カレーの妖精(読み間違いから始める嘘の日記)
翌朝起きると何事もなかったかのようにカレーは鍋に戻っていた。きのうのことはよく憶えていない。家に帰ってきて床に置いていた何かにつまづいた拍子に鍋を倒してカレーをぶちまけた気がするのだが、コンロも床もきれいだし、なんなら鍋にはまだカレーが残っている。
最近はロクなことが起きない。ん?ロクなことしかおきない?ああだめだ、仕事ばかりしていると日本語がどんどん不自由になる。そもそも「ロクなこと」とはどんなことだろう。
スマホを手に取り検索エンジンに教えを乞う。漢字では「碌」や「陸」と書くらしい。漢字辞典を引きたいところだが手元にない。そういえば最近はなんでもAIに聞くといいんだっけか。
聞いてみた。本当かどうか気になる、うさんくささを感じる回答だった。やっぱり漢字辞典だな。今度買ってこよう。
じゃなくて。ロクなことがないと書きたかったのはなぜだったっけ?日々の鬱憤を書きたかったわけではなかった気がするが、はて。
そうだ、カレーの妖精だ。きのうカレーをぶちまけたのは事実で、でもカレーの妖精が元に戻してくれたのかもしれない。
散々な日々の中でもめげずにカレーを作って食べてなんとか生きてる自分をカレーの妖精さんが助けてくれたのかもしれない、この生き方を肯定してくれたのかもしれない。
何かがあるわけではないし希望もないけど、とりあえずもう一日生きてみよう。
何を読み間違ったか
このツイートを読み間違って、その間違い方があまりにも可笑しかったので、書き始めてみました。
その手前にはこのようなツイートがあったので、カレーの味に言及したものだったのですね。
妖精はきのうこれを読んだから。