DXレポートを理解する
インターンにてDXに関する内容でセミナーを企画しているのですが、DXというのが何なのかの理解の重要性を感じました。
毎日のようにこのワードを聞くので分かった気になっていますが、どこかデジタルを導入することが目的化しているような一面も感じられます。
今回は経産省の「DXレポート2」を参考にしながら、DXの最重要部分についてまとめようと思います。
※現在ではDXレポート2.1が発行されていますが、概念の理解などに関しては前回のレポート2の方が分かりやすいのでこちらを用いました。
今日は最重要のDXの本質についてです。
DXの本質
いきなり結論から述べますが、DXの本質はデジタルの浸透をベースに働き方やシステムのみならず、企業文化(固定観念)を変革することで競争優位を確立することです。
DXの中のトランスフォーメーションというのは、「変革・変容」を表す言葉であり、より大きな抜本的な変化を意味します。
さなぎが蝶へと大きく形を変化させるように組織内部で人々の行動原理や思考原理が大きく変わることをDXというのです。
ということは、一部部門でツールを導入したりする散発的なDXというのはDXの概念とは異なるものであり、DXではないということです。
ではなぜ、”デジタル”トランスフォーメーションなのか。なぜデジタルによって変化・変容するのかという事ですが、それがこれからの社会の在り方に起因しているわけです。
デジタル技術がインフラレベルに浸透した昨今、何においてもデジタルをベースに考えないといけない。
消費者の購買はバーチャル上に移り、絶えずスマホを片手に、家ではスマートスピーカーに話しかけ、決済のために現金を持ち歩かなくなりました。
企業もクラウド等を活用し、高度なセキュリティを保ちながら外部から情報にアクセスできるようになりましたし、それをもとにリモートワークも可能になっています。
そこで企業もデジタルを浸透させ、社会の流れにしっかりと乗った段階で初めてその社会に必要なビジネスや自社の在り方が分かる。
DXとは究極の顧客理解なんじゃないかと思いました。
デジタルが生活のあらゆる場面での入り込んでいるから、何が求められるのか、自社としては何ができるのかを考え、かつそれを実行するためには自分自身もそのデジタルな環境を作り、ドップリつかる必要があります。
だから、単にITツールの導入によって一部業務の負担を軽減化させる、効率化させる、人件費を浮かせるというのはデジタル活用によるデジタイゼーションまたはデジタライゼーションであってもDXではないということです。
なぜならそれは便利になっただけで、デジタル社会に必要な事、サービス、ビジネスの在り方を考えられる思考の変容には至っていないから。
もちろんそれはDXを成し遂げるために必要なプロセスであることは間違いありません。
しかし、あらゆる変化の先に組織単位の思考や行動の変化が期待できるのかどうか、これを各段階の意思決定でしっかりと吟味する必要があるのではないでしょうか。
環境が変わり、思考が変わり、行動が変わることで、企業の強みをバーチャル空間を通して体現できるようになることが、DXの成果である競争優位の確立を意味するのではないかと思います。
書いて整理していくとそれは当然のことですが、実際にどれほどの人がここまで見据えてITツールの導入などを考えているでしょうか?
ベンダーはこれで効率化できる、DXできると謳いますが「何がDXで、何がDXでないか」を自分の中でしっかりと認識しておく必要があると考えました。
私自身も再確認でありました。デジタルもトランスフォーメーションも手段であり、その先に今後の企業の競争優位の獲得が目指せる組織体制があるということです。
ベースがデジタルになってきているので、それを取りこみ組織の思考・行動を根底から変化させること、それがDXの本質です。