【第33回】コメ先物取引本上場認可 売買対象は「堂島コメ平均」
農林水産省は6月21日に(株)堂島取引所から申請があったコメ先物取引の本上場を認可した。認可されたのは、上場商品が米穀指数という名目上のコメの価格で、平均米価を表したものである。
コメの平均米価を取引するというのは試験上場期間中にもなかった初めてのケースで、一般投資家はもちろんコメを扱っている当業者もどう取り組んだらよいのかよくわからないというのが実際のところである。先物取引再開はマスメディアも取り上げていたので、すでに周知のことと思われるが、当業者にとって日々取引しているのは産地銘柄等級が明らかな現物であり、コメの指数が取引対象ということ自体に違和感以上のものを感じている。
しかし、歴史をさかのぼれば300年前に世界で初めてデリバティブ取引を行なった堂島米会所の帳合米取引の対象は「立物米」という名目上のコメで、これを先物市場で売り買いして最終的に反対売買により清算するという取引だった。こうした発想で画期的な取引手法を考え出した当時の堂島の米商人の頭は極めて柔軟だったと言える。
そこで現在のコメ生産者や流通業者、実需者も頭を柔軟にして前向きにコメ先物取引の活用方法を考えてみたらどうであろう。
取引開始は今年の8月13日。売買対象になる限月は、最初の取引月が来年2月限で、その後偶数月限が続き、最終的に12月までには1年先までの複数限月の取引ができるようになる。取引単位は1枚3t(50俵)で、値幅制限や建玉制限もあるが、ここでは省略する。
リスクヘッジを果たせる指標も用意
商品概要は表1に記した。なかでも重要なのは取引対象になる平均米価。最終決済日の数値に用いられるからだ。
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