2024/7/7 EURO2024 オランダ対トルコ 雑感
※素人によるオランダ視点での雑感です。
ルーマニア戦でここ数年で最高の試合を見せてくれたOranjeだったが、前半早々に修正してきたトルコには案の定機能不全に陥ることに。
攻撃面では、トルコが54の守備ブロックを形成し全体的に引いてきたが故にSimons、Bergwijnにはスペースが与えられず、外へ、外へと追い出された。Memphis、Simons、Bergwijnが中にいる形では明確に高さが欠けているため、シンプルなクロスではよほど崩さないとチャンスにはならないのだが、Dumfriesでは右サイドを制圧できず、攻撃の展開はGakpoのいる左サイドに集中。時折球際で偶然にも勝利した際にチャンスとなるだけで、自分たちで狙った形でのチャンスはろくすっぽ掴めないまま前半を終えた。
後半、Weghorstを投入してからは一つ明確なターゲットができ、時にクロスからのチャンスも作れ、また跳ね返されてもトルコのブロックを崩す、ずらすことに繋がり、展開に詰まった際にシンプルな高さと言う選択肢が一つ増えることの重要さを思い知ることとなった。
守備面では裏へのボールの対応にひたすら苦しめられた。
もともと指摘してきたDe VrijとVan Dijk間のギャップを突かれたり、決して遅くはないが、早くはないAkeの裏などを、Yılmaz、Gülerと言った面々にひたすらに突かれ続け、特にYılmazの対応には苦しみVan DijkとAkeにはイエローを提示されるなど、彼には徹頭徹尾苦しめられ続けた。
逆転した終盤には完全に気持ちが守備に傾いてしまい、中盤が完全になくなりトルコにひたすら押し込まれながらもなんとかゴールは割らせなかったが、ボールホルダーへのプレッシングが一切かからない状況については確実に修正が必要。
各選手評
Starting
GK
Verbruggen
いくつかの素晴らしいセービングによってチームを救った。
失点はあれだけフリーでヘディングされたらノーチャンス。
DF
Ake out 73'
Yılmazへの対応にかなり苦しみ、イエローを貰うことに。
だが直接の失点には繋がらせず、全体的には無難なパフォーマンス。
ビルドアップでもいくつか良いボールを供給していたが、そこから先はチームとして困っていた。
Van Dijk
彼もまたYılmazへの対応にかなり苦しめられ、イエローを貰った。
ただ、終盤押し込まれた展開も含め、ハイボールやクロスボールに対する対応力は流石の一言。一度競り負けた際にかなり危ういシーンを作られたことからも、チームの彼の空中戦に対する信頼の高さが伺えた。
De Vrij
CKの流れから殊勲の同点弾もさることながら、守備も安定感をもって行っていた。
流石に左右に大きく振られたシーンでは付ききれないこともあったが、体を投げ出してゴールを死守した。
Dumfries
トルコの先制点のシーンでは判断ミスでCKを与え、さらにマークを外しフリーでヘディングを許すという彼のミスの連発だった。
前半は引いたトルコ相手になすすべなく沈黙していたが、後半にWeghorstが入ってからはいくつかチャンスに絡み、76分には上手くフリーになってボールを引き出し、ダイレクトのグラウンダークロスから決勝点を演出した。
とは言え守備面含め今日の出来は決して良くなかった。
MF
Schouten
54の守備ブロックでスペースを潰した相手には、当然のことながらルーマニア戦のように縦パスを刺すことはできず、前半はサイドに居場所を求めすぎて攻撃を停滞させる一因となった。
後半に入ってからは居場所を修正し、味方の助けとなった。しっかり戻ってVerbruggenの弾いたボールをクリアしたり、De Vrijと共に体を投げ出したりと守備面での貢献も光った。
Reijnders out 73'
躍動したルーマニア戦から、今日はトルコの美しい守備ブロックにひたすら苦しんだ。
後方で組み立てを務める方が好きなのはわかっているが、今日のような展開なら時に彼もブロックの隙間に入り込む動きが必要だったのだが、彼もサイドに逃げるばかりで彼からの展開も彼自身の動きも効果的でなかった。
Simons out 87'
トルコの美しい守備ブロックの小さな隙間に入り込んで、いくつかいい形で受けることはできていたがそこからがなかった。
決勝点のシーンではDumfriesを見逃さずワンタッチの素晴らしいパス。
が、前半はプレスバックをサボり過ぎで、Memphisに加え彼までサボってはそりゃあチームは苦しくなるよね、と言う展開だった。後半は少し修正された。
FW
Gakpo
右のDumfriesが器用さは持ち合わせていないため、前半のチャンスメイクはどうしても彼のいるサイドからになってしまっていた。とはいえあれだけのブロックを作られては誰でも困難。
