セミナーや教材作りの難しさを知る
僕は今、インターン先の企業で中小企業、特に製造業の経営者向けにDX推進に向けたセミナーの内容を企画している。
大学生であれば、サークルや学生団体などイベントの企画や運営の経験がある人も多いのかもしれないが、自分はそういう経験があまりない。
なにせ、大学ではそういうコミュニティや部活、組織に縛られずに自由に自分がしたい事や興味を持ったことを、好きなだけ時間をかけてやりたいと思ったので、その必要性がなかったのだ。
就活を初めて、様々な企業の説明会やインターンに参加してきたが、その質や得られるものは企業それぞれだった。
正直つまらないなと思うものも多々あったが、今自分が企画している側になるとその難しさを痛感する。
まずはゴールを設定するわけだが、そこの純度が大切だと思う。
自分の場合は単発のセミナーではないため、その後の本編であるセミナーに継続参加してもらう事が最初のセミナー設計でのゴールになる。
そのためのKPIとして、「危機感を抱いてもらう事」「セミナーに対して期待や意欲を持ってもらう事」が挙がった。
ここまでは良いが、いざそれを内容に落とし込もうとすると、なかなか難しい。
理由として相手が自分と近い存在ではない事が考えられる。
相手は自分より数十歳年上の経営者だ。
何をどこまで考えられているのか、その情報についてどんな印象を抱くのかが想像つかない事も多い。
あまりに当たり前の内容であれば、期待外れで時間の無駄だと思われるだろうが、流行りの言葉や横文字のビジネス用語がどこまで伝わるのかわからない。
今のビジネスの流れの中で、データの活用やシステムについての知識のレベルを考えながら、内容の粒度を考えなくてはいけない。
さらには求められているコミュニケーションスタイルが若手と大きく異なることだ。
若い学生を相手にするインターシップではしばしば、特に勢いのあるベンチャー企業などでは「世界がどう変わるのか」「そのために我々は何をしなければいけないのか」というのを熱烈に語るものが見られる。
学生や若い人であれば今後いくらでも可能性があるし、やる気を喚起できる可能性があるが、ある程度色々なことを経験してきた50代くらいの経営者にとってはどうだろう?
なかなかそういった煽るような行動促進は受け入れにくく、どちらかというと寄り添うようなほうがウケがいい可能性が高い。
次に難しいのは、目的が「理解」ではなく、「行動喚起」である点だ。
通常、大学で行うプレゼンのようなものはたいていが自分の考えを理解してもらうためのものだ。
しかし、セミナーというのは参加者に特定の行動や思考を促すものである場合が多い。
その時には何を伝えるかとともに、それをどう受け取るのかをより精密に考える必要がある。
理解してもらって、「ふ~ん」で終わるようでは意味がないのだ。
そしてセミナー設計では「編集力」が試される。
情報編集力というのが何なのか、必要性を感じるまであまり分かっていなかった。
しかし、人に伝わり、その後に特定のアクションを促すためには出すべき情報を適切にコントロールする編集力が非常に大事だと思う。
これは一朝一夕では手に入らない力だと痛感する。
最近これが巧妙に設計されているインターシップを経験したから、なおさらそのすごさをいまだに感じている。
まだまだ今日の段階では内容に関しても、真新しさのない「普通」の領域を出れずに終わってしまった。
次回までに友人や周囲の人にも意見をもらい、前進できるよう努めたい。