"投資家の視点が変わった"シリーズC、ノインはファイナンス・プロデュースの助言も活かしながら実現
株式会社ファイナンス・プロデュース(以下FIP)はノイン株式会社(以下ノイン)のシリーズC資金調達のご支援をしました。資金調達の背景とともにFIPの支援内容についてノイン取締役COOの千葉久義氏に振り返っていただきました。
ーーまずはノインの事業内容について教えてください
我々の事業は大きく4つに分けられます。コスメEC「NOIN」とコスメメディア「NOIN.tv」を中心にコスメの自社ブランド「sopo(ソポ)」、化粧品販売データを用いたデータビジネス事業に取り組んでいます。
「sopo(ソポ)」は2020年11月にファミリーマートで買えるコスメブランドとしてリリースしたのですが、2022年3月時点で累計販売数は約100万本を突破しており、すでに一番売上の大きな事業となっています。
ーー2021年秋から2022年初めにかけてシリーズCの資金調達を実施されました。調達の背景について教えてください
事業会社を中心に計7社から10億円超を調達しています。IPOから逆算するとシリーズCとシリーズDの資金調達で更なる事業成長が必要だと考えました。
シリーズCは次につなげていくためのファイナンス。調達金額は主に人材採用に投資をして、事業を軌道に乗せてシリーズDでマーケティング投資ができる状態を作ります。
ーーシリーズCの調達ではFIPも支援をさせていただきました。なぜFIPが支援させていただくことになったのでしょうか
今回はシリーズCを大まかに2つのフェーズに分けての資金調達となりました。2つ目のフェーズにおいて、自分たちでまとめかけていた資金調達が崩れるなど、想定通りに進まないことがあったため、FIPに支援していただくことになりました。
実はFIPの支援を受ける前にほとんどのVCとは接触していて、残っていたのはシリーズDでアプローチしたい投資家のみという認識でした。
シリーズAやBでは経営陣や、目指しているビジョンを見られることが多かったですが、シリーズCでは事業構造の美しさや事業の蓋然性を数字で示すなど、エクイティストーリーの構築が求められるなど、明らかに"投資家の視点が変わった"と感じました。
そんな中でFIPに相談し、協議の結果、協業見込みのある事業会社を中心にラウンドを纏める方向性としました。
ノインにはCFOがいないため、CEOとCOOが事業と並行してファイナンスにリソースを割り振っています。事業会社から調達する場合は個別に協業ストーリーを構築、提案する必要があったり、社内稟議を通すのに時間がかかったりします。
そのため、これまでは投資判断の早いVCを中心にアプローチしていた時とは異なるリソースやノウハウが必要であり、FIPの協力は有益と考えました。
ーーFIPの支援はいかがでしたか
まず、事業にもファイナンスにもリソースを割り当てないといけないというジレンマに陥っていたので、FIPに支援いただいたことで事業に早く集中できるようになったのが良かったです。
シリーズCということもあり、バリュエーションがそれなりに規模感があるタイミングだったので、客観的にエクイティーストーリーを作る必要がありました。
そこでFIPと共にDX(デジタルトランスフォーメーション)とSX(サステナビリティトランスフォーメーション)の2つを柱にノインと事業会社それぞれの戦略に基づいた説得力のあるストーリーを作っていきました。
多くの投資家は我々が事業を展開するコスメ業界に詳しくはありません。例えば、仕事用と休日用など、シーンに応じて複数のコスメを使い分けることや、年齢を問わず低価格帯・高価格帯の両方を使うことはあまり知られていません。
そのような状況をなかなか理解してもらえないことに課題を感じ、コミュニケーションの取り方についても相談していました。
事業会社の場合では複数の社内稟議を通す必要があったりします。そのため、口頭でのご説明だけでなく、議事録とともにそのまま社内で読み上げられるくらい詳しい資料を作った方が良いというアドバイスも受けました。当時はメンバー複数人で作文を書きながら、議論をしていました(笑)。
ーー最後に今後の事業展開について教えてください
ノインは、今回の資金調達におけるFIPとのエクイティ・ストーリーについての壁打ち等を踏まえ、イギリス発のユニコーン企業Farfetchなどの海外企業も参考にしながら、EC事業に止まらず、データビジネス事業も展開することで高い利益率を生み出せるということを証明したいと考えています。そのために大きく3つに注力していきます。
まずはEC事業「NOIN」をさらに使いやすくして成長させること。商品レコメンド機能の磨き込みや、原料や製造方法が環境に優しいクリーンビューティー商品を中心としたラインナップの拡充に取り組んでいます。
2つ目はコスメブランドの海外展開のタネを作ること。日本発のコスメブランド(J-Beauty)の魅力やクオリティをさらに海外で広めていきたいと思っています。
すでに自社ブランド「sopo」は香港での販売を開始したのですが、順調な滑り出しです。今後は自社ブランドだけでなく、ECで扱っているブランドの海外展開も行っていきたいです。
3つ目が現在立ち上げ期のデータビジネス事業をマネタイズすること。EC事業「NOIN」には情報感度が高いユーザーが多く集まっています。そこでの売れ行きデータは次に実店舗で流行するトレンドとなる先行指標になると考えています。
自社ブランド「sopo」でもさまざまなデータから仮説を立てた上でブランドを開発しているため、そこで得られたデータも活用できるでしょう。
参考:発売わずか3ヶ月で30万本の大ヒットを生んだsöpöはデータから生まれたという話
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ファイナンス・プロディースでは「社会を変える事業を創るためのファイナンスをプロデュースする。」というミッションの元、主にスタートアップ起業家側のセルサイドFA(Financial Adviser)としてM&A助言や、大型IPOに向けた資本政策・資金調達の助言をしています。
https://finance-produce.com/
今回、コスメ業界のDXを実現するためにEC、メディア、自社ブランド、データ事業と複合的に事業を展開するノインに魅力を感じ、ご支援させていただきました。
ECを運営しているからこそ、自社ブランドの開発ができ、自社ブランドの開発をしたからこそ、データ事業の立ち上げやEC事業をさらに拡大することができます。
急成長を続けている一方で、投資家からは複雑な事業ポートフォリオに見えるなど、ギャップを感じました。そこで第三者の視点からエクイティーストーリー構築支援などを行い、付加価値を生み出せると考えました。
ご支援させていただく中で、改めてノインの経営チームと事業ポートフォリオには魅力を感じたので、今後の事業成長にも期待しています。
インタビュー・執筆:平川 凌
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