【第36回】高値が続く24年産米 コメ流通の常識が壊れる!?
10月に入り新米の出回りが加速、通常ならスポット市場で高騰している新米相場も下落に転じるはずなのだが、一向にその気配が見えない。現在置かれたコメ業界の異常さがそこに現れている。
例年8月の盆明けに開催される千葉穀類連絡協議会の新米取引会は1カ月遅らせて9月24日に開催された。出回り時期から1カ月を経過したにも関わらず、千葉ふさこがね1等が置場条件で2万5000円(税別、以下同)、千葉・茨城のコシヒカリ1・2等が2万6300~2万6500円で成約するなど、一向に値下がりしていない。
その後に開催された全国米穀工業協同組合の東日本取引会でも、茨城あきたこまちが2万5950円で買われたほか、中米が1万9300~2万300円という高値で取引された。情報交換会では、庭先価格が一向に値下がりせず、熾烈な集荷合戦が繰り広げられているという情報が産地サイドから紹介された。
こうした状況が続くと大きな変化が想定される。中でも農協系統の集荷率低下が現実のものとなり、これまで大きな力を持っていた全農系統の価格決定権が衰退する。最大の政治物資であるコメの政策的判断にも影響を及ぼすことになる。
コメ業界の生の声 現場で何が起きているか
コメ業界の現状をよく知ってもらうために、業者の集まった席でどのような情報や声が上がっているのか紹介したい。
最初は、9月20日に東京で開催された米穀業者の集まりでの声である。
ここから先は
3,063字
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?