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【第38回】くず米も外米も異常高騰 SBSマークアップ上限に
コメの市中価格高騰は、24年産米が本格的に出回る11月ごろには落ち着くだろうという見方もあった。実際にはそうはならず、ますますヒートアップしている(11月25日現在)。
11月18日に開催された全米工の東日本取引会で中米が1俵2万4000円で成約した。中米とは、比較的品位の良い「くず米」の総称で容積重では380匁(もんめ)クラスを指す。品位が良くても、くず米が2万4000円もするのはこれまでの感覚では考えられない。
11月22日に開催された今年度第3回SBS入札では、なんとマークアップ(売渡価格から買入価格を差し引いた輸入差益)が上限の1kg当たり292円に張り付いた。1996年から始まったSBS入札でマークアップ上限は初めて(24年度第1回のマークアップは1kg156円、第2回は216円)。落札米の中には、11月中旬に大手スーパーで販売が始まった台湾産ジャポニカ種もあり、メディアでも大きく取り上げられた。
その台湾産米は2790円(5kg、税別)と国産米より割安であったことから売り切れになった店舗もあった。今後、年末から年明けにかけてカルローズやオーストラリア産が続々と入船し、スーパーの店頭に並ぶことになる。
外食企業の外米使用強まる 量販店でも11月から販売
第3回SBS入札が実施される直前、応札業者の間で「大手卸2社がそれぞれ5000t落としに行く」という情報が流れた。この2社とも、今年度も国産米の逼迫(ひっぱく)状況は改善しないと見て、取引先の大手外食企業に外国産米の使用を働きかけていたという。早くから外国産米を使用している外食もあるが、あまりにも国産米が高くなりすぎ、少しでも割安な外国産米を求める外食が多くなった。これまで国産米しか使用してこなかった著名な外食チェーンも外国産米使用を決断したという。
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第3回SBS入札の売渡価格を見ると1kg500円(税別)を超えているものもある。これはバスマティライスや有機米といった特殊なコメで、国産米と競合するのはアメリカ産中粒種やオーストラリア産中・短粒種である。これらの売渡価格は1kg436~438円、これに量販店店頭までの運送料など諸経費を加えても500円程度で済むため、5kg当たりの売価を3000円以下に設定しても十分に利益が出る。
ベトナムのジャポニカ種を落札したある業者は、農薬検査のため現地での出航が長引いた結果、11月になった入船が幸いし、当初想定した国内販売価格より大幅に高くできるようになったという。
それだけ国内の米価が値上がりしていることの現れだが、なぜ価格の高騰が収まらないのか? その原因について触れてみたい。
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