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寝袋男
2024年9月21日 01:36
誰もいない暗がりを、高く上がった月を見て帰る。陰鬱な疲労感と少し肌寒い解放感。そんな夜でも、満月なら少しだけ気分が良い。コンビニで顔色の悪い店員から低アルコール飲料を一本買い求め、高台の公園に行く。ここがこの街で一番月に近い、様な気がする。「こんばんは」ベンチに腰掛ける先客に声を掛ける。「ああ、こんばんは、また」満月の夜、帰るのが惜しくてここへ来るといつもその男がいた。男は小さい日本