【個人的考察】キミトグライド
こんにちは、ニールと申します。
ここ暫く考えていたキミトグライドについて、つらつらと書いていきます。
楽曲を一本通しての考察というのはなかなか難しいので、断片的に書くことになると思います。
・巡る季節の歌
キミトグライドという楽曲について、私は春の歌だとずっと思っていたのですが、先日のイベント「ザ・ベストナン」にて披露されたアコースティックアレンジを聴いて、そうではないと感じました。
この曲は春の歌では無くて、巡る季節の歌なのではないかと考えて歌詞を見直すと色々と発見がありました。
・1番
まず1番は、普通に春の事を歌っていますね。
歌詞中に「春」という単語が出てきますし、「白い綿毛」つまりタンポポも出てきます。
・2番
2番には季節そのものは出てきませんが、「渡り鳥」が出てきます。
これも「春」のものと捉えることが出来ますが、歌い出しで空のことを「痛いくらい青い」と表現しています。
春の空を「痛いくらい青い」と表現するのは少し違和感がありますね。
個人的には春の空は、少し靄がかったようなぼやけた色をしている印象があります。
そして「痛いくらい青く染まった空」は、夏から初秋ぐらいのイメージです。
つまりこれは渡り鳥が北へ渡る「春」ではなくて、北から帰ってくる「秋」の事を示しているのではないでしょうか。
また、2番サビの最後では「道に咲いていくよ」という歌詞もあります。
順当に考えればこれはタンポポのことを指していると思いますが、タンポポが葉を出すのもまた「秋」です。
以上の事から、2番では春から秋に季節が進んでいると考えます。
・ラスサビ
ラスサビでは、再び春が訪れています。
「白い綿毛は僕を追い越して」とあるように、タンポポの綿毛がふわふわと飛んでいき、春が過ぎて季節が巡ろうとしています。
タンポポの花が散って、渡り鳥が青空を渡り、道のタンポポが芽生えて再び春が来る。
キミトグライドという曲は季節が巡る歌なのだと思います。
・「君」と「僕」
夏川さんの曲では度々出てくる「君」と「僕」の関係性、この曲における意味を考えてみます。
曲を聴きながらなんと無く頭に浮かんだ仮説を一つずつ書いていきます。
・「君=タンポポ」説
曲が進んでいく中で、「君」はいなくなってしまいます。
1番の時点で既に「はなればなれ会えなくなる」と歌われていて、ラスサビでは「そばに君はいない」ことが分かります。
1番サビで、「握りしめた君の手を 守りたいと願えば願うほど花びら散ってくよ」という歌詞があります。
一見して君の手を握ることと、花びらが散ることの関連性がよく分かりませんが、「君」をタンポポに例えていると考えれば何となく意味が通じている気がします。
そして、「君」=「タンポポ」の図式が成り立つとすると気になる歌詞が1箇所あります。
ラスサビの「あの日ふっと吹き消した光」です。
ふっと吹くものといえば、誕生日ケーキのロウソクやタンポポの綿毛ですね。
この曲ではタンポポが出てくる事から後者だと考えると、「私」は「君」の事を自分自身で吹き消して(吹き飛ばして)しまったことになります。
・「君=タンポポ=夢」説
歌詞を読みながら漠然と思い浮かんだ事ですが、タンポポは「僕」が抱いた「夢」を表しているのかもしれません。
歌詞全体を通して見ると、自分自身がきっかけで「僕」は「君」とはなればなれになってしまって、それでも諦めきれずに遠くを目指す「僕」のことを追い越した「綿毛」は次の季節で芽吹くのを夢見ている……というのが大まかなストーリーラインです。
君、タンポポ、そして綿毛を「夢」だと捉えると、このストーリーラインにしっくりくる気がします。
そして何より、「かつて自身が諦めたはずのものが、蒔いた種となって芽吹いていく」というのは「ササクレ」のストーリーラインとも重なるものがあります。
キミトグライドがササクレの前日譚だったかもしれない、というのは個人的に大きな発見です。
先程話にあげた誕生日ケーキのロウソクの事を考えると、この曲は「パレイド」に繋がる曲でもあるのかもしれません。
パレイド→キミトグライド→(ミザントロープ)→ササクレのセトリ、涙腺が壊れるの間違い無しなのでいつかやってもらいたいですね……
・総括
色々と感覚的な部分が多くて文章に起こすのに苦労しましたが、私にとってキミトグライドは「ササクレの前日譚であり、かつて諦めたはずの夢を目指して再び走り出すまでの歌」ということになるでしょうか。
昨年のベストナンで、アコースティックアレンジのキミトグライドを浴びてからずっと考えていた事をようやく纏められたので嬉しいです。
最近の夏川さんは割とロックな曲が注目されがちだと思いますが、キミトグライドやミザントロープ、ササクレのような曲も出してくれているのでこれからも沢山聴けたら良いですね。
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