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育児中の私が考えるキャリアについてのあれこれ。

私はもともと、どちらかというと「バリキャリ」にあこがれていました。バリバリと仕事をこなし、自分の力でお金をもりもり稼ぎ、男性に頼らずに(もしかしたら結婚せずに)生きていくことこそ私の目指す生き方でした。

そんな私がひょんなことから結婚し、子どもをもうけることになるわけですが、結婚と出産はまさに「ひょんなことから」というべき、私の人生には起こりえない(と考えていた)出来事でした。

結婚じたいは、ただ一緒に暮らしているだけという感覚に近かったかもしれません。お互いに興味がないわけではもちろんないけれども、趣味や友達付き合いについてはもちろん、仕事に関してもお互いに干渉するということはなかったです。夫とはほどよい距離感でいられる。これが結婚の決め手だったといってもいいでしょう。

そんなこんなで、当時の私は仕事が面白くなってきた頃でもあり、専業主婦になろうなどということは少しも考えませんでした。結婚したからといって、「男性に頼らない生き方」が揺らぐことはなかったのですが。

まぁ、お察しだとは思いますが、子どもができたことでずいぶん私もいろんな部分で変わらざるをえなかったわけで。

子どもができたことに後悔は何もないし、結局は自分が産むと決めて産んだので、今更過去に戻ってやりなおしたいとは思っていません。しかし、実際に産休や育休などでキャリアが途切れることがなかったら?今のように時短ではなくフルタイムの正社員を続けていたら?というもしものことはたまに考えたりします。

今でこそ男性も家事や育児に参加しやすくなってきてはいますが、子どもを産み育てるためにキャリアをあきらめる女性はまだまだ多いと思います。どちらかを選ばなくてもいいじゃないか、と思う方もいるかもしれませんが、どちらかを選ばなければいけないのではないか、と思うぐらいには、出産も子育てもキツイものです。身体の変化もありますしね。

うちの場合だと、夫の会社は少々前時代的な古い文化がまだあるようなところで、残業はざらでしたし、結婚している男性社員の奥様はそのほとんどが専業主婦。そのため、妻に変わって子どもの看病のために仕事を休むような男性も、保育園のお迎えにいくような男性もあまりいないようです。夫自身にいろいろやる気があってもなかなかそうしづらい環境と言えます。

そんなわけで、私にキャリア志向があろうがなかろうが、子どもができた以上は私が中心となって保育園の送り迎え、病気のときの看病などのもろもろをやる他はなかったわけです。子どもを育てる経験は喜びであり、幸せなことではある。でも、そのためにはキャリアをあきらめなければならないような社会構造になっている。それをひしひしと感じるわけです。独身の頃もずいぶん女性であることで辛酸を舐めたと感じていましたが、子をもつことでさらに女としての自分とはなんと生きづらいのだろうかと思うことが増えました。

出産から1年の休養を経て、私は子どもを保育園に入れて仕事復帰しましたが、時間的にフルタイムで働くことはできず、現在も時短勤務を続けています。これに納得しているかといえば、納得しているともいえるし、釈然としないとも言えます。

ここ最近、家でもよく仕事の話をしている夫ですが、ふと、純粋に仕事に精いっぱい打ち込んで楽しめていることがうらやましいなと思いました。

「ええなぁ、私にはもうその熱意がないかも」と、思わず口に出していました。

子どもが産まれたことに後悔はない。子どもを育てるためにいろんなことを考え、悩むことも別に悪いことではないと思う。なにより、子どもは今の私にとっていちばん大事な存在だ。けれど、そのためにキャリアをあきらめなければならなかった私と、とくに何も変わらない夫(※休日はちゃんと子どもの世話や家事もしてくれていますが)。

子どもを育てながらでも、保育園に通わせれば今まで通り仕事ももりもりできると考えていることもありました。でも、そううまくはいかなかった。

産後の身体は自分が思っていた以上にダメージを受けていて、出産する前にはできていた「ちょっとした無理」ができません。無理をしたらやはり、体調を崩しました。そして私が倒れたら子どもに関することの一切を夫に任せることは残念ながらできませんでした。

私が動けなくなったときに、仕事を休んだり、早退してもらったりして、保育園のお迎えや子どもの通院を任せたりしたこともありましたが、何度かそういったことが続いた際、夫は会社で「転職するのではないか」と噂をたてられたそうです。これは夫の耳にも入っていることですが、もしかすると耳に入らない範囲で陰口など言われているのではないかと考えてゾッとしました。たかだか子どものお迎えや通院ぐらいで仕事が不利になる可能性がある職場とは、いったいどういうことなんでしょうね…。

不本意ではありますが、夫が働きにくくなるというのは全くよろしくない。これは私が倒れてはダメだと思いました。そうすると、自然と自分自身の体調管理が優先度高くなるわけです。仕事では「自分が確実にできる範囲」のことしかしなくなりました。

私にとってそれはとても自然ではあるけれども、いろいろ考えて、仕事をバリバリ頑張るという選択肢を諦めたことによってでた結論でもあります。

一方で、会社で「あの人はいま子どもがまだ小さいから」「時短でもできる仕事を」と同僚たちに言われることにモヤモヤしたりもします。責任のある仕事からは自然と遠ざかり、できる範囲の仕事のみをこなしていることにはさまざまな葛藤はあるけれども、それでも、やはり私にとってのいちばんはいま子どもを育てること。

夫は、私が「キャリアを諦めた(諦めざるをえなかった)」と思っていることには気づいていなかったようで、時短でも仕事を続けているのだから今までと変わらないと思っていたようです。そんなわけあるか(きちんと話しました)。

理想を言えば、出産や育児などのイベントをもってしても、女性がキャリアダウンなんてしなくていい世の中になってほしいし、むしろ男性も女性並みに育児に参加することが当たり前になって、ことさら「イクメン」などとまつりあげられるようなことがないようになってほしい。

これはうちの夫のような一個人の男性の意識がどれだけ向上しようが、やはり社会や企業の仕組みや文化が変わらないとなかなか難しいのだと思います。古典的な雰囲気の会社の中で一社員である夫がパイオニアになればいいとは思いません。一個人がつらい思いをして新たな道を切り開いた、というのはときに美談になりますけれど、それってよほどのつよつよメンタルでないと実現できないものです。そういう意味では、子育てをする男性にとっても生きづらい世の中です。

まぁそれでも、夫の会社の中でも少しずつ理解を示してくれる方が増えてきてはいるようなので(夫くんは家庭に協力的な人、という認識が広まったという説もある)ちょっとずつではあっても変わっていけばいいなぁと思います。

また、幸か不幸か、夫の会社でもコロナの影響で時差出勤が認められつつあるようで、早く出勤する代わりに早く帰れるという日もあります。そのような日を利用して、夫も保育園のお迎えぐらいから徐々に参加できるようにと相談しています。

子どもが大人になる頃には、男性も女性もいまより少しでも楽に生きられる社会になっていればいいなぁと思わずにはいられません。

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洋梨
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