製造業における原価計算~自社の原価計算の進め方を検討する~
STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する
原価計算の進め方には大きく分けて、2つの方向性があります。
[A]社員教育の一環として、
原価計算制度の構築を行う。⇒緊急度が低い。
[B]窮境原因を究明するために、
原価計算制度の構築を行う。⇒緊急度が高い。
原価計算を用いた業務改善を進めようとすると、
作業日報の作成や集計作業、集計結果に基づく改善案の立案・実行など、
社員に一定のストレスがかかります。
社員の皆さんを巻き込み、社員教育の一環として理解を深めながら
原価計算の精度を高めていくという進め方が理想的です。
今回は、上記の[A]の進め方についてご紹介します。
1)原価計算プロジェクトチームを組成
組織の枠に囚われない形でプロジェクトチームを組成します。
プロジェクトの真の目的として
「原価計算に向いている社員の発掘」があります。
原価計算は「向き」「不向き」がハッキリする作業ですので、
数ヶ月間、プロジェクト活動を行うことにより、
「原価計算に向いている社員」を見つけ出すことができるのです。
「原価計算に向いている社員」とは以下のような方です。
■几帳面な性格
原価計算のベースとなる集計作業は、
日報のチェック、地道な入力作業などが必要不可欠です。
几帳面な性格の方が適しています。
■原価計算を「面白い」と思える好奇心
一般的な経理の仕事は、正確な集計・処理を行うことを
目的としていますが、
原価計算の仕事は、集計・処理を行うことは第一ステップに過ぎず、
それ以降の原価データを用いた「改善活動」が主な目的となります。
原価計算の「面白さ」を自身で感じて、他の社員にアピールするような、
好奇心あふれる性格の方が適しています。
2)勉強会の実施
以前のコラムで紹介した、下記の内容に関する勉強会を実施し、
全体像を掴みます。
電卓を使って実際に計算をしてみることがポイントです。
詳細は下記の記事をご覧ください。
3)試験運用
まず
【1】工程の複雑性(工程がシンプル)
【2】生産量の多寡(生産量が多い)
などの観点から、原価計算を行う
「製品」「工場」「工程」を限定して試験運用を行います。
工程が複雑だと、コストが発生する工程・作業などの把握が
困難となってしまいます。
また、生産量が少ないと、データを収集するのに時間を要し、
異常値が出やすくなるので試験運用には適しません。
4)本運用
一定期間の試験運用を経て、本運用となります。
原価計算を用いた業務改善は、
先に述べた通り、現場に一定のストレスがかかります。
試験運用を通じて十分に検証し、現場のストレスを最小限に抑えることが
成功への近道となります。
続きの「STEP4:原価計算に必要なデータを収集する」は
以下からご覧ください。