息子が見ている世界
月並みではありますが、子どもの言葉にハッとさせられたり、こんなところにこんなものがあったのか、と気づいたりすることがあります。私って、日々の生活の中でいろんなことを見逃してるんだなぁと。
息子は、2歳になってますます語彙力が増えてきました。もともと、何かをうにゃうにゃと言っているような子どもでしたが、最近はなんとなくそれも言葉になってきて、大人たちに一生懸命何かを伝えようとしてくれています。
新型コロナの流行による緊急事態宣言以降、在宅勤務をしながら家で息子と過ごす生活をずっと続けていますが、その間に、偶然見た踏切がひたすらカンカンいっている動画にはまってしまい、日中ずっと踏切のカンカンカンカンという音に急かされるように仕事をしていることもありました。あまりに心理的に危機感をあおってくる音のせいで私がおかしくなりそうなので、なんとか別のもので気をそらしているわけですが……。
そんな折、息子がリビングの窓を指さして少し腰をかがめるようにして「あ、でんしゃ、でんしゃ」と言うので、何かを電車と勘違いしているのかと思いつつ、息子に目線を合わせて私も窓の方を見てみました。
すると、窓のさらに向こう、ベランダの柵の下のわずかなすき間から、最寄駅に入っていく電車が見えるのでした。これは大発見。息子はしばらく窓の近くに腹ばいになって電車を眺めていました。私も夫もよく気づいたものだなぁと感心しました。
ただスーパーへ向かうだけの道の途中でも、「はな、ある(花がある)」「わんわん!(犬)」など自分が見えているものを次々と教えてくる息子。
また、ある時は、私の目を指さして「め!」と言ったあと、じぃっと私の目をのぞき込んで「き、いる」などというので、はっとしました。「き」は息子の名前のとめ字で、まだ自分の名前がうまく言えない息子は自分のことを「き」と言います。つまり、私の瞳に自分の姿が映っていると言いたかったのでしょう。「そうだね、いるね」と言いながらなんだかじーんとしてしまいました。なんてロマンチックなの息子……。
今のような新鮮な驚きとともにいろんなことを教えてくれるような時期はそう長くはないのかなと思うので、いまの息子のひとことひとことに耳を傾け、味わいたいなぁと思う今日この頃です。
(とはいえ、なかなかゆっくり聞いている暇がないこともありますが……)