後半、Weghorstが入ってからは右サイドも活性化し彼のサイドのブロックが若干緩んだおかげで、カットインだけでなく縦の突破からのクロスなど、多くのチャンスを作り出した。
決勝点は、たとえ公式記録はオウンゴールでも、諦めずに飛び込んだ彼のもの。
Memphis out 87'
CKからアシストを記録はしたが、それだけ。
開始早々にチャンスを逃してからは、Weghorstが入るまではただのロストマン。ボールを受けたらいつも相手を背負いながらの足裏でのプレーに入るが、そこから何も生まれないどころか狙われて失うだけ。本当に時たまここからチャンスが生まれることもある試合もあるが・・・。
Weghorstが入ってからは中央にこだわらずフリーマン的な動きができるようになり少し改善した。だが求めるレベルに達したとは言い難い。
そしてなにより、チェイシングもあまりしなければ当然のようにプレスバックもしない。誰か彼に「君はMessiじゃない」と伝えて欲しい。
Bergwijn out 45'
ルーマニア戦でビルドアップの解決策となった彼だが、今日は残念ながらいかにルーマニアの守備が杜撰だったのかを証明することになってしまった。外に外に追い出され、効果的なスペースで受けることができず。
ケガの状態は変わらず思わしくないようで、前半で交代となった。
Sub
Weghorst in 45'
後半開始から出場し、ターゲットマンとして多くの仕事をこなしながら、守備面でも必死のチェイスで大きく貢献した。手詰まり感のあったオランダのゲーム展開を変えたのは間違いなく彼。
なかでも65分には、Verbruggenがセーブしたこぼれ球を伸ばした足先で懸命のクリア。これを決められていたら0-2となり試合が終わりかねない状況で、このクリアは本当に大きな仕事だった。
Van de Ven in 73'
今日もアケに代わって出場。
Verbruggenが弾ききれなかったクロスボールを詰められ、危うく同点となるシュートを値千金のブロックで阻止。Weghorstのクリア同様、本当に大きな仕事をした。
それ以外にも、Akeに比べ高さ、速さのある彼になってからは左サイドは大きく崩されず。ビルドアップはぎこちなさがあるが、Akeに代わり彼が出てくるのはオランダの強み。
Veerman in 73'
Reijndersに代わり出場。1本良いパスがあったが、それ以外特筆することもなく無難。自分の仕事をこなした。
Frinpong in 87'
Simonsの位置に代わって入り、右サイドをDumfriesと2枚体制で守る狙いだったのかもしれないがチーム全体が引いて中盤がなくなってしまい、必然彼も後ろに下がることに。
カウンターで、突破できれば・・・と言うシーンもあったが止められてしまった。
Zirkzee in 87'
スクランブル的に召集された彼がここにきて突然の登場。
しかしながら彼の投入後チームが完全に守りに入ってしまい、彼も守備に追われることに。当然、評価できるほどのものはなし。
しょうもない判断ミスから失点し、相手の美しいまでの守備ブロックにここまで貫いた小難しいビルドアップだけではどうしようもなくなり、高さという武器を選択肢に加えてなんとかひっくり返し、最後は完全に中盤がなくなり相手に自由にやられながらも、ゴール前に人の壁を作って跳ね返し、苦しみに苦しみながらなんとか勝利。
こう書くとネガティブなイメージしかないですが、
①やられたのは結局セットプレーの流れからのみ
②しっかりと逆転したこと
③手詰まりになった時に、解決策がちゃんとあったこと
を見せてくれたことはポジティブな要素です。特に③は今後においてもとても重要なこと。
次戦の相手はイングランドに決定しています。
ここまで「試合がつまらない」なんて言われている彼らですが、それでもここまで勝ち上がっていると言うことは彼らは強いです。
私はOranjeしか追っていないので彼らの出来はわかりませんが、ネームバリューを考えれば今大会の対戦相手としてはフランスと並ぶレベル。しかしてそのフランスとはGL第2戦にお互い引き分けでも良い状況で、かつMbappéがいない試合でしたから、ここが今までで一番難易度の高い相手と言って差し支えないと思います。
前線の形を継続してくるのか、それとも今日の展開から、例えばWeghorstはゲームチェンジャーとして使いたいなら、Zirkzeeをスタートから使うとか、高さを最初から加えてくるのか、それはKoeman次第ですが、そこは少し気にしていたいと思います。
EUROの準決勝を戦えるのは2004年以来20年振り。楽しみな次戦は日本時間7/11(木) 4:00キックオフです。