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短編小説『公園でおしゃべり』
鯖の塩焼きさんからのTwitterリプライ「沈丁花の花言葉」より
「何読んでるの?」
「これ」
「花言葉辞典?珍しいじゃんそんなの」
「拾ったのよ、このベンチで」
「へー、忘れ物かね」
「第一回!花言葉クーイズ!!」
「おぉ、そういえば回と度はどうやって使い分けるでしょう?」
「え、なんだろ…仏の顔も三度までとか言うよな…あれ?クイズ始めたのお前だっけ?」
「はよ答えろよ」
「いや分からんわ」
「正解は、次回を期待している時が回、もうここまでって思ってる時が度でしたー!」
「へ―、なるほど。あぁ確かにね、あ、じゃあ第一度花言葉クイズー!」
「あ、一度きりなのね、はいはい」
「えー・・じゃあ、簡単なのいこ。バラの花言葉は?」
「薔薇…うーん…あ、そういえば薔薇って書ける?」
「え、書けない。今この本に書いてあるけど書けない気がする」
「俺書けんのよ」
「まじ?」
「こーやって……こうして…ほら!」
「え、すっご、なんで書けるの?」
「こんな日が来るだろうと特訓してた」
「えー、良いな、俺もそういうのしたい!あ!あった!俺ね、ピカソのフルネーム言える」
「え、パブロ・ピカソじゃねえの?」
「いや、まじ寿限無だから本名」
「言ってみ」
「Pablo Diego Jose Francisco de Paula Juan Nepomuceno Maria de los Remedios Crispin Crispiano de la Santisima Trinidad Ruiz y Picasso」
「え、え、なんでそんな流暢なの?」
「こんな日が来るだろうと、特訓を」
「すげー…あれ、問題なんだっけ?」
「いや、問題じゃなくてクイズだから。手品とマジックくらい違うから」
「手品とマジックって一緒じゃないの!?」
「素人はこれだから困るな。手品は日本古来のもので、手先の器用さが問われる謂わばクロースアップマジックなんだよ」
「じゃあマジックじゃん」
「あ、ほんとだ」
「お前が煙に巻かれてどうするんだ、じゃあマジックってなんなんだよ」
「マジックは西洋から伝わるステージをでっかくつかったショーだよ」
「ん?じゃあミュージカルってマジック?」
「え、違うだろ。だって驚かないだろ?」
「いやいや、びっくりするって、歌うまってなるじゃん」
「あ、そっか。あ、じゃあだまされた!やられた!ってならないだろ?」
「いやいやいや、お前こそミュージカル分かってないよ。ちゃんと伏線とか存在するから。歌って踊ってはい楽しいだけじゃないから」
「へー、じゃあマジックなんだな、ミュージカルって」
「そうそう」
「ああ、本閉じちゃった。まぁ、バラはさ、愛とか情熱って意味なんだよ」
「えー、解きたかったな。次の問題出せよ」
「ん、じゃ逆パターンいこ。花言葉を言うから花当ててみ」
「おお、急に上級者向けだな」
「栄光、勝利、不滅、永遠」
「沈丁花」
「なんで知ってるの?」
「その本ベンチに置いたの俺だもん」