掌の小説(川端康成)
川端康成と聞くと、多くの方が『雪国』『伊豆の踊子』『山の音』 などの著名な名作たちを連想されるのではないでしょうか。いずれも長編や短編ですね。(これらの作品をまだ読んでないよというそこのあなたは、ぜひ大学生になったのを機会に手に取ってみてくださいね!)
ですが、川端康成はショートショート(掌編小説)も得意としているんですよ!ショートショートといえば星新一がとーっても有名で、こちらはどちらかというとSFちっくで皮肉のきいた作品が多くなっています。一方の川端康成は非常に洗練された美しい文学的なショートショートの作品を書き上げてきました。20代のころから40年余りにわたって書き続けた掌編小説を収録したのが今回おすすめする『掌(たなごころ)の小説』です。
このなかに収められている作品の中で、私がもっとも好きなのが、『ざくろ』です。戦時中の話で、幼馴染同士の淡く切ない恋が描かれています。私がこの『ざくろ』に出会ったのは中学二年生のときで、国語の読解問題という形で読みました。ざくろの実が何を象徴しているのか、いろいろと考えさせられた思い出です。問題を解いた後も、切ないけれども何か美しい味わいが忘れられなかったので調べた結果『掌の小説』にたどり着いたわけです。100を超す作品が一冊にまとめられているので、興味を持ってくれなら是非読んでみてください。
<文責:しとくろむ(薬2)>