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【第277回】夢実現時の姿を絵に描いて、それに成りきれ!

国際線には世界のOlympic金メダリストが乗ってくることが多いが、彼らの共通点はライバルに勝つことより表彰台で受賞時に、どんなガッツポーズで、インタビューにどんな仕草で何と答えるかのイメージ・リハーサルを繰り返していたことだ。

「牛の角と耳はどちらが前かね?」と私は本田宗一郎さんに問われて即答できないと、「ミレバワカル!そのつもりで“観る”、漫然と“見る”だけでは見えない」と。500人の乗客は、良かれと思って行動し、良かれと言葉を口にしているのに、嫌われる人と好かれる人・失敗する人と成功する人・エコノミークラスとファーストクラス客に分かれる。そのつもりで観たら成幸者には共通点があった。

浜松の鍛冶屋の長男だった小学生の宗一郎、浜名湖に空飛ぶ器械がくると聞いて自転車を三角乗りで出かけ、感動して自分の手で必ず飛行機を作る、ライト兄弟飛行からちょうど100年目の2003年12月17日直前までにと夢に日付を打った。

病弱な妻の自転車にエンジンを取り付けて世界初“原動機付自転車”を発明して“DREAM”と名付け、“翼”印にした。そして、100年目前日に、世界初の機体とエンジンを同一会社で製造した7人乗り“HONDA-JET”が初飛行して、出荷数5年連続世界一を達成する。

「上昇志向気運の強さはどこから湧き出るのですか」と私が聞くと、

「どうしても二階に昇りたいと願うかどうかだね。二階に昇りたいと強い願望と最終目標さえ明確であれば、それには階段・ハシゴ・ロープなどの手段が思い浮かぶ。何か事業をやろうとすると、資金・資格・協力者など目先の手段から始めてしまう。願望がピンポイント設定であれば夢は実現する。手段は後からついてくる、手段から始めていたら時間は足りない。阿弥陀くじで3本の線を縦に引き、そのうちの1本の先端が夢の着地点だとして3本線を何本かの横線でつなぐとどの縦線が目的に行きつくか? 目的地印が付いている線を上から逆に下の出発点の手段へたどると簡単だ。自分の夢を3つ言えるかね?」。

私が絶句すると「舟の行き先を決めるのは潮の流れや風の向きではない、あなたがどの最終目的地に向かいたいのか、帆の張り方にある!」。

ホンダ本社の入社式講演に招かれた私が話を始める前に、社長が新入社員に言った。

「ようこそホンダへ! “会社の為に”と綺麗ごとを言う意識は捨てろ、人の為と書いて偽(ニセモノ)という漢字になる。この会社で技術を盗むだけ盗んで、将来は独立するぞという野心家だけ残ってくれれば良い」

高野登・Ritz-Carlton日本支社長が日本で成功させるには新人たちに一流ホテルマンに成りきった着地点のイメージトレーニングから始めた。

早稲田大学などで20年も教壇に立ってきたが、東海大学の成果は記憶に残る。教室は陸上競技選手も多く、夢は「“箱根駅伝”で優勝旗をこの手にしたい」だった。

すぐにイメージトレーニング講義を取り入れ、「練習でどんなに疲れていても、そのまま帰っていけない! 優勝旗を手にしたらマスコミから感想マイクを当てられる、それは君にかもしれないし、あなたにかも知れない。その時に何と言葉を口にするか、どんな姿勢と態度で臨むか?全員その仮想体験を毎日続けるのだ! それでもまだ解散しないで、エアプレイで監督を胴上げする練習も必ず続けること!」。

学生たちは次第にその「Final Destination Image/最終着陸地点情景」を空想して繰り返した。

そして4年目の正月のTVや新聞は「東海大学・箱根駅伝で世紀の初優勝!」で賑わった。

すり込まれた潜在意識は、身体細胞60兆個を、あなたが思い込んだままの着地点へ無条件に結集させる。その様に振る舞っていれば必ずその姿になるのだ!

『農業経営者』2024年3月号


著者:黒木安馬(くろきやすま)
高校時に米国留学後、早稲田大学を経てJAL国際線客室乗務員として30年勤務。 世界初の「カラオケ・フライト」や「1万メートル上空・北島三郎機上コンサート」などを実現させる。 千葉の自宅は1300坪の山林を開墾してブール、テニスコート、コンサートホール等を手作りする。 現在、日本成功学会社長として自己啓発や社員教育で講演中。
著書に『ファーストクラスの心配り」、『あなたの人格以上は売れない!』(プレジデント社)、『成「幸」学』(講談社)、『出過ぎる杭は打ちにくい!」 (サンマーク出版)、『面白くなくちゃ人生じゃない!』(ロングセラーズ)、『小説・球磨川』(上下巻・ワニ ブックス)、『雲の上で出会った超一流の仕事の言葉』(あさ出版)などがある。


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