北大の二外ドイツ語
難易度:★☆☆
おすすめ度:★★★
文字、語彙、文法など多くの要素が英語によく似ており、とっつきやすい言語だと思います。比較的好成績を取りやすいという長所があり、移行点や分属点を気にされる方にはおすすめです。一方で、個人的には英語に近すぎると感じてしまうこともあります。未知の言語に触れて価値観の相対化を図るという意味では、中国語やロシア語の方に軍配が上がるでしょうか。
また、ドイツ語は哲学を学ぶ上で非常に重要です。初年次に配布される資料では、哲学を専攻するにあたってドイツ語を学習しておくことが推奨されています。全学科目を取ったり、他学部履修で文学部の授業を取ったりと、専攻せずとも哲学を学ぶ機会は多分にあります。少しでもその道に興味があるならば、ドイツ語を選択することは無駄にならないと思います。
哲学以外にも、文学や物理学、音楽など、あらゆる学問・文化を語る上でドイツの存在は欠かせません。このような文化に興味のある人には、特におすすめの二外といえます。
学習内容
全クラス共通して『ドイツ語の扉』という教科書を用います。北大での授業に合わせて作られたもので、例文には藻岩山やさっぽろ雪まつりといった地域色のある単語が登場します。一方で、文法事項の説明がやや不親切、記載されている練習問題の数が多くないといった理由から「開かない扉」などと揶揄されることもしばしばあります。個人的にはそこまで悪い教科書だとは思いませんが、他の教科書や問題集を参照して勉強する必要はあるでしょう。
前期
名詞の性
新入生の場合、名詞に性がある言語に初めて触れる方が大半だと思います。英語と比較すると、単純に単語を覚える際の情報がひとつ増えますので、慣れるまでは大変に感じるかもしれません。
名詞に限らず、テストに向けて語彙を鍛えるためには、授業・教科書で扱った単語をすぐにまとめておくのが理想です。筆者はExcelに打ち込んでテスト前にチェックしていました。列をグループ化して単語を隠したり、覚えられない単語の横に数字を振ってソートしたりできるのでそこそこ便利です。単語帳アプリ等を使うのもいいでしょう。
冠詞の語尾変化
英語での 'the' や 'a' に相当する冠詞 'der' や 'ein' は、名詞の性・数・格によって語尾が変化します。名詞性と同様、頑張って覚えるしかありません。全員もれなく教科書の表を見ながら「であですでむでんでぃーであであでぃー......」などと唱えることになります。
前置詞の格支配
ドイツ語の前置詞は、特定の格の名詞しか取れません。'aus' の後は3格、'für' の後は4格、'in' の後は3格もしくは4格、といったように、前置詞ごとに決まっています。
これも暗記する事項ですが、機械的に覚えるのは少々難しいと思いますので、例文を中心にしたインプットをおすすめします。
『ドイツ語の扉』だけでは例文が足りないと感じた場合は、図書館にあるドイツ語検定のテキストを使ってみると良いです。3級ぐらいが授業に合った難易度です。上を目指す方は2級に手を出してみても良いかもしれません。
後期
後期の学習範囲は7課から9課までです。10課から先は学習しません。
過去形と完了形
ドイツ語の過去形と完了形は、文法的な作り方はほとんど英語と同じです。しかし、英語とは機能がやや異なります。
過去形は主に書き言葉で用いられます。歴史的なことがらを記述する際や小説を書く際に用いられます。
完了形は、会話において過去時制を表します。これが英語との差異です。完了相を表す完了形よりも、むしろ過去時制を表す完了形の方がよく見るという感覚です。ただし、英語の完了形と同様に完了相を表す機能も持っています。
再帰
再帰代名詞自体は英語の 'oneself' とあまり変わらず、理解は難しくないですが、それを用いた再帰動詞が厄介です。特定の動詞と再帰代名詞の組み合わせが熟語的に意味をなします。
再帰動詞は、英語でいうと動詞+前置詞・副詞の句動詞に似ています。再帰代名詞に加えて前置詞を取る場合も多く、慣れるのには若干時間がかかりますが、慣れてしまえは熟語を覚えるだけです。
授業形式
前期
筆者の場合、前期はすべて対面授業でした。教科書に沿って授業をしてくださるタイプの先生だったので、教科書の練習問題を予習することで余裕を作っていました。授業時間中に各自練習問題を解く時間が取られるので、そこで単語をまとめていました。
2、3週間に1度単元ごとの小テストがあり、10分前後で短文の穴埋め問題を60問解くというものでした。PCを使用して行うものです。
クラス内の期末試験もありました。こちらは紙でのテストでしたが、問題自体は小テストとあまり変わりませんでした。小テストはタイプして解答でしたが、こちらは選択問題でした。
後期
後期になると、週2コマのうち1コマが自習時間になります。CALLを用いた課題の進捗次第で成績が付きます。課題さえやっていれば一定の成績になるやさしいシステムです。CALLの内容は復習です。1課から始まり、最後の課題は8課の復習でした。
一応規定の授業時間はありますが、期限内に課題をやれば良いだけのため、決まった時間に教室に行く必要もありません。筆者はCALL教室に行って規定の時間通りに課題をやるタイプでしたが、同じことをしている人は5、6人だけでした。
CALLについては、前期の英語Ⅱ等で使用しますので、後期には慣れていると思います。
後期もCALLでない週1コマは対面授業でした。筆者のクラスは先生が交代し、授業形式にも若干の変化がありました。
前期は教科書ベースだったのに対し、後期は『ドイツ語の扉』以外の教科書から練習問題や例文を取ることも多くなりました。『ドイツ語の扉』の練習問題も、半分近くは扱われませんでした。
『ドイツ語の扉』以外からの問題や例文はスライドに映されるのですが、授業スピードが速かった上、授業スライド等は共有されないという二外全体のルールがあるらしく、見逃すと取り返しがつかなかったため、授業中はノートテイクにほとんどのエネルギーを使っていました。
今思うとすべてを写す必要はなかったかもしれません。テスト前に抜け漏れがあるノートを見ると不安になってしまうので、メンタルケアのためにやっていたというのが大きいです。
単元ごとに小テストが行われたほか、CALL課題の小テストも3回ありました。どちらも紙でのテストです。期末試験はありませんでした。
統一試験
短文の選択穴埋め問題25問程度、中程度の長さの文章を読んで内容について答える選択問題が十数問、40~60語のライティング、リスニング数問というのが大体の構成です。テストを作成する先生は年によって異なるため、構成も変わるかもしれません。参考程度にお考えください。
特にライティングは事前の対策が必須です。大体テーマが決まっているため、先生が出そうなテーマをいくつか教えてくれます。それに対して解答を事前に書いておき、おおまかな書き方を用意しておくと点が取りやすいです。
ただ、この対応はクラスによってまちまちです。情報を共有してくれる友達が他クラスにいると安全でしょう。筆者は友達がいなかったので、Twitterで情報を流してくれる方のお世話になっていました。感謝。
採点後にテストが返却されることはなく、平均点等は謎に包まれています。難しい試験というわけではなく、しっかりと勉強している人であれば9割ぐらいは取れるのではないかと思います。クラスによりますが、9割ぐらい取れていれば最高評価が付くと思われます。感覚ですが...。
※北大言語学サークル Huling の公式サイトから筆者自身により転載
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