2023.02.18 クラリネットリサイタルを聴いてきた

 前田優紀さんのクラリネットリサイタルを聴いてきた。

 知ったきっかけはご本人のTwitterかなあ。覚えてないや。プログラムが魅力的だったのですよ。ドビュッシー、サンサーンス、ブラームス。あとドイツ管ってどういう音がするんだろうという好奇心で聴きに行ってきました。
 というわけでそこで感じたいろいろを脈絡なく並べます。

 会場は早稲田奉仕園スコットホール。キリスト教の教会?って初めて入ったかもしれない。大きな窓に高い天井、小さいながらもパイプオルガン。結婚式のチャペルみたいな座席配置。目に入るいろいろが新鮮でした。

 窓が大きくてカーテンが無さげだったので、だんだん日が暮れていくような時刻に開演して、日が暮れた頃に終演するような演奏会をしたら楽しそう。ホルストの惑星みたいなだんだん眠くなる曲とか。(実は「月」という裏テーマがあったそう。)

 一般的なフランス式の音がごまだれなら、ドイツ管は、前田さんの音は酸味のあるドレッシングみたいな音でした。服でたとえるとフランスがシフォンならドイツはノリのきいたカッターシャツというか。マイルドさがないというよりは、媚びていないとか、ハッキリして芯のあるとか、自分の足で立ってるとか、そんなイメージ。

 あ!前田さんの音聴きながらお酒飲みたいと思った。薄暗いバーで前田さんの演奏がかかっててほしいな、そしてなんかスコッチかバーボンを飲んでたいなって思った。

 クラリネットも伴奏のピアノも音が大きくて、自分の耳が耐えられるかちょっとヒヤヒヤした。
 それとは別に、もう少し人が入った状態だとどんな音になるんだろうと勝手に気になった。
 ピアノは蓋を閉めた方がよかったんじゃ?と思ったけど後から振り返ったらバランス的には開けてて正解でした、プロの判断を疑ってすみません。

 ソロのリサイタルを聴きに行ったの、ピアノ以外では初めてだったかもしれない。
 クラリネットはスワブを頻繁に通さなきゃなのは知っていたが、まさか舞台上で通すとは。金管はつば抜きするけど、そのノリでスワブもやっぱ舞台上なんだな。ちょっと新鮮。

 出る音、出る音に迷いがない。弱音でも意志はみっちり詰まっているというか。特にアマチュアは「ここミスっちゃうな〜」と思ったり弱音だったりすると途端に音がてへぺろになるけど、そんな音が全くなくて、ちゃんとプロなんだなって(失礼)。
 あとなんというかかっこよかった。好き。空間を支配してた。かっこいい。

 好き度でいうと、サンサーンス最終楽章の最後の表情で私のハートは射抜かれました。余韻を楽しむだけじゃない何か祈りのようなものを感じた。

 そう、音といえば食感の方がイメージ強いのに書き忘れてた。
 普通のクラリネットはゴボウとかみたいに繊維を少し感じる音だけど、前田さんのはなんだろな揚げだし豆腐?いや違うな、ハードプリン?ニューヨークチーズケーキ?フィリックスのガム?みたいに、柔らかくはないけど弾力があって、でもウインナーみたいに皮の要素がない感じだった。気がする。エステ後に化粧水と乳液を塗布したあとの吸い付く感じが近いかも。もはや触感、、、

 どうも同じ会場に松本健司さんがいらしたようで、感想ツイートを見かけた。特に最後の一文が激しく同意ですます。さみしかったもん。アンコールの曲もとてもよかった。

 そうだ危ない忘れるところだった、実はプログラムノートとは別に添えられた文章を読んだ時点で、あ、このリサイタル来てよかったと確信した。この人の演奏も言葉もしばらく見守ってたい。

 今回の音源、欲しい。冗談抜きで欲しい。くう。

 音を魅せる、という点ではピエロ?が印象に残った。何が、とはいえないが。

 当然なのだけど、ピアノ伴奏とも違和感なく合っていて、伴奏の伏木さんも楽しそうで、よかったな。
 あれ?ベヒシュタインってドイツ?

 サンサーンスはね、私自身のいろいろな思い出もあり、ブワッときた。たぶん前田さんもいろいろ思うとこあるんだろうなー。

 雑まとめ。
 前田さんの音かっこいい。音源欲しい。もっといろんなパターンで彼女の音を聴いてみたい。
 自分はフランス管やけどレッスン受けてみたい。

 後日追記。
 その日は楽団の練習会だったのだけど、自分の出す音はやっぱり「てへぺろ」が多くて、意志もなくて、ちーんとなった。「自分もリサイタル開いて自分の好きな曲を詰め込んでみたいな」なんて感想も抱いたけど、ほど遠いとわかって悔しかった。当たり前なのだけど、私はアマチュアなんだなーとへこんだ。
 でも、そんな気持ちが得られたから、楽器が違っても演奏会行ってよかったな。

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