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【第280回】“ボケ”トークになる前に書き留めておきたい出逢い

大東京展望の六本木ヒルズ最上階の会員制個室で二人で食事をした。「黒木さんの著作は全部読み終えて、“ここに”持ってきました」「それは嬉しい。サインしましょうか!」「いや総て裁断して捨てました」「!?」。

彼はアイパッドを取り出すと、「書籍を読み取り機にかけて、これに入力して数冊分も手軽に持ち運んで読めます。印刷本を電子書籍に変換しますが、その読み取り自炊機を私の会社で開発しました。黒木さんに使って頂いて感想をお伺いしようかと」。

1965年生まれ、大学で数学を専攻、日本IBM入社後に外資の日本支社長に転職したが、自分でやったほうが面白いと28歳で独立。

マイクロソフト本社見学で教育関連ソフトが売れると直感、自分で作って単身で秋葉原の店頭で実演販売する。

PCソフトは専門的な難しい横文字名が多かったのを、初心者用に漢字名にした。

PCが驚くほど速くなる“驚速”は8億円もバカ売れ、
野球をヒントにしたキーボード手引書“特打”は100億円! 
“引越おまかせパック”、“ホームページ・ゼロ”、“携快電話”、“超字幕”、“筆王”など、目を引く特異なネーミングのヒットシリーズで、黄色CDケース入り\1,980の激安で統一。

薄めの小さいコンパクトな箱で販売したが、安っぽく品質も劣悪イメージになるので、会社が箱崎だから「箱・先」発想で、外観イメージを高級に見せるため、CD一枚なのにコーンフレーク箱と同じサイズにした。

価格が安いから返品も可能、年間更新料ゼロで割安感を出し、違法コピーしても構わない簡略化を図った。

CD挿入だけで自動的にインストールを始める機能、コンビニでもおでん売り場に並ぶ身近に配置、購入額の10%を貯めて別商品購入につなぐマイレージサービス、破竹の勢いで斬新なアイデアを実践して、巨大マイクロソフトを設立、7年で抜いた。

ダントツ売り上げの“SOURCE NEXT”に大化けし始めた時の松田憲幸社長、2012年7月4日のことだった。

「そこまで進化したのなら次はキーボードで文字入力する手間を、声だけで自動文字変換する発明があれば最高でしょうねぇ! それに日本語でしゃべっても、相手国の言葉に自動翻訳できるようになれば、もうSFの超未来世界、ノーベル賞ものですよ」。

その日から数年も経たないうちに、ソースネクスト製品の「録音もできる文字起こしAI、自動テキスト化&要約、正解率98.9%、編集から共有までブラウザ上で完結できるオートメモ」が爆発的に出回っている。

そして外国人観光客であふれる日本、タクシーやコンビニでも日常的に手のひらサイズのAI同時通訳機器『POCKETALK』が国境を無くした。

ポケトーク100万台突破、3,000社以上で採用!

東証一部上場の一流企業社長になっても現場主義を貫き通し、全国の販売店を一人で訪ね、店頭で一緒に仕事、消費者最前線こそがアイデア源泉だと! SOURCEの意味は資源、PCで言えばプログラム設計、すぐに旬を過ぎる究極の生もの情報源に反応できる彼の“驚速”力を活かしてNEXTに挑む。

夢・目標をさらに明確化して世界一エキサイティングな企業に必ずやりとげます!と。

AIは英語のArtificial Intelligence、人工知能のこと。人が実現できるものを機械でもできるようになった。

人間の記憶は長持ちしないが、AIは入力した膨大な知識を正確に蓄積して急速成長を続けて人類能力を超える。

アラジンの魔法のランプは所有者の言うことを聞くから悪魔が所有したら悪魔の凶器になるが、松田社長の繊細な温かい感動の心配り人間には、AIはINPUTされた知識だけではまだまだ及ばないだろう……そう願いたい。

『農業経営者』2024年7月号


【著者】黒木安馬(くろきやすま)
高校時に米国留学後、早稲田大学を経てJAL国際線客室乗務員として30年勤務。 世界初の「カラオケ・フライト」や「1万メートル上空・北島三郎機上コンサート」などを実現させる。 千葉の自宅は1300坪の山林を開墾してブール、テニスコート、コンサートホール等を手作りする。 現在、日本成功学会社長として自己啓発や社員教育で講演中。
著書に『ファーストクラスの心配り」、『あなたの人格以上は売れない!』(プレジデント社)、『成「幸」学』(講談社)、『出過ぎる杭は打ちにくい!」 (サンマーク出版)、『面白くなくちゃ人生じゃない!』(ロングセラーズ)、『小説・球磨川』(上下巻・ワニ ブックス)、『雲の上で出会った超一流の仕事の言葉』(あさ出版)などがある。

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