2024年11月の記事一覧
短編小説『ロシアンルーレット』
冬に差し掛かったある晩。
繁栄と共に大量に建設され、衰退と共に巨大な墓標の様になった、工場と倉庫が規則正しく並ぶ、今となっては忘れ去られた工業地帯。その一角。埃っぽい倉庫に男たちはいた。
ロープで粗末な椅子に縛られたジョーマローンの香る男×1。
その前に仁王立ちする"少々"仕立ての良さそうなストライプのスーツを着た男×1。
その男の両サイドには、
揃いのオレンジのジャージを着た若い男×2。
計4名
短編小説『ビッグマック・ストライクス・アゲイン』
これは僕が20歳を迎えた日の夜、23時40分から始まる物語だ。
僕はその日を、家族や友人から祝福のメッセージを受け取り、最愛の恋人と過ごし、たらふく食べ、たらふく飲み、のんびりしたセックスをして、満たされた気持ちでベッドに潜り込んでいた。明日からまた始まる日常。非日常が徐々に溶かされ、薄くなったそれの向こうに明日が見える。非日常を失う寂しさもあるが、何と言っても20歳だ。なんだって出来るし、なん