【史】WW2が終わった年にスマホを考えた人がいた?/IT全史を読む(14)
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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年7月16日配信の書き起こしです。
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にゃおのリテラシーを考えるラジオ
読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、
第二次世界大戦が終わった年にスマホを考えた人がいた
「IT全史」を読むの第 14 回目です。
実用的なコンピュータのはじまり
前回までに、現代のコンピューターの思想にかなり近いバベッジの解析期間と、その可能性に思いを馳せて史上初めてのプログラマーと呼ばれている伯爵夫人の話をしました。
20世紀に入ると、世界は二度の世界規模の戦争を経験し、より高度な軍事システムの開発に鎬を削るようになりました。
そのひとつがコンピューターと、有事でも通信が可能なネットワークの開発でした。
最初に実用化に成功した汎用的な電子計算機は「エニアック」とされています。
これはミサイルの弾道計算を行うためにアメリカで開発されました。
大きさは日本の一軒家くらいはあったようです。
完成したのは 1946 年。
第二次世界大戦終結の翌年ですね。
この時期に現代のコンピューターにつながる技術やアイデアがたくさん生まれています。
人の知能を増幅する装置
その中に「メメックス」というアイデアがありました。
当時のアメリカの科学研究開発庁の長官であったヴァネヴァー・ブッシュという人が構想した、「人の知能を増幅する装置」の名前です。
ブッシュはメメックスを「一種の機械化された私的なファイルと蔵書のシステム」と定義しています。
2 枚のスクリーンで資料を検索でき、そのうち 1 枚はペン入力ができてノートやメモを取ることができます。
その入力は写真の形で保存され、もちろん後から検索して表示することができます。
文章のスキャナーも装備しており、これも写真の形で保存されます。
「いずれはそのように蓄積された資料が広く販売される」とも言っています。
さらに撮影された写真データ同士を関連付け、連想索引というものを作れる機能も構想しています。
1 枚の写真データから関連する写真を引っ張り出すことができる機能です。
このブッシュの論文は雑誌にも掲載され、そこには利用者が額につけるカメラのようなイメージも載っています。
もっとすごいのは、いずれは蓄積したデータをネットワークを通じて検索できるようになると言っていることです。
もちろんこれらは当時予想できる技術で構想されているので、データ蓄積はマイクロフィルムを使うというような今となっては古いものもありますが、構想そのものの一部は現代の我々が手にしているスマホで実現されているものではないでしょうか。
というか、スマホ自体、この頃に発想されたものを目指して作られていると言っても過言ではないのです。
驚異的な発展スピード
驚くべきことはこのような発想をたくさんの人が持っていて、それを実現するためにとてつもないスピードで技術開発が進んだことです。
100 年も経たないうちに一軒家ほどの大きさがあったエニアックの何億倍もの性能のコンピューターが手のひらに乗り、しかもそれを誰もが持っている世界ができたのです。
僕自身、子供の頃想像していた世界を、今はすでに凌駕していると感じます。
終戦後に発表されたメメックスの構想は、ひとまずはパソコンへとつながっていきます。
次回はその辺りの話をしようと思います。
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おわりに
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。
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