2024年1月の記事一覧
短編小説『楽園と蛇と僕の間にあった木について』
”香り”から呼び覚まされる記憶がある。
私の場合は、いちごみるくのキャンディーを舐めると学生時代の通学路の光景が目の裏に現れる。
君の場合はどうだろう。
「この実は勝手に食べちゃ駄目。」
母は幼い僕と柚子の木の間に立ってそう言った。普段にない厳しい表情だった。その小振りな黄色い果実を母の肩越しに見つめる。一見、蜜柑に似ている様に見えるけど、食べちゃいけない。なんでだろう。
しかし食べてはいけな
”香り”から呼び覚まされる記憶がある。
私の場合は、いちごみるくのキャンディーを舐めると学生時代の通学路の光景が目の裏に現れる。
君の場合はどうだろう。
「この実は勝手に食べちゃ駄目。」
母は幼い僕と柚子の木の間に立ってそう言った。普段にない厳しい表情だった。その小振りな黄色い果実を母の肩越しに見つめる。一見、蜜柑に似ている様に見えるけど、食べちゃいけない。なんでだろう。
しかし食べてはいけな