所から撮影、切り抜いたもの)
丸太(マップ南部のレッドウッドによくかかっている丸太。)
(完成。各々合成しているため構図が自由に動かせる。)
センターマップをあちこち探してみたんですが、「丸太が架かっている谷間」にふさわしい場所が無いんですね。故に、このように合成して舞台を作り上げているわけです。
かなり面倒な作業ですが、オブジェを動かしたり背景の差し替えができるする自由度や、奥行きを感じさせる視覚効果に見合う苦労なんで、君もGimpサポーターになって、切り抜き、しよう!(AZにゃん)
切り抜くのは背景だけじゃありません。恐竜もスクリーンショットから切り抜いてパーツをバラバラにしてAnimeEffectでアニメ―ションを作っていきます。アニメーションの対象はスピノサウルス、ティラノサウルス、大蛇、野獣先輩。(ASTK姉貴がUDKを拉致するシーンもAnimeEffectです。)
スピノサウルス(ラグナロクマップでコマンドテイムしたものを撮影。この画像はのちに切り抜かれバラバラとなる。)
ティラノ(同じくラグナロクマップで撮影。青のステージはBBになるかと期待して建築したものだったが、上手く色が抜けず結局はチマチマ切る抜くことに。)
ティタノボア(首飾りは邪魔だったので排除。剥製にするとポーズなんかも変えられるのでうまく活用すれば理想のショットも簡単に撮れるようになる。)
切り抜いたり補完したりの基本的ノウハウはパーツ分け素材と同じです。野獣先輩については配布されている者を利用しました。
なんでAnimeEffectかと疑問に思うホモもいますでしょうが、Aviutlでパーツ分けアニメーションすると大量の画像を読み込むのでクッソ重たくなるんですよね(シーンとか使えば軽くなるんすかね?知らんけど。)AnimeEffectはそんなことないし、ボーン制御や自由変形も優秀なのでなんだかんだ愛用しています。(MohoとかLive2Dとかあるけど、んにゃぴ…やっぱり慣れたもの使うのが一番いいですよね)
最も難しいアニメ―ションは大蛇でした。まずAnimeEffectでは基本的に二次元的な動きしかできないのですが、ヘビには手も足もない為、どうしても地味なアニメ―ションになりがちです。それにUDKっちを食べようとして木に登ったり、野獣先輩に巻き付いたりするにはどうしてもかなり複雑な三次元的な動きを要求されます。それと蛇は体全体がうねうね動くのでボーン制御で動かすのも至難の業です。中央を親として頭と尻尾に向かって伸ばしていきましたが…そうなるとどうしても中心が固定されがちで、ダイナミックさを生み出すのに苦労いたしました。
大蛇に関しては可能な限りの努力はしましたが、まだまだ改善点はあるなというのが正直なところです。
さて、髑髏島が終わると舞台は下北沢へ。
見ての通りですがほぼほぼ自己矛盾☆素材を使用しております。建物にステージに小物に群衆素材に、なんでもござれでもうひっじょ~に便利です。自己矛盾☆素材を使用したのは利便性のほかにも、ニューヨークをモチーフにした「文明社会下北沢」というちょっと違った下北沢を構築したかったからです。
「人工物で埋め尽くされた大都会と髑髏島の大自然の対比」によって「望まれずにつれてこられた怪物の悲劇」を際立たせている原作の魅力を再現するために、煌びやかで、キッチュで、ビルの乱立した下北沢を作り上げる必要があったんですね。
そして最終章。下北沢帝国ビルのでの銃撃戦。
ここは自分でも言うのは何ですが名シーンだと思います。この場面に限った話ではないですが、音楽に合わせて映像を動かすことをとにかく意識しました。原作の音楽は映像と見事にマッチしていて、有無を言わさず引き込んでいく力があります。
特にビルに上っていくシーンの高揚感や今にも落ちそうなコングに流れるもの寂しげなメロディ、容赦なく浴びせられる弾丸に耐えきれずに落ちるコングを貫く驚異的なサウンドはあっぱれとしか言いようがありません。
そんな最終シーンを再現するのに、原作の音楽を使用し、それに合わせることに苦心しました。
ところでAnimeEffectの話に戻りますが、AnimeEffectは音声と同期できないため、音楽に合わせたアニメーションを作ることができません。よってサウンドに合わせたアニメーションを作るのにかなりの苦労を要しました。
閑話休題。
背景は実際のエンパイアステートビルのパノラマ風景です。360°網羅してあるうえに地平線を自由に上げ下げできるのでカメラ制御をおこなくとも立体的な視覚効果を生み出せることに成功しました。
そしてついに落ちる野獣。到着するKMRとGO。
落ちた直後に交わされる会話は原作にはありません。脚本上のオリジナルはここのみと言っていいでしょう。先述の通り、話は省略、圧縮する必要がありますから、オリジナルの要素を挿入する余地は本来はないはずなんですが、あえて挿入した理由は、「美女が野獣を殺したのさ」という名言をより輝かせたいからですね。
原作もこの名言をもって締めくくられるのですが、怪物を連れてきた張本人が言うため「ちょっと無責任なんちゃう?」という印象が否めません。
ゆえに、己の強欲が招いた大惨事に自責の念を抱くGOや野獣の死に心を痛めるUDKなどの心情を描写することで、名言がより重みのあるものになるように腐心しました。
③感想
編集を始めたのが9月11日、作品を提出したのが11月6日。2か月ほぼぶっ続けで編集を続けた結果にできた作品が「インム・コング」です。
期限があったので兎に角間に合わせようと必死で編集しましたし、「キングコング」という名作の魅力を削がないように可能か限りの技術を注ぎました。もはやあの熱意が一生のうちに来るかどうか、というレベルですね。
初めての合作というのもあって気張りすぎたこともありましたが、リレーを通して他の人の作品を見ることもいい刺激になり、とても楽しかったです。(小並感)
誘ってくれた虎の子兄貴ありがとー!フラーッシュ!
④最後に
語りたいことはまだまだありますが、これ以上はくどくなっちゃうのでこの辺で終わりとしておきます。
むしろ語りたいことが多すぎてとっ散らかった内容になってしまったのではないか?という恐れもあります。許してや城之内。
では諸君、さらばだー!